公開日:2022年12月30日

2023年に開館・リニューアルする美術館・博物館

2023年に開館・リニューアルを迎える全国のアートスペースを紹介(最終更新:2024年1月1日)

リニューアル工事中の広島市現代美術館

*2024年版はこちら

2023年、新たに開館/リニューアルを迎える美術館・博物館を紹介。オープンにあわせて注目の記念展を開催する施設も多いため、あわせてチェックしてほしい。

静岡市歴史博物館

静岡市歴史博物館は1月13日にグランドオープン。建築設計を担当したのは、金沢21世紀美術館などを手がけたSANAAだ。1階は無料エリア。建築予定地にて偶然発掘され、そのまま常設公開となった「戦国時代末期の道と石垣の遺構」や市民活動のスペース、カフェ、ショップなどが並ぶ。2階、3階は展示室になっており、徳川家康の半生や今川氏の歴史を知ることができる資料が並ぶ。

資料展示を通じて、静岡市の歴史文化を訪れる人へ向けて発信するとともに、地域学習のためのスペースが設置されているなど、より市民に開かれている同館。歴史探求と体験、交流を融合した、新しいスタイルの歴史博物館に注目したい。なお、混雑緩和のために日時予約制を導入しているため、訪れる際はウェブサイトをチェックしてほしい。

開館予定日:1月13日
住所:静岡県静岡市葵区追手町4-16
施設詳細

静岡市歴史博物館の外観

広島市現代美術館

改修工事休館中の広島市現代美術館は、2023年3月にリニューアルオープン。今回の改修では、展示室の機能向上、カフェ新設、ショップの改装、バリアフリートイレなど設備・サービスの拡充が図られている。再開館を記念して開催される「Before/After」は全館を用いた特別展。改修や原爆など、様々な出来事の「前」と「後」に着目する本展では、葬り去られた過去や歴史と向き合ってきた作家が紹介される。なかでも注目は、石内都、コウミユキ、髙橋銑、竹村京、毒山凡太朗らの新作。展示の詳細はフォトレポートをチェック。

開館予定日:3月18日
住所: 広島県広島市南区比治山公園1-1
施設詳細

リニューアル工事中の広島市現代美術館
広島市現代美術館「リニューアルオープン記念特別展 Before/After」会場風景より

下瀬美術館

下瀬美術館は広島県大竹市に新設される美術館。丸井産業株式会社の創業60周年を機に構想された同館は、2023年3月にオープンする。設計は坂茂。敷地にはレストランやカフェ、ミュージアムショップのほか、水盤上に配置された8つのキューブが特徴の「可動展示室」や、エミール・ガレが作品のモチーフにした草花をめぐる「エミール・ガレの庭」など、施設自体がひとつの「アート」に。可動展示室と瀬戸内海を見渡す展望デッキも魅力のひとつだ。

開館予定日:3月1日
住所:広島県大竹市晴海2-10-50
施設詳細

下瀬美術館の外観
下瀬美術館の内観

芦屋市立美術博物館

兵庫県の芦屋市立美術博物館は1991年に開館した、美術館と歴史博物館の設備を併せ持つ複合施設。小出楢重や菅井汲、大阪での大回顧展が記憶に新しい吉原治良と田中敦子ら具体美術協会の作家、中山岩太ら芦屋カメラクラブの写真家と、芦屋ゆかりの作家作品を数多く所蔵している。リニューアル後最初の展示は「芦屋の美術、もうひとつの起点 ―伊藤継郎」。伊藤は、芦屋にアトリエを構え、制作を続けた画家だ。

開館予定日:4月15日
住所:兵庫県芦屋市伊勢町12-25
施設詳細

井原市立平櫛田中美術館

新館建設工事のため長期休館していた岡山県井原市の田中(でんちゅう)美術館は、2023年4月に再開館。「田中館」として1969年にオープンした同館は、近代彫刻の巨匠・平櫛田中の作品を数多く所蔵している。今回のリニューアルでは、館名を「井原市立平櫛田中美術館」と改称。広さが1.8倍になった。2階にワークショップなどを開く講習室もあり、より多様な展覧会・イベントの開催が期待される。リニューアル記念展は「平櫛田中美術館の精華 - 平櫛田中全館展示 - 」

開館予定日:4月18日
住所:岡山県井原市井原町315
施設詳細

井原市立平櫛田中美術館の外観

碧南市藤井達吉現代美術館

愛知県碧南市出身の美術工芸家の名前に由来する碧南市藤井達吉現代美術館は、2008年に開館。​​収蔵庫等施設の増築や老朽化した施設の改修工事のために休館していたが、23年5月にリニューアルオープンを迎える。リニューアル記念展「碧い海の宝箱 ―達吉からはばたく未来―」では新収蔵品を含むコレクションのなかから、日本近代工芸の先駆者の一人として知られる藤井や、彼と同時代の作家による作品などが紹介される。

開館予定日:5月2日
住所:愛知県碧南市音羽町1-1
施設詳細

碧南市藤井達吉現代美術館の完成予想図

東京富士美術館

東京富士美術館は、1983年に開館。「世界を語る美術館」をモットーに、西洋絵画から日本美術にいたるまで、様々な芸術作品約3万点を所蔵している。同館魅力のひとつは、中世から現代まで、西洋絵画の流れを一望できる作品約100点が展示される常設展だ。設備改修工事を行うため2022年8月から休館しており、リニューアルは23年7月上旬を予定。休館中は、「おうちミュージアム」と題したオンライン展覧会をウェブ上で開催しているため、チェックしてみてはいかがだろうか。

開館予定日:7月上旬
住所:東京都八王子市谷野町492-1
施設詳細

松本市立博物館

開館から1世紀以上の歴史を誇る松本市立博物館は、移転新築し10月に再オープン。リニューアルを記念して「まつもと博覧会」が開催中だ。「松本博覧会前史」「松本博覧会」「変わる展覧会」「EXPO MATSUMOTO」の4章構成のもと、明治時代に開催された「松本博覧会」の内容や意義を振り返り、それをオマージュした新たな博覧会を立ち上げる。講演会や演劇公演もあるので合わせてチェックしたい。

開館予定日:10月7日
住所:長野県松本市大手3-2-21
施設詳細

松本市立博物館 外観
松本市立博物館 内観

※横浜美術館は12月に再開予定だったが、世界的な半導体不足の影響により延期が決定した

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。