公開日:2024年3月7日

週末見たい展覧会5選。シュルレアリスムと日本、国立ハンセン病資料館の絵画、イム・ミヌクなど【2024年3月第2週】

毎週更新。TABが取材した展覧会や、編集部が注目する展覧会をピックアップ。今週はシュルレアリスムと日本、国立ハンセン病資料館の絵画、伝統のメタボリズム、椅子とめぐる20世紀のデザイン展、イム・ミヌクの個展の5つ

左上から時計回りに、「シュルレアリスム宣言」100年 シュルレアリスムと日本(板橋区立美術館 撮影:永田晶子)、イム・ミヌク 「Hyper Yellow」(駒込倉庫 Komagome SOKO ©️ Minouk Lim)、伝統のメタボリズム〜見立て〜(SHUTL(シャトル) キービジュアルデザイン:三重野龍)、「絵ごころでつながる-多磨全生園絵画の100年」(国立ハンセン病資料館 撮影:編集部)

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*3月スタートの展覧会はこちらをチェック

「シュルレアリスム宣言」100年 シュルレアリスムと日本(板橋区立美術館、東京)

今年はアンドレ・ブルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表してからちょうど100年の節目。フランスで誕生し、詩や思想、絵画に多大な影響を及ぼしたこの芸術運動は、当時の日本の画家たちを魅了した。本展では、1920年代にいち早くその手法を取り入れた古賀春江や東郷青児、福沢一郎から、30年代の靉光、北脇昇、戦後の山下菊二など、シュルレアリスムを探求した日本人画家らの作品や資料約120点が公開される。フランスとは異なるかたちで展開した日本のシュルレアリスムの全貌に迫る注目展。本展のフォトレポートはぜひ読んでおきたい。

会場:板橋区立美術館
会期:3月2日〜4月14日

絵ごころでつながる-多磨全生園絵画の100年(国立ハンセン病資料館、東京)

東村山市の国立ハンセン病資料館では、多磨全生園での絵画活動を紹介する展覧会が先週末スタート。同園での絵画展は、いまから約100年前、第一区府県立全生病院時代の「第壱回絵画会」に遡る。本展では、絵画展の黎明期から、戦中から戦後、近年までの動向を辿り、文化運動としての絵画に注目する。担当学芸員の言葉も交えたフォトレポートはこちら

会場:国立ハンセン病資料館
会期:3月2日~9月1日

イム・ミヌク 「Hyper Yellow」(駒込倉庫 Komagome SOKO、東京)

イム・ミヌクは韓国のアーティスト。現代社会において忘れられ隠された声や存在を、様々な手法で呼び起こす創作で知られる。日本ではこれまで、瀬戸内国際芸術祭2016、あいちトリエンナーレ2019などに出展してきた。本展タイトルの「Hyper Yellow」=「黄色を超越した」状態は、特定の色や人種を指す言葉を超え、どこにも存在しないと同時にどこにでも存在する、壊れやすい境界や関係を表すという。会場では、東大寺のお水取りに使われるお松明を再解釈したオブジェや、十一面観音が観光客として登場するナラティブを取り入れた映像作品などが展示される。

会場:駒込倉庫 Komagome SOKO
会期:3月1日~3月12日

伝統のメタボリズム〜見立て〜(SHUTL[シャトル]、東京)

築地に所在するSHUTLでは、展覧会シリーズ「伝統のメタボリズム」の第3期が開催中。本シリーズは伝統という概念を問い直し新陳代謝を促進する様々な表現を、「言葉と文字」「様式の変容」「見立て」の3期にわたって紹介するもの。出展作家は石場文子、勝木杏吏、倉知朋之介、佐貫絢郁、松井照太の5名。

会場:SHUTL(シャトル)
会期:2月23日〜3月17日

椅子とめぐる20世紀のデザイン展(日本橋髙島屋 8階ホール、東京)

本展は、20世紀における椅子のデザインの変遷を、椅子研究家の織田憲嗣のコレクションをもとに紹介する企画。アール・ヌーヴォー、バウハウス、ミッド・センチュリー、イタリアン・モダンまで100脚が展示されるほか、食器、キッチン用品、家電製品、事務用機器なども交えつつデザインと生活の関係に注目する。

会場:日本橋髙島屋 8階ホール
会期:2月29日〜3月18日

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。