会場風景より、大西茂《題不詳》(1950年代、MEM蔵)部分
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「大西茂 写真と絵画」が、東京ステーションギャラリーで開催される。会期は1月31日〜3月29日。
大西茂(1928〜94)と聞いて、どんな作家かすぐにわかる人はそう多くないかもしれない。「数学・写真・絵画を越境する思索と創作で国際的に活躍した戦後日本美術の鬼才」(本展公式サイトより)でありながら、自らの“求道”に没頭して生前の人的交流が希薄だったこともあり、没後しばらくは“知られざる作家”となっていたからだ。

本展は、そんな大西の日本の美術館における初回顧展となる。現存する1000点以上の写真と絵画のなかから傑作を厳選して展示するほか、数学研究の遺稿をはじめ豊富な資料も紹介。その全貌を明らかにする世界初の機会となる。
岡山県に生まれた大西茂は、北海道大学へ入学後、博士課程に在籍したのち、同大学の理学部数学研究室に籍を置いて数学の研究を行っていた。位相数学(トポロジー)を追求する独自の研究を「超無限」の研究と名付け、その数学的な理論を芸術を通じて伝えるために、1950年代から写真表現を本格的に開始した。
また大西は絵画制作にも邁進。折しも当時は、フランスの美術評論家ミシェル・タピエが唱導する「アンフォルメル」旋風が日本美術界に吹き荒れ、具体美術協会をはじめとする芸術家たちが前衛的な抽象表現をそれぞれの方法で追求していた熱い時代。そのなかにあって大西の表現は、時代のキーパーソンであった美術評論家、詩人、画家の瀧口修造や比較文学者の芳賀徹らに称賛され、タピエによってヨーロッパでも紹介されるに至る。しかし本人は、そうした外部からの評価や美術界で名を成すことに興味を持たず、ただひたすら制作に没頭したという。
戦後日本で活躍した前衛芸術家たちの再評価が近年世界的に進んでいるが、大西もそのひとり。2010年代に日本とフランスで開催された写真展をきっかけに、ニューヨーク近代美術館が写真作品を収蔵し、Foam写真美術館での写真展開催、バレンシアのBombas Gens Centre d’Artでの写真と絵画による個展開催などが相次いでいる。本展はいわば“逆輸入”的に再評価が高まる大西の全貌を日本で紹介する貴重な機会。会場では大西を世界に広めているギャラリーのMEMや京都国立近代美術館の収蔵品などが展示されている。