公開日:2026年10月30日

インディゲームが歴史や社会の障壁を問い返す。現代アート×ゲームが交差する展覧会「Under Commons Vol.2」(Art Center NEW)

現代アーティストがゲームをプレイし、アート作品に翻訳する。会期は11月15日まで

会場風景

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インディーゲームを通して「アクセス」を考える

インディーゲームと現代アーティストが交差する展覧会「Under Commons Vol.2 - アクセスを仮設する -」が、横浜のArt Center NEWで11月15日まで開催されている。

Art Center NEWの藤本一郎と、アナーカ・フェミニストの高島鈴によって共同企画された本展は、2025年に高島とアーティストの近藤銀河をゲストキュレーターに迎えて開催された企画展「Under Commons」の第2弾にあたる。近年、ゲームをテーマにした展覧会が増えているなかで、本展が重視するのは、ゲームを体験の媒介としてとらえるだけでなく、個々のゲーム作品が扱うテーマと、その背景にある個人的・社会的な経験や構造にも目を向ける視点だ。とくに「クィアゲーム」と呼ばれる作品において、ゲーム内のルールと現実社会のルールがいかにつながるのかということを重要なポイントとして、藤本は挙げる。

藤本によれば「クィアゲーム」とは、ゲームプレイを通じて、様々な社会的規範、性的・ジェンダー的な規範を問い返すものを指す。また、第三波フェミニズムにおけるZINEのように、個人の実存やその痕跡をアーカイヴとして届ける「小さなゲーム」(近藤銀河の研究の語彙から藤本が影響を受け、使用しているとのこと)という意味合いもあるそうだ。ただし、本展で扱うゲームのすべてが、開発者自身によって「クィアゲーム」と名乗られているわけではないという。

展覧会キーヴィジュアルは、本展出品ゲーム『Citizen Sleeper』のキャラクターデザイン/ヴィジュアルを手がけたギヨーム・サンジュランによるもの。展覧会のテーマである「アクセス」と、ゲームと現代アートが混在する世界を描き出した

今回の展覧会では「アクセス」をキーワードに据え、インディーゲーム作品と現代アーティストがコラボレーションを行った。会場では、遠藤麻衣、大石一貴、清原啓の3人のアーティストが、それぞれ異なるゲームをプレイし、その体験に基づいて、各ゲームの根幹となるテーマやルール、制作背景などを翻訳したアート作品を展示。ほかにも、世界的に人気のインディゲーム作品の紹介や、アメリカのアーティスト、フィネガン・シャノンの展示などが展開されている。なお、ゲームのセレクトに関しては、『Analogue: A Hate Story』は藤本、それ以外のゲームは高島によるもの。

本展においてアーティストおよびゲーム開発者たちは、「作品/ゲーム自体が、ある現実や知識へのアクセスを可能にする道具となること」、同時に「歴史や社会の構造的障壁によって、ある人々の選択=アクセス可能性が妨げられているとき、作品/ゲームがそれを露わにする分析の道具にもなること」というふたつの側面でつながっている。ここからは藤本の言葉とともに、会場を見ていこう。

会場風景より、右がフィネガン・シャノン《Time travel with me》 (2022,2026)

会場は無料エリアと有料エリアに分かれており、入り口付近の無料エリアでは、フィネガン・シャノンの展示が来場者を出迎える。作品や芸術的実践を通じて様々な「アクセス」の在り方を探求するシャノンは、2022年にアクセシビリティツールとしての音声ガイドと作品の境界を行き来する作品《Time travel with me》を発表した。展覧会全体の視覚情報を言葉にして録音した本作を本展のために再構成し、今回は出展作家の清原、遠藤、大石が、それぞれの展示について、作品コンセプトやどこに何がどのように展示されているかを語る音声がヘッドホンから流れる。

無料エリアのもうひとつの企画が、選書コーナーだ。人文書院とかたばみ書房の協力により、両社の出版物から3人のアーティストと近藤銀河が、展覧会をより深く理解するための本を選んだ。各作家の展示ブースにもそれぞれの選書が置かれており、すべて会場で購入することができる。

会場風景より、選書コーナー
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