レポート:先週スタートした、2つの絵画の展覧会

1月16日に開幕した「千葉正也個展」、「梅津庸一監修 絵画の見かた reprise」をレポート

poster for Masaya Chiba Exhibition

千葉正也 展

新宿エリアにある
東京オペラシティ アートギャラリーにて
16日後終了

poster for Approaches to Painting – Reprise

「梅津庸一監修 絵画の見かた reprise」

市ヶ谷、神楽坂エリアにある
√K Contemporaryにて
このイベントは終了しました。 - (2021-01-16 - 2021-01-31)

In Art Beat News Main Article 2 by Art Beat News 2021-01-19

1月16日、絵画に関する2つの注目展覧会が都内でスタートした。

まずは、東京オペラシティ アートギャラリーで3月21日まで開催中の「千葉正也個展」。絵画展にも関わらずほとんど壁を使わないユニークな絵画展だ。

本展の概要で、千葉正也の制作プロセスは次のように説明される。「紙粘土や木片で人型のオブジェを制作し、寄せ集めた身の回りの品々とともに周到に配置した仮設の風景を作ることからスタートします。これを、木、金属、プラスチックなどの質感を精巧に描き分ける卓抜なテクニックを駆使して絵画化し、自作の簡素な木製スタンドに展示します。こうして、絵画と彫刻、二次元と三次元の世界の境界を曖昧化させるのです」。

展覧会チケットや広報物、会場に座る監視員までもが絵画のモチーフとなり、二次元と三次元だけではなく、虚と実、戯れと質実さなどが交錯するように見える迷宮的な空間は、まさに「境界の曖昧化」の言葉がふさわしい。

展覧会の印象を決定づけているのが、「会場内会場」とも言うべきすごろくを思わせる道で、長い道を囲むように多くの絵画が配置されている。道の中にはウッドチップが敷かれ、千葉がプライベートで飼育する亀が闊歩するというユニークな構造だ。これまで、Art Center Ongoingでの個展「宇宙英雄ペリーローダンと私の生活」や「アッセンブリッジ・ナゴヤ 2019」の展示でも亀は重要な役割を果たしてきたが、その集大成のような本展示。亀の目線で展示を見てみてると、千葉の初期作から新作まで、これまでの活動からなる大きな庭を歩いている心境になる。

いっぽう、神楽坂近くの√K Contemporaryでは、「梅津庸一監修 絵画の見かた reprise」が1月31日まで開催中だ。

地下1階から2階まで、会場に並ぶ106点の絵画は梅津が「自分なりの“絵画の見かた”を考えるきっかけになれば」として集められた作品で、物故作家から現代の若手作家まで、顔ぶれは幅広い。

梅津は企画意図について、「僕は人生を美術にかけています。それは、僕がシンプルに美術や絵画が好きだからなのですが、絵画の何が好きかを突き詰めて考えたとき、絵画の生態系が好きだということがわかりました。生態系に着目した展覧会は美術館やコマーシャルギャラリーでも企画されることがないので、今回実現できてよかったです」と話す。

「生態系」とは、形が似ている、知られざる共通の文脈があるなど、批評とも感性とも言い難いつながりのこと。言語では示しづらい「生態系」は展覧会を通して見ることができる。

最近はコロナ禍によってオンライン展示が増え、デバイスで展覧会や作品を見る機会も多くなったが、梅津は次のように語る。「美術がデジタル情報として処理され、絵画の実存自体がおびやかされている気持ちになった。会場で実際に絵画を見る体験をしてほしいです。また、運送会社の人をはじめ、労働者の働きなくしては立ち行かないのが展覧会や絵画。そういうものから目を背けたくないと思います」。

本展は、梅津が監修を務めた、雑誌『美術手帖』の特集「絵画の見かた」(2020年12月号)を副読本とする企画でもある。同誌に掲載された作品の多くを本展で見ることができるため、予習・復習でより楽しめるだろう。

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