公開日:2021年8月7日

子どもも大人も一緒に。2021年の夏休みおすすめ展覧会10選

小学生までの子どもが楽しめる関東近郊の展覧会、イベントをシーン別に紹介

年々暑くなる東京の夏。コロナ禍の影響もあり外出が難しい状況ですが、子どもたちにとって夏休みは様々な体験ができるチャンス。お気に入りの絵本の世界を見に、自由研究のネタ探しに、小旅行にあわせて、家族と一緒に足を運べるおすすめ展示を紹介します。

※会期・内容は予告なく変更になる場合があります。お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。

 

絵本の世界を訪ねる

誕生65周年記念 ミッフィー展」(PLAY! MUSEUM、7月10日〜9月12日)
ぐりとぐら しあわせの本」展(PLAY! MUSEUM、4月10日〜3月31日)

2020年に誕生65周年を迎えたミッフィー。日本初を含む約250点の原画やスケッチが立川のPLAY! MUSEUMで展示されています。本展では、ミッフィーやその生みの親であるディック・ブルーナの人柄や作品について、展示作品を中心に66の丁寧な解説で紹介。また、ブルーナ・カラーや線を使った大きなインスタレーション、耳をつけて誰でもミッフィーになれる参加型展示、うさぎの写真作品なども展示されます。

あわせて見られるのは、同館で開催中の年間展示「ぐりとぐら しあわせの本」展。絵本の原画を展示するのではなく、自分自身がぐりとぐらになって四季折々の絵本の中を歩くことが想定される本展は、子どもも大人もワクワクすること間違いなし。

併設する、子どもたちのための屋内広場PLAY! PARKも含め、施設全体を楽しめるPLAY!で夏休みの1日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

『うさこちゃん おばけになる』印刷原稿 2001年 Illustrations Dick Bruna © copyright Mercis bv,1953-2021 www.miffy.com

みみをすますように 酒井駒子 展」 (横須賀美術館、7月10日〜9月5日)

『よるくま』『金曜日の砂糖ちゃん』(ともに偕成社)などで知られる絵本作家酒井駒子初の本格的な個展「みみをすますように 酒井駒子」は、デビュー作から最新作まで20冊を超す絵本から、250点を超す原画を厳選。会場では「ある日」「ひみつ」「こみち」などの6つのエリアを分け、特製の額やケースに収められた原画と、物語や文の断片をめぐることができます。また、酒井が制作を行う山のアトリエ周辺の映像や音、小さなおもちゃやオブジェをも紹介。散歩するように、ゆっくりと歩きながら、時に立ち止まりながら、耳をすますように絵とことばに出会う、新しい体験を提供する展覧会です。

『金曜日の砂糖ちゃん』原画(偕成社、2003年)

 

自由研究にもおすすめ

ICC キッズ・プログラム 2021「チューンナップ じぶんをととのえる」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、7月24日〜8月22日)

都内で最先端テクノロジーを使用したアート作品が集まる場所といえば、NTTインターコミュニケーション・センター。そこで毎夏開催されてきた子ども向け企画展「ICC キッズ・プログラム」の今年のテーマは、以前と異なる環境での生活を続ける中で「自分をととのえる」こと。共同キュレーターにアーティストの谷口暁彦を迎え、荒牧悠、小鷹研究室(名古屋市立大学)、小光、正直+臼井達也、渡邊淳司(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)などが参加。大海悠太研究室、森山剛研究室(東京工芸大学 色の国際科学芸術研究センター)、ライゾマティクス×イレブンプレイ(特別参加)が参加する特別展示(企画監修:阿部一直,野口靖)も行われます。

さらに会場での展示だけでなく、無料でアクセスできるオンライン展示や子どもたちの「もっとよく知りたい」に応えるためのイベントやワークショップも多数実施。遠方にお住まいの方々や外出を控えているご家庭でも体験可能です。

展覧会メインヴィジュアルより

特別展「植物 地球を支える仲間たち」(国立科学博物館、7月10日〜9月20日)

「植物 地球を支える仲間たち」は、植物を総合的に紹介するこれまでにない大規模な展覧会。熱帯に生息する、約80cmにおよぶ世界最大の花「ラフレシア」や、数年に一度だけ咲く巨大な花「ショクダイオオコンニャク」から肉眼ではほとんど見ることのできないプランクトン、大人気の食虫植物まで、最先端の研究をもとに、それらの驚きの生存戦略を、標本や模型、映像、インスタレーション展示などで見るという画期的な展覧会です。ワクワクする博物館体験はぜひ夏休みに。なお、本展は事前予約制になっております。

展示メインビジュアルより

エプソン チームラボボーダレス」(森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス

1万㎡にもおよぶ広大なスペースに、複雑で立体的な世界が広がる「エプソン チームラボボーダレス」。2019年の入館者数でギネス世界記録を達成するなど、日本が誇る人気スポットである同所にもこの夏から新たな作品が加わっています。

「タイフーンの上のエアリアルクライミング」など「運動の森」エリアに3作品が加わり、身体を動かして親子で楽しめる「体験型」作品がパワーアップ。自身が描いた絵をグッズとして持ち帰れる《お絵かきファクトリー》も新設されており、お出かけの「思い出」も持ち帰ることができるでしょう。

弾む水の天才ケンケンパ / Hopscotch for Geniuses: Bounce on the Water

 

デザイン、工作に親しむ

「あざみ野こどもぎゃらりぃ2021 みんなあつまれ!どうぶつパーク」(横浜市民ギャラリーあざみ野、7月30日〜8月8日)

毎年開催している「あざみ野こどもぎゃらりぃ」ですが、今年もファミリー向けのイベントが盛り沢山。誰でも簡単につくれて必ず上がる小関凧(たこ)の展示やワークショップなどが実施予定です。展覧会に来場した子どもたちには、家で簡単につくれる手のひらサイズのどうぶつの材料をプレゼント。さらに横浜市民ギャラリーあざみ野では、対象年齢別の子どものためのプログラムを年間を通して不定期で開催。気軽に訪れてはいかがでしょうか。

「あざみ野こどもぎゃらりぃ2010」の様子

いっしょに遊ぼう!ぱれたんとむら田」(府中市美術館、7月24日〜9月5日)

シリーズ10回目になる本展は、絵の国の妖精「ぱれたんとむら田」の案内のもと作品を鑑賞したり、簡単な工作や作品制作を楽しむことができます。簡単な工作や作品制作が思う存分楽しめるほか、会場オンラインどちらも子ども向けイベントが開催予定です。

「いっしょに遊ぼう! ぱれたんとむら田」府中市美術館

 

小旅行にあわせて

虹をかける: 原美術館 / 原六郎コレクション」(原美術館 ARC、4月24日~2022年1月10日(展示替えあり)

原美術館とハラ ミュージアム アークが統合し、2021年4月、群馬県渋川市にて「原美術館ARC」がリニューアルオープン。そのオープニング企画として「虹をかける:原美術館/原六郎コレクション」が開催中です。美術館を運営する財団名の由来にもなった「虹」をテーマとした本展では、「原美術館コレクション」と「原六郎コレクション」から、性別も国籍も文化も異なるアーティストたちの多様な表現を紹介します。出品作家は艾未未(アイ ウェイウェイ)、カレル アペル、アルマン、今井俊満、トム ウェッセルマン、アンディ ウォーホル、エロ、河原温、工藤哲巳、篠田桃紅、篠原有司男など。

牧場に隣接する広い敷地にあり、自然豊かな同館には屋外作品も点在するため屋外での散歩もおすすめ。「建築界のノーベル賞」とも言われるプリツカー賞を受賞した磯崎新が手がけた美術館建築にも注目です。

原美術館外観

小さなデザイン 駒形克己展」(ヴァンジ彫刻庭園美術館、3月6日〜8月31日)
富士山のふもとにあるヴァンジ彫刻庭園美術館はイタリアの彫刻家ジュリアーノ・ヴァンジの個人美術館。様々な品種のクレマチスの花とヴァンジの彫刻が並ぶ庭園は、クレマチスの丘という複合文化施設の一部であり、エリア内には他にもベルナール・ビュフェ美術館やカフェなどが点在しています。

夏休み期間に行われる展示は、『Little Eyes』『Little Tree』などの絵本で知られる造本作家、デザイナーである駒形克己の個展。アメリカ時代の実験的な試作から、音楽、ファッションでの仕事、絵本の制作プロセスを伝えるアイデアスケッチまで、駒形の初期から現在までの活動をたどる展覧会では、「小さなこと」を大切にしてきた駒形の軌跡を見ることができます。

『Little Eyes3 いろ・いろ・いろ』 偕成社 1990年

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。