新しい年を迎え、気分も改まるこの季節。東京では、無料で楽しめる魅力的な展覧会が多数開催されている。今月は、東京都現代美術館や東京都写真美術館、府中市美術館で開催される現代アートの展覧会や、午年にちなんだ展覧会を中心に、無料で気軽に訪れることができる展覧会を8件セレクトした。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2018年より実施している中堅アーティスト対象の現代美術賞「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」。受賞者は海外活動をはじめとする複数年にわたる支援を経て、東京都現代美術館で受賞記念展を開催している。本展は第5回受賞者の梅田哲也と呉夏枝による展覧会となる。近年ともに「海路」や「水路」など水にまつわる考察を作品に取り入れてきた両者の表現がゆるやかに重なり合う空間となった。

会場:東京都現代美術館
会期:12月25日〜2026年3月29日
ユアサエボシは、大学卒業後に就職した金融関係の会社が入社半年で倒産し、その後画家になることを決意して美術学校に進学したという異色の経歴の持ち主。フランス文学者・澁澤龍彦の著作などを通じてシュルレアリスムの世界に出会い、憧れの芸術家たちと同じ時代に生きたいという欲求から、やがて自らを「大正生まれの三流画家・ユアサヱボシ」として位置づけ、当時の画風を模した絵画制作に取り組むようになった。作家にとって初個展となる本展では、そんなヱボシが残したとされる「戦争」にまつわる絵画10点が展覧される。
会場:ギャラリー小柳
会期:12月20日〜2026年3月7日
Prix Pictet(以下プリピクテ)は、写真とサステナビリティをテーマとした、世界有数の写真賞のひとつ。本展では、第11回のプリピクテ受賞者であり、2026年1月からは東京オペラシティ アートギャラリーで個展も開催されるアルフレド・ジャーの作品を中心に、最終選考に選出された優れた12名の写真家たちの作品が紹介される。説得力のある写真でテーマを様々な側面から掘り下げるアーティストたちの、現実に差し迫る悲劇と未来への希望を同時に感じさせる痛烈な表現に注目したい。
会場:東京都写真美術館
会期:12月12日〜2026年1月25日
2022年に渋谷で開所したCCBTが、原宿「1/1(ONE) HARAJUKU “K”」へと移転。新スペースのこけら落とし展では、2022年度のアーティスト・フェローであるSIDE COREを迎え、「道路」をキーワードにした展示を行っている。会場には、現在、金沢21世紀美術館にて開催中の個展「Living road, Living space / 生きている道、生きるための場所」で発表した新作の映像インスタレーション《living road》を展示。カメラを手にした人物が車で移動しながら、各地の風景や出来事を記録していく様がとらえられており、戦後日本の土木史や様々な個人の記憶の集合が4章仕立ての映像のなかに映し出される。ニュースはこちら。

会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)
会期:12月13日〜2026年1月25日
女性性や可愛らしさと結びつけられてきたいっぽうで、主体性、連帯、アイロニー、抵抗など、文化的・社会的文脈の中で多面的な意味を帯びてきたピンク。本展では、フェミニニティとクィアネス、享受と葛藤、可愛さと抵抗、欲望と幻想といった幅広い視点が、同ギャラリーに所属するアーティストの作品群を通じて立ち上がる。
会場:オオタファインアーツ
会期:12月9日〜2026年1月24日
目に見えないものの存在や科学によっては説明できない現象に着目し、鑑賞者の心にざわめきをもたらすような作品を展開してきた冨安由真。本展では、まるで誰かの家にいるような食卓の広がるインスタレーションを展開する。家族や安らぎを象徴するモチーフとしてとらえられる、食卓という空間にひと匙の違和感をもたらし、鑑賞者にどこか奇妙で非現実的な居心地の悪さを経験させる。また、会期中にはじっさいにインスタレーション内で食事をしながら鑑賞する参加型パフォーマンスも上演。詳細や申し込み方法は公式ウェブサイトをチェック。
会場:Gallery Restaurant 舞台裏
会期:12月5日〜2026年1月25日
新年の幕開けを飾る本展では、慶應義塾大学所蔵のコレクションから馬にまつわる稀覯本、絵巻物、浮世絵、埴輪などが一堂に会し、馬と人との長い関係を辿る。また特別企画として、慶應義塾ゆかりの芸術家が手がけた、慶應義塾幼稚舎内雑誌『仔馬』の表紙原画もあわせて紹介する。
会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
会期:1月8日〜2月7日
石川卓磨は、写真、映像などのメディアを用いて制作を行うアーティスト。写真は瞬間を切り取り、断片的な時間を示すという考え方に疑問を感じ、写真の時間のあらわれに揺らぎを与える表現を行っている。アーティストにとって、美術館での公開制作は今回が初の試み。会期中は、館内と建物を囲む公園で撮影が行われ、美術館を訪れる人々の移動の痕跡や出会いが、作品を生成する時間と交差する。公開制作室で作品やアーティスト自身と対話を交わしながら、写真をめぐる時間について思いを巡らせられるような展覧会だ。Tokyo Art Betでは、美術批評家としても活動する石川の連載「クリティカル・シーイング」も公開中。
会場:府中市美術館
会期:12月20日〜2026年5月10日