
アンリ・マティス 踊り子とロカイユの肘かけ椅子、黒の背景 1942 石橋財団アーティゾン美術館
東京・京橋に位置するアーティゾン美術館の2027年展覧会スケジュールが発表された。同館は1952年に開館したブリヂストン美術館が前身。創設者である石橋正二郎が所有していた作品を基盤に、いまなおコレクションを拡大し続けている。近年は、従来から評価の高い印象派の絵画や日本近代美術に加えて、戦後の抽象画や日本の近世美術、現代美術などの収集も強化。古代から現代まで、幅広い時代の作品を扱う展覧会を開催し続けている。
近年、同館のコレクションは現代美術やデザインなど領域を広げており、たんなる収蔵点数の増加にとどまらず、作品同士の新たな関係や視点が蓄積されてきた。本展では、初公開となる浮世絵や能装束、西洋近代美術、日本近代美術、オーストラリア・アボリジナル美術を含む現代美術、デザイン、日本の古美術など、新収蔵作品を中心に同館の「いま」を紹介する。

同館は2020年の開館を機に、ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展における日本館展示の帰国展を開催している。2026年の日本館出品作家に選出されたのは、ロサンゼルスを拠点に活動するパフォーマンス・アーティストの荒川ナッシュ医。本展は、2024年に双子の親となったクィア作家自身の育児経験をもとに構成される。鑑賞者が約4ヶ月の幼児の体重に相当する赤ちゃん人形を抱いて会場を巡り、私的な空間に閉ざされがちな「ケア」という行為を身体的に体験し、社会に開かれた営みとしてとらえ直す参加型の作品だ。ヴェネチアでも高い評価を得た本作を、同館の空間に合わせて再構成し、紹介する。「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」日本館のレポートはこちら。レビューもあわせてチェックしてほしい。

同時開催される「藤島武二 —創造の軌跡」では、明治浪漫主義を代表する画家として出発し、1905年からのヨーロッパ留学で古典古代や同時代美術を学んだ藤島武二の画業をたどる。当館所蔵の代表作に加え、近年寄贈された素描やスケッチ、留学関連の文書などの資料群を初公開し、その創造の軌跡に迫る。

1960年代から70年代にかけては、欧米中心に形成されてきたモダン・アートの流れに転換が生じた時期であり、作品が自己完結した物体であることを離れ、鑑賞者との関わりや共有された環境・社会状況を通して成立するようになった。本展は、1950年代後半の抽象表現主義以後の造形の試みを起点に、続く時期の動向を複数の地域と表現形式の視野から再考する。ジャスパー・ジョーンズやロバート・ライマンをはじめ、この転換期の美術を形成した作家たちの作品約60点を紹介する。

同時開催される「石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 ロダンに捧ぐ」では、オーギュスト・ロダンの没後50年にあたる1967年に発表された版画「ロダンに捧ぐ」全5点と、ロダンやその弟子たちの彫刻をあわせて紹介し、没後110年を迎えるロダンの果たした役割を検証する。
