2025年9月開幕のおすすめ展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会はウェブ版でのログインやTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
*シルバー展覧会も公開中:
本展は、アジアを代表する美術館のひとつである香港の現代美術館M+と国立新美術館による共同キュレーションによって実現。平成が幕を開けた1989年から2010年までの約20年間にわたって、日本のアートシーンに登場した革新的な表現に光を当てる。50を超える国内外のアーティストによる実践を通じて、表現がどのように時代や社会と交差し、反応してきたかが立体的に描き出される。ニュースはこちら。
会場:国立新美術館
会期:9月3日〜12月8日
鎌倉時代を代表する仏師・運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える奈良・興福寺の北円堂。本尊の弥勒如来坐像と、両脇に控える無著・世親菩薩立像は、運慶晩年の傑作として広く知られている。北円堂は通常非公開だが、弥勒如来坐像の修理完成を記念し、約60年ぶりの寺外公開が決定。本展では、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像と、かつて北円堂に安置されていたとされる四天王立像の合計7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる。
会場:東京国立博物館
会期:9月9日~11月30日
現代日本の絵画におけるリアリズムを牽引する画家である諏訪敦。徹底した取材をもとに、卓越した描画技術で対象に肉薄する作品を手がけており、近年は戦争で亡くなった人々や、神話や古典文学の登場人物といった不可視の存在を描くリサーチプロジェクト型の絵画制作にも取り組んでいる。諏訪にとって約3年ぶりの大規模個展となる本展では、ヌードと頭蓋骨を組み合わせた初期作品や、亡き人々を遺族からの依頼で描いた肖像画、諏訪自身の家族を見つめたシリーズなど、代表作から最新作まで約80点を展示。うち約30点は、本展のために制作された静物画など初公開作品となる。会期中の9月11日〜15日には「TENNOZ ART WEEK 2025」も開催される。ニュースはこちら。
会場:WHAT MUSEUM
会期:9月11日〜2026年3月1日
アムステルダムのファン・ゴッホ美術館には、画家フィンセント・ファン・ゴッホの約200点の油彩や500点にのぼる素描をはじめ、手紙や関連作品、浮世絵版画などが所蔵されている。そのほとんどは1973年の開館時に、フィンセント・ファン・ゴッホ財団が永久貸与したものだ。本展では、ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ファン・ゴッホの作品30点以上に加え、日本初公開となるファン・ゴッホの手紙4通なども展示し、家族が守り受け継いできたコレクションを紹介する。なお本展は巡回展であり、8月31日まで大阪市立美術館で開催され、来年1月には愛知県美術館に巡回予定。大阪市立美術館で開催された本展のレポートはこちら。
会場:東京都美術館
会期:9月12日〜12月21日
数千年の歴史を持つインド更紗の魅力を探る展覧会。主要な交易品として更紗は1世紀に東南アジアやアフリカに伝わり、17世紀の東インド会社設立とともに世界各国へ輸出され、装飾美術から服飾まで幅広い分野に影響を与えた。本展では最長約8mの完全な形で残る優品から、アジア・ヨーロッパとの交易で生まれたデザイン、日本での展開を伝える作品まで紹介する。世界屈指のコレクター、カルン・タカールのコレクションを日本で初めて公開し、現在もなお人々を魅了し続けるインド更紗の奥深い世界を展観する。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:9月13日〜11月9日
ローマを代表するジュエリーブランド、ブルガリが、日本で10年ぶりとなる過去最大規模の展覧会を開催。色彩・文化・技巧に焦点を当て、貴重な個人コレクションを含む約350点のジュエリーがメゾンの歴史を彩る。タイトル「カレイドス」は、ギリシャ語で「美しい(カロス)」と「形態(エイドス)」を意味し、美と創造性が調和するダイナミックな色彩世界の旅を象徴する。ブルガリ・ヘリテージ・コレクションに加え、森万里子、ララ・ファヴァレット、中山晃子による現代アート作品も展示される予定だ。
会場:国立新美術館
会期:9月17日〜12月15日
4回目を迎える「ムーンアートナイト下北沢」は今年も開催。下北線路街を中心とした約100の企画では、ルーク・ジェラムによる巨大「月」のアートやイマーシブシアターのほか、音楽ライブや飲食店での限定メニューなど、多彩なコンテンツが街を彩る。詳細はニュースをチェック。
会場:下北線路街 空き地
会期:9月17日〜12月15日
熊谷守一が朴訥と描いた猫の絵、猪熊弦一郎のモダンな猫の絵。日本の洋画家たちは、個性的な猫の絵を数多く残してきた。猫が脇役とされてきた西洋美術とは対照的に、藤田嗣治が猫を主役として描き、日本の猫の絵の流れを作ったとも言われる。本展では、洋画における猫に焦点を当て、多彩な表現とともにその魅力を紹介する。
会場:府中市美術館
会期:9月20日〜12月7日
20世紀初頭のパリの街並みを描いたモーリス・ユトリロの個展が開催。エコール・ド・パリを代表している風景画家として、日本でも根強い人気を誇る。ポンピドゥー・センターの協力により、《モンマニーの屋根》や《ラパン・アジル》を含む約70点が展示予定。アルコール依存症治療の一環として絵筆をとった「モンマニー時代」、白壁の詩情を描いた「白の時代」、鮮やかな色彩を駆使した「色彩の時代」の3期に分けて作品を紹介する。
会場:SOMPO美術館
会期:9月20日〜12月14日
当時の鑑賞者にとって、ヴァーチャル・リアリティーのような迫力で眼前に迫ってきた円山応挙の作品。その画風は瞬く間に京都画壇を席巻、多くの弟子が応挙を慕い、巨匠として円山四条派を形成した。本展では、応挙を18世紀京都画壇最大の革新者として、そこから「巨匠」になっていく様を、重要な作品を通して検証する。
会場:三井記念美術館
会期:9月26日~11月24日
六本木をアートが彩る3日間。美術館や文化施設、大型複合施設、商店街など六本木全域を舞台に、インスタレーション、パフォーマンス、音楽、映像、トーク、デジタルアートなど、約30組のアーティストによる50以上のプログラムを展開する。14回目となる今回は、「都市とアートとミライのお祭り」がテーマ。なかでも注目なのが、昨年から始まった特定の国・地域に焦点をあてる「RAN Focus」だ。去年の台湾に続き、今年は国交正常化60周年を迎えた韓国にフォーカスする。詳細はニュースへ。
会場:森美術館、ほか
会期:9月26日~28日
旧朝香宮邸の設計や装飾に多大な影響を与えたパリの「アール・デコ博覧会」の開催100周年を記念する展覧会。フランスを代表する宝飾メゾン「ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)」の作品から、アール・デコ博覧会の宝飾部門でグランプリを受賞した《絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット》をはじめ、歴史的価値が認められる「パトリモニー コレクション」より厳選された名品が一堂に会し、アール・デコの魅力を伝える。詳細はニュースをチェック。
会期:東京都庭園美術館
会期:9月27日~2026年1月18日
"ゴースト"をキーワードに現代美術の多様な表現を紹介する展覧会。絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションを通じて、見えるものと見えないものが生み出す謎めいた魅力を探る。展示では過去の歴史への批判、現代の見直し、未来への可能性という3つの視点から作品を構成。不確かで曖昧なヴィジョンが持つ表現の「美」を、現代作家たちの豊かなイマジネーションによって浮かび上がらせる。
会場:アーツ前橋
会期:9月20日〜12月21日
「千葉国際芸術祭」は、トリエンナーレ形式の市民参加型芸術祭として2025年に初開催される。芸術祭のコンセプトは「ちから、ひらく。」。総合ディレクター・中村政人のもと、「新たな文化の創造と魅力の発信」「地域への関心や関わりの醸成」「多様な主体の尊重とつながりの創出」を目的に掲げ、千葉市を舞台に行われる。国内外30組以上のアーティストによる参加型アートプロジェクトを実施予定。まちなかリサーチ・制作期間が4〜9月中旬、集中展示・発表期間が9月19日〜11月24日、振り返り期間が12月。
会場:千葉駅周辺エリア、県庁前エリア、西千葉エリア、花見川エリア、千葉市動物公園
会期:9月19日〜11月24日
2010年から3年ごとに開催されていた「あいちトリエンナーレ」。前回から名称を変え、今回で6回目の開催となる。『ArtReview』が毎年選出する「Power 100」で2024年の1位に選出されたフール・アル・カシミが芸術監督を務める。テーマは、モダニズムの詩人アドニスによる詩から着想を得て構想された「灰と薔薇のあいまに」。ダラ・ナセル、沖潤子、小川待子、アドリアン・ビシャル・ロハスをはじめ、約50組のアーティストが参加する予定だ。詳細はニュースをチェック。
会場:愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市のまちなか
会期:9月13日〜11月30日
日本における「散歩」の概念と表現を探る展覧会。鎌倉時代の禅僧・虎関師錬の漢詩に初めて登場した「散歩」という言葉から始まり、歩くことをめぐって生まれた美術表現の系譜をたどる。重要文化財を含む約70作品を通じて、梅を探して歩く様子を描いた伝馬遠《高士探梅図》から、現代の谷口ジロー《歩くひと》まで時代を横断して紹介。宗教的な巡礼や禅の修行としての経行など、散歩に類する歩行の多様な形態も取り上げる。
会場:滋賀県立美術館
会期:9⽉13⽇〜12⽉7⽇
「BIWAKOビエンナーレ」は、滋賀県の琵琶湖を中心に広がる、近江八幡旧市街、沖島、彦根市街地、鳥居本などの複数会場を舞台に、国内外のアーティストが展示を行うアートイベント。長年放置されている空き家や古民家を会場として活用することで古き良き建築の魅力を再発見し、後世につなぐ「地域再生」も目的のひとつ。歴史と伝統が根付いた街に点在する会場を巡りながら、作品とともに地域の文化や風土に触れることができる。2025年度のテーマは「流転〜FLUX」となり、開催までに様々なプレイベントも行われている。
会場:滋賀県近江八幡旧市街地、沖島、彦根市街地、彦根城、鳥居本など
会期:9月20日〜11月16日
思想家の柳宗悦、陶⼯の河井寬次郎、濱⽥庄司が京都に集うことで始まった「⺠藝」運動。誕生から100年という節目を迎える本年、京都において、日本の近代化のなかで一般大衆にも広がった民藝運動の無名性、簡潔性、そして単純さに美を見出す精神を考察する展覧会が開催される。「民藝」という言葉が誕生するきっかけとなった木喰仏を始め、黒田辰秋、青田五良の作品、「民藝館」や「三國荘」のために制作された河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチらの工芸作品、柳宗悦らによる日本全国の蒐集品や、芹沢銈介、棟方志功の作品も紹介される。
会場:京都市京セラ美術館
会期:9⽉13⽇〜12⽉7⽇
フィンセント・ファン・ゴッホのコレクションで世界的に有名なオランダのクレラー=ミュラー美術館が所蔵するファン・ゴッホの優品約60点などからなる展覧会。ファン・ゴッホの名作《夜のカフェテラス(フォルム広場)》(1888)が、2005年以来、約20年ぶりに来日する。その後、福島県立美術館(2026年2月21日~5月10日)、上野の森美術館(2026年5月29日~8月12日)に巡回予定。ニュースはこちら。
会場:神戸市立博物館
会期:9月20日~2026年2月1日
植物と人間の共存関係のなかに浮上するあいまいさや疑問をテーマに、スケールの大きな絵画および立体作品を発表し、国内外で活動を展開する現代作家・平子雄一の大規模個展。1982年岡山県出身の平子は、2006年にウィンブルドン・カレッジ・オブ・アート絵画専攻を卒業後、現在は東京を拠点にアジアや欧米諸国でも精力的に作品を発表している。本展では美術館の建築的特性を活かした迫力ある展示空間を構成するとともに、対話型鑑賞プログラムも導入。
会場:岡山県立美術館
会期:9月16日~11月9日
3年に1度、岡山市中心部で開催される国際現代美術展。フィリップ・パレーノがアーティスティック・ディレクターを務め、タイトルは村上春樹の小説『1Q84』の触発されてつけられたという「青豆の公園」となる。参加ゲストには、中田英寿、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、プレシャス・オコヨモン、ティノ・セーガル、島袋道浩、リアム・ギリックら30組が名を連ねる。今回は、これまで無料だった屋外展示に揃え、原則有料だった屋内展示も含め、すべての会場を鑑賞料無料とする異例の試みを行う。詳細はニュースをチェック。
会場:岡山城・岡山後楽園周辺エリア
会期:9月26日~11月24日
鷹野隆大は、写真集『IN MY ROOM』(2005)で「第31回木村伊兵衛写真賞」を受賞し、現在も国内外で活躍を続ける写真家、アーティスト。初公開作品を含め、作家の軌跡を概観する本展では、初期から現在に至るまでの約100点を展示し、これまでの作品を新たな視点で再編集することで、新しい見方を提案する。展覧会タイトルでの「カスババ」は、鷹野による造語であり、「カスのような場所(バ)」の複数形を意味する。2月27日から6月8日まで、東京都写真美術館で開催された本展のレポートはこちら。
会場:広島市現代美術館
会期:9月27日〜12月7日
1975年に終結したベトナム戦争は、ベトナムが大国アメリカを退け、世界の枠組みを変えた歴史の転換点とされる。本展では植民地支配から独立闘争、難民問題、グローバル化まで、近代以降の世界的課題を経験し続けたベトナムの激動の100年を、同国アーティストによる美術作品やグラフィック約110点で振り返る。祖国の理想風景を描いた絵画から革命を鼓舞するポスター、家族の記憶から歴史を語り直す現代美術まで、多様な表現を通じて展開される。
会場:福岡アジア美術館
会期:9月13日〜11月9日