2022年9月27日

アート界はコロナ危機にどう対応しているか Part2(随時更新)

新型コロナウイルスを取り巻く状況に、アーティストや関係者はどう対応しているのか。情報は逐一アップデートしていく。(編集協力:Mei Fujie)

新型コロナウイルスの影響で開廊延期が決定したハウザー&ワース・メノルカのVR展示「Beside Itself」

展覧会やアートフェアの中止、延期、行動制限など、新型コロナウイルス感染拡大の影響が様々に及ぶなか、国内外のアーティストや関係者はそれらにどう向き合っているのか。彼らが起こすアクションと取り巻く状況を記録し、順次アップデートしていく。(最終更新:8月20日 20:00更新) 2020年3月13日から5月19日までの約2ヶ月間、211件のニュースを掲載したPart1はこちらから。
新型コロナウイルスの影響で開廊延期が決定したハウザー&ワース・メノルカのVR展示「Beside Itself」

8月20日 20:00更新

▼日本国内の動き ◎諸橋近代美術館のオンライン鑑賞教室 福島県の諸橋近代美術館は、コレクションの核であるサルバドール・ダリらの作品をテーマに、オンライン鑑賞教室を開催。学校の授業、生涯学習活動などを対象に、オンラインサービス「ZOOM」を使用し無料で実施する。期間は11月29日まで。 https://dali.jp/ ◎目黒寄生虫館の支援のため500万円超の寄付集まる 新型コロナウイルス感染拡大による臨時休館で、財政的打撃を受けた目黒寄生虫館。減収額の試算を650万円とし、総額500万円の寄付を呼びかけた。開始からわずか5日目(8月19日)時点で、1270名から595万2144円の寄付が集まり、同館は引き続き寄付を呼びかけている。 https://www.kiseichu.org/ ▼海外の動き ◎映像作家への総額100万ドルの支援 4月に新型コロナウイルス感染拡大により被害を受けた映像作家の支援を発表したアメリカの非営利団体「サンダンス・インスティチュート(Sundance Institute)」。支援プログラム「サンダンス・インスティチュート & アーティスト・リリーフ(the Sundance Institute and Artist Relief)」は資金100万ドル(約1億600万円)を用意し、そのうち60%を103人の様々なアーティストへすでに給付、残り40万5500ドル(約4300万円)を39の異なる芸術団体に分配することを発表。 https://www.sundance.org/covid19 ◎ニューヨークのミュージアムが再開へ ニューヨーク州のクオモ知事は、ミュージアムやその他リスクの低い文化施設を8月24日からニューヨーク市で再開可能と発表。通常の25%の観客数、時間指定制、およびマスク着用の義務などを含む感染拡大対策が条件となっている。メトロポリタン美術館は8月29日、ホイットニー美術館9月3日の再開を予定している。 https://hyperallergic.com/582692/nyc-museums-and-low-risk-cultural-sites-can-reopen-on-august-24-governor-says/ 8月13日 ▼日本国内の動き ◎多摩美術大学彫刻学科の「バーチャル彫刻展」 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、様々な展覧会がオンライン開催を行うなか、多摩美術大学彫刻学科は「バーチャル彫刻展」を開催。同大の2年生以上の学生が有志で参加する本展は、現実では実現不可能な作品を含む彫刻作品などを展示。同学科教員でアーティストの高嶺格と木村剛士、豊田市美術館学芸員の能勢陽子、多摩美情報デザイン学科教員でアーティストの谷口暁彦が企画・サポートしている。 http://www.idd.tamabi.ac.jp/art/exhibit/vc2020/ ▼海外の動き ◎New Museumは解雇した従業員を再採用 8月6日、ニューヨークの新現代美術館(New Museum)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で3月から一時解雇中の23人のスタッフに再雇用を通知。呼び戻されたスタッフは、今秋から予定されている再開館の準備のため8月17日から勤務を開始する。 https://news.artnet.com/art-world/new-museum-brings-back-furloughed-staff-1899815 ◎アメリカ自然史博物館は9月再開から入場料を固定化へ アメリカ自然史博物館(the American Museum of Natural History)は、ニューヨーク州に承認され次第、9月9日から一般公開を再開する。それにあたり、パンデミック以前の「好きな分だけ支払う」入場料制度を一部を除いて撤回。ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州以外の来館者は固定入場料を払うこととなる。 https://hyperallergic.com/580005/amnh-pay-what-you-wish-reopening/ ◎ドイツは支援のため美術品購入額を大幅に引き上げ 新型コロナウイルスの感染拡大により甚大な被害を受ける芸術分野に経済的な支援を続けるドイツ。政府はさらに美術品購入予算を50万ユーロ(約6200万円)から300万ユーロ(約3億7000万円)に引き上げアーティストやギャラリーを支援をさらに促進することを決定。150つの作品を購入することを計画している。 https://www.theartnewspaper.com/news/germany-boosts-budget-for-federal-art-acquisitions ▼8月4日 ▼日本国内の動き ◎京都市は文化芸術活動の相談窓口開設 7月22日、京都市は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける市内の芸術文化活動を支援するため「京都市文化芸術総合相談窓口」を開設。電話やメールを通じて、公的支援制度、資金調達、オンライン活動に関する相談、法律に関する専門的な相談などに応じている。対象は市内在住または市内に活動拠点のある文化芸術関係者で、2021年3月31日まで相談を受け付ける。またクラウドファンディングを使った支援事業「京都市文化芸術活動再開への挑戦サポート交付金」事業および「京都市文化芸術活動再開への発表・鑑賞拠点継続支援金」もスタートする。 https://kyoto-artbox.jp/ ◎「Tokyo Art Book Fair」は今秋オンライン開催へ 今年で開催11回目を迎えるアートブックフェア「Tokyo Art Book Fair」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期していた今秋の開催を中止。代わりにオンラインフェア「VIRTUAL ART BOOK FAIR」の開催を決定。初のオンライン開催となるが、アートブックとの出会いや人との交流が生まれる場を創出するようなフェアが目指される。期間は11月16日~23日。 https://virtualartbookfair.com/ ▼海外の動き ◎ニューヨークで810の文化団体に被害調査 アメリカの文化芸術関連の調査を行う国立データセンター「SMU DataArts」は、新型コロナウイルス感染拡大によって、ニューヨーク市内の文化関連の非営利団体が受けた被害を調査した。4月24日から5月8日までに810の団体から人事、財務などの情報を収集しデータ化。人事に関しては、全団体を合わせ15000人が解雇されたことが明らかに。財務に関しては、3ヶ月間の予算が25万ドル(約2600万円)以下の小規模非営利団体では、年間収入の20%から30%に相当する損失と年間支出の約20%に相当する予期せぬ支出が報告された。いっぽう、大規模な組織では、年間収入の約15%の損失、予期せぬ支出は年間支出の約2%となり、組織規模の違いによる被害の格差が明らかとなった。 https://hyperallergic.com/577706/covid-19-cultural-survey-smu-dataarts/ ◎SNSの名画再現チャレンジを寄付につなげる ロサンゼルスのゲティ美術館は、パンデミック期間にスタートし、今もなおSNS上で盛り上がりを見せる名画再現チャレンジを扱った本の出版を計画。Instagramアカウント「Tussen Kunst & Quarantaine (Between Art and Quarantine)」が主導するこのチャレンジは、家にあるものだけで、ゴッホ、モネ、マネなどの世界の名画を再現し写真を投稿するというもの。アムステルダム国立美術館やゲティ美術館が所蔵作品を用いたチャレンジの参加を呼びかけ、アカウントのフォロワー数は約28万人で投稿数は700にものぼる。9月にこのチャレンジをまとめた本がゲティ出版(Getty Publications)から販売される。価格は14ドル(約1500円)で、収益は全てアメリカのアーティスト支援するプログラム「アーティスト・リリーフ(Artist Relief)」へ寄付される。 https://www.artistrelief.org/
▼7月25日 ▼日本国内の動き ◎SBIアートオークションはオンライン開催 オークションハウス「SBIアートオークション」は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、8月1日にライブ配信型オークション「SBI Art Auction Live Stream」を開催。書面による事前入札に加え、ライブ配信を見ながら、オンラインと電話による入札も可能。出品作品235点はすでにウェブサイト上で公開中で、村上隆、奈良美智、KAWS、KYNEなど人気作家の作品やグッズも出品予定。 https://www.sbiartauction.co.jp/auction/catalogue/89 ◎銀座 蔦屋書店がチャリティアートマスク販売 銀座 蔦屋書店は、新型コロナウイルス感染拡大予防や医療従事者とクリエイター支援のためのプロジェクト「GINZA ART MASK PROJECT」を7月31日よりスタートする。第1弾の「ものづくりとマスク」では、日本の伝統技術を受け継ぐ8ブランドがマスクを制作。店頭やオンラインで購入可能で、収益の半分が国立国際医療研究へ寄付される。第2弾「現代アーティストと作るマスク」は今秋を予定している。 https://store.tsite.jp/ginza/blog/stationery/14740-1409470707.html ▼海外の動き ◎クイーンズ美術館が施設内で食糧配布 新型コロナウイルス感染拡大によって失業者が急増、生活苦に陥る人が多いニューヨーク。このような状況を受け、クイーンズ美術館は、食糧提供のための食糧貯蔵室を施設内に用意。6月17日以降毎週水曜日に1000世帯に1週間分の食糧を配布している。 https://hyperallergic.com/572991/queens-museum-pantry-covid-19/ ◎イギリスは過去最大規模の文化支援パッケージ 7月5日、イギリス政府は新型コロナウイルス感染拡大による長引く経済被害を受け、支援金として15億7000万ポンド(約2100億円)を文化芸術界へ計上。ミュージアムをはじめ、様々な文化組織が助成金や融資を受けることができ、アート関係のフリーランスの雇用も促進される。首相ボリス・ジョンソンはイギリス文化や芸術は「世界のクリエイティブ事業の中心であり、国を偉大にするものだ」とその支援の重要性を説いた。 https://www.theguardian.com/world/2020/jul/05/boris-johnson-uk-lifeline-arts-heritage-sector-afloat ◎ニューヨークのクオモ知事はミュージアム再開を延期 段階的に営業再開が進むニューヨーク。ニューヨーク市を除く州内すべての地域で、すでにミュージアムの再開を含む最終フェーズに入っている。しかしながら、他州での感染爆発などを受け、7月17日にクオモ知事はミュージアムの再開の延期を発表。7月下旬を再開予定としていた市の博物館などの開館は延期となった。なおメトロポリタン美術館は通常の25%の来館数で8月下旬の再開を目指している。 https://hyperallergic.com/577503/plans-to-reopen-nyc-museums-to-be-postponed-cuomo-says/ ◎アメリカ各地のミュージアムが経済対策「PPP」から融資 新型コロナウイルス感染拡大を受け、アメリカ政府が3500億ドル(約37兆5000億円)の予算を投じた経済対策「PPP(Paycheck Protection Program)」。中小企業に向けたローン形式の支援で、一定の条件を満たすと返済免除となる。アメリカの多くのミュージアムもこの融資を利用し、ニューヨークのホイットニー美術館やグッゲンハイム美術館は500万ドル(約5億4000万円)以上1000万ドル(約10億7000万円)以下の融資を受けた。 https://hyperallergic.com/576023/la-art-spaces-ppp-loans-in-the-millions/ ◎テキサスの医療団体が行動別の感染リスクをグラフ化 新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがないテキサス州。「テキサス医療組織(the Texas Medical Association)」は各行動による感染リスクを1〜9レベルまでに分けし、グラフ化したものを公開。レストランでのテイクアウト、テニスなどを低リスクのレベル2とし、バーに行くことをハイリスクのレベル9とした。ミュージアムへの訪問はレベル4で低〜中レベルに分類されている。 https://hyperallergic.com/575256/covid-19-graphic-texas-medical-association/ ▼7月3日 日本国内の動き ◎アート界支援のための#artforall_jp 新型コロナウイルス感染拡大によって甚大な経済被害を受けているアート界。これまで行われた映画界支援の#SaveTheCinema、音楽界支援の#SaveOurSpaceにつづき、アート界の支援を政府に要請するための#artforall_jpが発足。要請書には「実態に即した緊急支援」「不測時に備えた美術分野の環境整備」「国の文化芸術政策の決定プロセスへの恒常的な参加」を求める主に3つの要望が書かれており、署名を集めている。署名の受付期間は7月1日〜7月6日で、集まった署名は7月7日に文化庁や関係各省庁に提出する。 https://sites.google.com/view/artforall-jp/ ◎世田谷美術館で「作品のない展示室」開催 新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外からの作品借用が難しくなり、展覧会が相次いで延期や中止されるなどの状況を受け、世田谷美術館は「作品のない展示室」を開催。3月31日から臨時休館し、6月2日に再開した当館でも「驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥―版という場所で」などが中止となった。美術館のあり方を問う本展は7月4日~8月27日で同館の1階展示室で開催される。 https://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/special/detail.php?id=sp00203 海外の動き ◎「サザビーズ」のオンラインセールで総額約400億円落札 6月29日に新型コロナウイルス感染拡大を受け3大陸で同時オンライン開催された老舗オークション会社「サザビーズ(Sotheby’s)」のイブニングセール。オークション全体で近現代美術品が総額3億6320万ドル(約390億2900万円)で落札された。主要作品はフランシス・ベーコン、バスキアなど。最高落札価格は1981年にフランシス・ベーコンによって制作された「Triptych」の8450万ドル(約90億8000万円)となった。 https://www.artnews.com/art-news/market/sothebys-global-hybrid-online-evening-sale-soars-to-363-2-million-1202692942/ ◎ニューヨーク拠点の8つのアート団体がマイノリティのための共同体を設立 新型コロナウイルス感染拡大により甚大な被害を受けるニューヨークのアート界。地域のマイノリティコミュニティと深い関わりのある8つの芸術団体は共同で「ラテンクス/POC芸術遺産コンソーシアム(Latinx/POC Arts Legacy Consortium)」を設立。経済的な打撃が特に深刻なマイノリティーが居住するハーレム地区やサウスブロンクス地区などを中心にクリエイティブワーカーのための援助金を給付するなどの共同支援策を講じる。 https://www.norwoodnews.org/bronx-arts-culture-groups-unite-to-form-latinx-poc-arts-legacy-consortium/ ◎ニューヨーク市立博物館がパンデミックに関連した展覧会開催 新型コロナウイルス感染拡大により休館中のニューヨーク市立博物館(Museum of the City of New York)は190万ドル(約2億円)の赤字、フルタイムスタッフの20%が解雇、館長の給与は25%減額を経験。そんななか7月23日に再開を予定。秋の展示期間には新型コロナウイルスによるパンデミックに関する展覧会「ニューヨークがこたえる: コロナを超えて(“New York Responds: Beyond Covid”)」を開催する。休館中に収集したパンデミック下の都市の写真4,000枚以上などを展示する。 https://www.nytimes.com/2020/06/28/arts/museum-of-the-city-of-new-york-reduced-but-reopening.html ◎アイ・ウェイウェイ制作のチャリティーマスクが143万ドルの収益 新型コロナウイルス感染拡大を受け医療従事者を支援するためチャリティーマスクを制作販売したアーティストのアイ・ウェイウェイ(Ai Weiwei)。ebayで販売したマスクは1枚50ドル(約5400円)で、発売から1ヶ月で2万2528枚の売上を記録。収益は約143万ドル(約1億5000万円)となり、すべて国境なき医師団などの非営利団体に寄付される。
▼6月26日 日本国内の動き ◎政府による文化芸術分野の緊急個人支援詳細が明らかに 新型コロナウイルス感染拡大を受け用意された「文化芸術活動への緊急総合支援パッケージ」の個人向け支援の内容が明らかになった。対象は、標準的な取組を行う個人等、積極的な取組を行う個人等、小規模団体の3つに分けられる。標準的な取組を行う個人等へは20万円まで、その他2つに対しては150万円まで給付可能。フリーランス、財団法人、非営利団体など幅広く応募できる。活動自粛により大きな影響を受けたことなどを含む3つの応募条件があり、6月下旬には募集案内が公開予定。 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/pdf/202006231400_02.pdf ◎大阪でパンデミック被害アンケートの結果公開 一般財団法人「おおさか創造千島財団」は大阪市文化振興会議「大阪アーツカウンシル」と協力し、大阪府の文化芸術活動における新型コロナウイルス感染拡大の影響についてアンケート調査を実施、結果を公開した。調査対象は大阪府在住または大阪府内が活動拠点の文化芸術に関わる個人や団体など。調査期間は5月28日から6月5日までで、ウェブ上で行われた。有効回答数は個人748件、団体や事業所が162件で合計910件。個人、団体ともに約9割がパンデミックの影響でイベントなどが延期や中止となり、損失分や活動再開のための支援の必要性が示された。 http://www.chishimatochi.info/found/news/3902/ ◎早稲田大学坪内博士記念演劇博物館が資料を収集 国内外の演劇や映像に関連する資料を収蔵している早稲田大学坪内博士記念演劇博物館。新型コロナウイルス感染拡大により公演中止や延期を余儀なくされた演劇関連資料の収集を開始。劇団、劇場関係団体に、公演チラシやポスター、パンフレットや、中止を知らせるメール等の提供を呼びかけている。収集した資料は「2020年に上演が叶わなかった公演の記録/記憶を後世に伝える」ため展覧会やオンライン展示にて公開される。 https://www.waseda.jp/enpaku/covid19_notice_research/ ◎チームラボが鑑賞中の感染予防アプリ配信 新型コロナウイルス感染拡大を受け、ミュージアム向けの入場者数管理システム「チームラボチケットシステム」をリリースした「チームラボ」。それに続き、感染予防対策ツール「チームラボガイドアプリ」を配信開始した。来場者のスマートフォンから位置を把握し、展示物の解説、動画、画像等を自動表示し、音声ガイドとしても利用できる。紙のリーフレットの削減や、音声ガイド機器の貸し出しによる間接接触の防止が期待される。「森ビルデジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」、「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」、「teamLab Borderless Shanghai」、「teamLab SuperNature Macao」などがすでに導入済み。 https://www.team-lab.com/guideapp/ ◎相次ぐ芸術祭延期を受けInstagramプロジェクト始動 新型コロナウイルス感染拡大の影響により相次ぐ芸術祭の延期を受け、5つの芸術祭に出展予定だったアーティストがInstagramプロジェクト「Artists’ Breath」に集結。発案は延期が決定している「房総里山芸術祭 いちはらアートxミックス」、「北アルプス国際芸術祭」、「奥能登国際芸術祭」のディレクターを務める北川フラム。6月15日からスタートしたプロジェクトでは、すでにイリヤ&エミリア・カバコフ夫妻などが画像を投稿。2021年春まで毎日1枚ずつ投稿されていく。 https://www.instagram.com/artistsbreathpress/ 海外の動き ◎ブルックリンでバーチャルアートブックフェア ニューヨークで毎年開催される「ブルックリン・アート・ブック・フェア(Brooklyn Art Book Fair)」は、新型コロナウイルス感染拡大を受け初のバーチャル開催を決定。2017年に始まったこのフェアは、小さな出版社や芸術団体が無料で参加できる数少ないイベントのひとつ。今年は人気出展者「Free Black Woman's Library」、「Printed Matter」、「Draw Down」や新規を含む合計47組が出展する。期間は6月25日から28日まで。 http://www.bkabf.info/ ◎メトロポリタン美術館が8月29日に再開見込み ニューヨークのメトロポリタン美術館は、新型コロナウイルス感染拡大を受け3月中旬から5ヶ月間閉鎖していた5番街の本館を8月29日に開館予定。なお、ニューヨーク市の段階的な規制緩和が第4段階にあることが条件。ワシントンハイツにある別館クロイスターズ(the Met Cloisters)は9月の再開を予定している。 https://www.theartnewspaper.com/news/met-plans-to-reopen-flagship-building-on-29-august-after-five-month-shutdown ◎フリーズ・ロンドンは規模縮小で開催 ロンドンで毎年10月に開催されるイギリス最大級のアートフェア「フリーズ・ロンドン(Frieze London)」は、新型コロナウイルス感染拡大を受け規模を縮小し開催することを決定。会場をひとつに集約し、オンラインチケットを導入、入り口には赤外線体温計を設置するなどの対策が行われる。感染拡大により中止が余儀なくされた場合には、出展ギャラリーに出展料が全額返金される。 https://frieze.com/fairs/frieze-london ◎サンフランシスコのアートセンターが支援金情報サイトを開設 サンフランシスコの現代アートセンター「イエルパ・ブエナ・アートセンター」は新型コロナウイルス感染拡大を受け設立された緊急支援金情報へ簡単にアクセスできるウェブサイトを5月12日に開設。サンフランシスコのソフトウェア会社「Zendesk」による助成金をもとに、現在も情報が更新されている。サイトは「支援金が欲しい人」「学びたい人」「関わりたい人」「助けたい人」と利用者の目的別に分けられ、各々が必要な情報にリーチすることが可能。 https://artistsupport.ybca.org/hc/en-us ◎ロサンゼルス市は支援金調達のためのバーチャルイベント開催 ロサンゼルス市の文化部門は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた市内のアーティストを支援する緊急基金を設立。資金調達を目的にオンラインサービス「Zoom」でバーチャルテレソンイベント「Transformation Through Transportation」を開催する。マルチメディアアーティストや市立図書館などが参加しパフォーマンスやメッセージを発信する。開催は6月26日12時から20時(PDT)、27日と28日は14時から22時(PDT)の3回の予定。 https://culturela.org/grants-and-calls/aer-fund/ ◎イギリスの芸術基金や公的機関による大規模支援 イギリスの芸術基金「アート・ファンド(Art Fund)」や公的機関「アーツ・カウンシル・イングランド(Arts Council England)」はパンデミックで経済的被害を受けたミュージアムやギャラリー、アーティストなどのための支援パッケージを開始。「アート・ファンド」は200万ポンド(約2億7000万円以上)の資金を提供。ミュージアム、ギャラリー、図書館などは1万ポンド(約130万円)から5万ポンド(約670万円)までの給付金申請が可能。第1回申請期間は7月6日までで、その後も複数回募集が予定されている。その他小規模団体や巡回展への支援も行われる。「アーツ・カウンシル・イングランド」は約6500万ポンド(約87億円)の助成金を個人クリエーターや芸術団体などに分配。さらに9000万ポンド(約120億7000万円)の助成金の対象が7月には決定予定。 https://www.artscouncil.org.uk/covid19/data ◎「アート・バーゼル」にてデビッド・ラメラのバーチャル展示 アルゼンチン出身アーティストのデビッド・ラメラは、6月19日から26日までオンラインビューイングが行われるアートフェア「アート・バーゼル」にて自身の作品「Time」を初めてライブで実施。「Time」は、一列に並んだ人々が各々に時計を確認し、60秒間隔で正確な時刻を発声するもので、1970年、フランスのアルプスでの初演以来何度も実演された。パンデミック中にはYouTubeで2度発表。今回「アート・バーゼル」では、ブリュッセルのギャラリー「ヤン・モット(Jan Mot)」のオンラインビューイングルームにて、この作品が公開。世界各地の20人がZoom上で時刻を伝えた。「私たちは皆同じ時間の空間を共有している。...私たちは唯一無二の時間、つまり現在に生きているのです」と作家はコメントしている。 ▼6月12日 日本国内の動き ◎東京藝術大学が同大出身作家のための基金設立 新型コロナウイルス感染拡大を受け、東京藝術大学は同大出身の若手アーティストを支援するため「東京藝術大学 若手芸術家支援基金」を設立。対象者は、年齢が40歳までの在学生、卒業生、修了生。大学財源、一般企業の協賛金、基金への寄付、クラウドファンディングが資金源となる。クラウドファンディングでは、オンラインサービス「READYFOR」を利用し目標金額を5000万円と設定。30万円以上の支援者に対し、イベントへの招待や称号の授与などが行われる。寄附募集期間は6月9日~7月31日23時まで。 https://readyfor.jp/projects/power_to_the_arts ◎文化芸術への公的支援についてのレポート発表 文化政策、アートビジネスに関するコンサルティングを専門に行う一般社団法人芸術と創造(代表:綿江彰禅)が、日本人1万人を対象とした新型コロナに関する公的支援、あいちトリエンナーレ問題等に関する世論調査を実施。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う、文化芸術に従事している団体・個人への公的支援については52%が賛成、25%が反対。文化芸術のジャンル別では、舞台芸術の興行(音楽・演劇・ミュージカル・演芸等)>映画(映画館・映画配給・映画制作等)>美術展の開催(含む画廊・ギャラリー)の優先度であるとの認識が明らかになった。 https://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2020/06/pac_report_0611.html 海外の動き ◎ロンドンの主要現代美術ギャラリーが共同で再開計画を発表 6月4日からイギリスでは段階的経済活動再開のステップ3を適用し、エッセンシャルでない小売店の営業が可能となった。それを受け「デイビッド・ツビルナー(David Zwirner)」、「ホワイト・キューブ(White Cube)」「ハウザー&ワース(Hauser & Wirth)」などを含む14の現代アートギャラリーは共同でプレスリリースを公開。感染拡大予防のためのガイドラインなどをギャラリー間で共有し、6月15日から予約制で再開する計画を発表した。 https://news.artnet.com/art-world/central-london-galleries-reopen-1881276 ◎「アート・バーゼル」は中止、オンラインビューイング開催へ スイス、香港、アメリカで毎年開催される世界最大のアートフェア「アート・バーゼル」。新型コロナウイルス感染拡大を受け、3月開催予定だった「アート・バーゼル香港」が中止され、代わりにオンラインビューイングが行われた。それに続き、スイスでの開催も中止が決定。代替としてオンラインビューイングの開催される。プレビューは6月17日から6月19日まで、会期は6月19日から6月26日まで。 https://www.artbasel.com/viewing-rooms ◎ドイツは芸術・文化のための景気刺激策として約1200億円を計上 6月3日、ドイツのメルケル首相は新型コロナウイルス感染拡大の影響を「連邦共和国の歴史上最も深刻な経済危機」とし、景気刺激策として1300億ユーロ(約15兆8000億円)の計上を発表。そのうち10億ユーロ(約1200億円)が芸術・文化のために充てられる。資金は主に民間の文化機関や企業が必要なパンデミック対策へと使用され、政策には芸術・文化市場における付加価値税19%から16%の引き下げも含まれる。 https://www.theartnewspaper.com/news/german-government-earmarks-eur1bn-for-arts-in-eur130bn-pandemic-stimulus-package ▼5月28日 日本国内の動き ◎愛知県、若手作家の作品購入のため1億円の特別枠 愛知県知事は、新型コロナウイルス感染拡大で経済的被害を受けるアーティスト支援のため、愛知県美術館の作品購入予算に特別枠を設置。3年間で9000万円が充てられている美術館の通常購入枠とは別に、今年度から3年間で1億円の特別枠を設ける。20歳代から40歳代の日本在住若手アーティストの作品を重点的に購入することが目的。今年度は30人ほどの若手作家の作品購入のため、特別枠の約3分の2を活用する予定。 https://www.pref.aichi.jp/site/covid19-aichi/bunak0528.html ◎560億円の芸術文化政策予算の内容が明らかに 第2次補正予算の「文化芸術への緊急総合支援パッケージ」560億円のうち、509億円が「文化芸術・スポーツ活動の継続支援」に充てられた。対象は、フリーランスや技術者や制作スタッフなどを含む文化芸術・スポーツ関係団体など。活動内容に応じ、20万円から最大150万円まで支援を受けることが可能。小規模団体には、活動費として150万円まで支援。共同事業も人数に応じ最大1500万円まで応募できる。560億円のうち、50億円は「文化芸術収益力強化事業」として充てられる。150~2500万円規模の中・大事業を支援。パンデミック後の活動支援のため支援金が給付される。 https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/sonota_oshirase/2020020601.html 海外の動き ◎有色人種批評家への支援プログラム 「ネイサン・カミングス財団(Nathan Cummings Foundation)」と「フォード財団(Ford Foundation)」は助成金プログラム「クリティカル・マインデッド(Critical Minded)」を設立。新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的被害を受けた有色人種の文化批評家に、各500ドル(約5万4000円)を対象者数無制限で支給する。アメリカのマイノリティグループに所属していると自認し、2019年1月1日以降に英語またはスペイン語で文化批評を3本以上発表していることが条件。応募締め切りは6月8日23時59分(EDT)。 https://www.alliedmedia.org/criticalminded ◎テート・モダンとテート・ブリテンは8月に再開館計画 新型コロナウイルス感染拡大によって3月より臨時休業中の、イギリス国立近現代美術館を複数運営する「テート(Tate)」。そのうちテート・モダン(Tate Modern)とテート・ブリテン(Tate Briten)は、再開館時期として8月上旬を計画中。ソーシャルディスタンスを保つなどの感染予防策を実施し、パンデミック前の30%の来館者数を想定。アートメディア「the Art Newspaper」のインタビューで館長は、財政難に対応し展覧会時期を延長し費用を抑え運営全体での節約する意向を示した。 https://www.theartnewspaper.com/interview/interview-with-maria-balshaw ◎サザビーズのチャリティオークションとオンラインオークション 新型コロナウイルス感染拡大を受け、5月15日にオンラインオークションを行った老舗オークション会社のクリスティーズに続き、サザビーズ香港も、香港拠点のクリエイティブスタジオ「AllRightResereved」と提携し、パンデミックに応じたチャリテーオークションを6月に開催。収益はすベて慈善団体「桐華ホスピタルズ・グループ」による、パンデミックの影響を受けた家族への短期的資金援助プログラム「シェア・ラブ & ファイト・パンデミック(Share Love & Fight the Epidemic)」へ寄付される。オークションは6月8日22時から6月15日23時(EDT)までで、公式ウェブサイトから入札可能。また、サザビーズは5月開催予定だった年2回のビッグセールもオンラインで行う。6月29日18時30分(EDT)より開始、現代美術や印象派が中心に出品される。 https://www.sothebys.com/en/?locale=en ◎美術館駐車場に医療従事者へ感謝の巨大絵画 ニューヨークのクイーンズ美術館は、移民医療ネットワーク「SOMOS」や権利擁護団体「Make the Road New York」と協同し、新型コロナウイルス下の医療従事者への謝意を示す作品制作を主導。美術館の駐車場を活用し、キューバ系アメリカ人作家ホルヘ・ロドリゲス-ゲラダ(Jorge Rodríguez-Gerada)が巨大絵画を制作している。人工衛星からも鑑賞できる規模で「私たちは光だ(Somos La Luz)」と題したこの肖像画は、新型コロナウイルスで死亡した医師であり「SOMOS」秘書であるイデルフォンソ・デクー博士の目を題材としている。 https://somoscommunitycare.org/ ◎「Zoom」背景画像のためのアート作品まとめ 新型コロナウイルス感染拡大によりオンラインサービス「Zoom」の使用が増加。それに伴いメトロポリタン美術館やゲティ美術館など世界各国の博物館・美術館が、アートワーク公開しダウンロードを可能にしてきた。オンラインサービス「Zoom Museum」は、このような様々な機関が提供する作品を網羅的にまとめ、会議のニーズに合わせて紹介。各博物館・美術館の作品フォルダが整理されたオンラインストレージへのリンクなども公開している。 https://drive.google.com/drive/folders/1jwFIGDhpUsyb1l8bJpVxWWh5PtXSuCrG ◎ダミアン・ハーストがチャリティー販売活動の結果報告 イギリス拠点の作家ダミアン・ハーストは、新型コロナウイルス感染拡大を受け4月より行ってきた慈善販売活動の結果を報告。蝶の羽で虹形やハート形を埋め尽くした2種類の作品の販売は合わせて約300ポンド(約4億円)の収益を生んだ。収益は全て国民保健サービス(NHS)と、余った食品を慈善団体に配布する団体「The Felix Project」へと寄付される。 https://www.instagram.com/p/CAvFC4GHPp0/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=loading ◎アイ・ウェイウェイが作品をマスクにプリントしチャリティ販売 中国人アーティストのアイ・ウェイウェイは自身の過去の作品を1万枚のマスクにプリントし販売。マスクは1枚50ドル(約5400円)の価格でオークションサイト「eBay」にて販売され、収益金は「国境なき医師団」など複数の非営利組織に寄付される。作家のInstagramの投稿によると「どんな意志も小さ過ぎることはなく、どんな行動も役立たないことはない」と個々人の行動の重要性を説いている。
▼5月28日 日本国内の動き ◎ティルマンスのポスターキャンペーンに日本の9のスペースが参加 今年4月、写真家のヴォルフガング・ティルマンスが主宰する非営利団体「Between Bridges」が立ち上げたポスタープロジェクト「2020Solidarity」。ポスターは新型コロナウイルスの影響で経済的危機に直面する世界の文化・音楽関連の施設、コミュニティプロジェクト、その他のインディペンデントスペースに配布され、ポスター販売時の収益は各団体の活動資金に充てられる。5月27日、日本からamala、ASAKUSA、clinic、ダイトカイ、IACK、POST、torch Press、twelvebooks、Utrechtが参加し、販売をスタートした。 https://www.tokyoartbeat.com/tablog/entries.ja/2020/05/2020solidarity.html ◎補正予算のうち560億円を文化芸術支援へ 新型コロナウイルス感染拡大による経済被害に対応するため、政府は5月27日に31兆9114億円の第2次補正予算案を閣議決定。そのうち文化芸術支援として560億円が充てられた。文化芸術振興議員連盟が文部科学省に文化芸術支援予算500億円を含める要望が反映されたかたちとなる。 https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/22021 海外の動き ◎鑑賞中のソーシャルディスタンスをウェアラブルデバイスで維持 ニューヨークのアートセンター「マガジーノ・イタリア・アート(Magazzino Italian Art)」は再開に向けパンデミック対策ガイドラインの実施だけでなく、装着可能なデバイスを独自に導入。ウェアラブルデバイス「EGOpro Active Tags」は装着したもの同士の距離を認知し、近距離になるとフラッシュライトと振動を発生。装着者に距離を保つことを促す機能がある。当館は鑑賞中でもソーシャルディスタンスを保つため、再開時には来館者に装着を義務付ける。 https://hyperallergic.com/567055/magazzino-art-foundation-social-distancing-device/ ◎ターナー賞の賞金をアーティスト支援金へ ロンドンのテート美術館は新型コロナウイルス感染拡大に対応し、毎年開催している現代美術賞「ターナー賞」を今年中止することを決定。代わりにより多くのアーティスト支援することを目的として「ターナー奨学金」を今年限り実施。6月末には賞の審査員によって10人のアーティストが決定する。各受給者には1万ポンド(約132万円)が給付される。 https://www.tate.org.uk/press/press-releases/tate-announces-turner-bursaries ◎アメリカで美術館再開の安全ガイドライン公開 新型コロナウイルス感染者数が落ち着きを見せているニューヨークでは博物館・美術館が再開準備へと動き出している。そんななか美術館への情報共有やガイドラインの提示などを行う非営利団体「アメリカ美術館連盟(American Alliance of Museum)」はパンデミック後の再開ガイドラインを発表。時間制チケットの発行、入場者数の制限、手指消毒器の設置などを含む感染拡大予防策の実施を呼びかけている。 https://www.aam-us.org/2020/04/29/how-to-get-ready-to-open-the-doors/ ◎議論から活動へシフトする支援プログラム アメリカのボルチモア美術館はパンデミックによる経済的被害を受けた地元アート支援のため、3つのプロジェクトを6月にスタートする。1つ目は20の地元ギャラリーへ運営費各2500ドル(約27万円)を援助し、美術館設立のプラットフォームでデジタル展示を行うもの。収益の100%をギャラリーが得られる。2つ目は50人までの地元アーティストの映像作品を美術館のウェブサイトからストリーミング配信するもの。アーティストには500ドル(約5万3000円)から750ドル(約8万円)のライセンス料が支払われる。そして最後は、地域住民へ1400個のアート制作キットを配布するというプロジェクト。美術館は、議論やプレゼンテーションからより活動的で直接的な協力や支援へシフトすることの重要性を主張した。 https://bmatomorrows.org/ ◎ネイティブアメリカンの美術大学が学費減額 ネイティブアメリカン芸術に特化したサンタフェの美術大学、アメリカン・インディアン・アート研究所(IAIA)は授業料を減額。新型コロナウイルス感染拡大による経済被害が深刻化していることを受け、学生支援を目的に実施。2020年秋から2021年春まで一年分の学費を10%減額した。その他、全生徒約500名のうち必要な生徒にはコンピュータの貸し出しや、インターネットやデータプランのための資金援助も行なっている。 https://iaia.edu/about/covid-19/ ◎車からアートを鑑賞する「DRIVE-BY-ART」 アーティストのワーレン・ナイディックは新型コロナウイルス感染拡大が深刻なアメリカで車からアート作品を見るプロジェクトをスタート。5月下旬にロングアイランドのルート27沿いで路上アート作品の展覧会「DRIVE-BY-ART(Public Art in This Moment of Social Distancing[社会的距離を置くこの瞬間のパブリック・アート])」を行い、ショーの成功を受け、ロサンゼルスでの開催も決定した。参加作家も50人から120人へと増員し、多くがアーティストの自宅やスタジオの近くに作品を設置。5月30日から31日までロサンゼルスのウエストサイドで開催される。 https://www.drive-by-art.org/
▼5月26日 日本国内の動き ◎「文化芸術復興基金」創設に向けた#WeNeedCultureアクション 新型コロナウイルス感染拡大に伴い経済危機に直面する文化芸術分野を垣根なく支援するため、映画、演劇、音楽の各支援プロジェクト「SAVE the CINEMA」「演劇緊急支援プロジェクト」「SaveOurSpace」は共同アクションを開始。#WeNeedCultureと題されたこのアクションは政府へ「文化芸術復興基金」創設を要望するもの。多岐にわたる芸術分野への即時支援の必要性を主張し、5月22日には記者会見も行われた。SNSでのタグ付け投稿によるアクション参加を呼びかけている。 https://weneedculture.org/ ◎文化芸術振興議員連盟が文科省へ500億円給付を要望 超党派で構成される文化芸術振興議員連盟は、新型コロナウイルス感染拡大で経済被害を受けた文化芸術分野の緊急支援を萩生田光一文科大臣に要望。第2次補正予算案へ緊急支援金を盛り込むことを訴えた。活動休止を余儀なくされたアーティストやスタッフ約10万人を対象に各20万円、文化芸術団体へ維持費として合計300億円、合わせて500億円を求めている。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-05-26/2020052612_01_1.html ◎パンデミック下のアジア交流事業の支援プログラム 新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの国際交流事業が停滞していることを受け、独立行政法人国際交流基金の国際交流基金アジアセンターは「アジア・市民交流助成(新型コロナウイルス対応特別プログラム)」を立ち上げた。日本とASEAN10ヶ国の人々が主体で、国境を越える移動のない共同事業を対象に経費の一部を助成。支給額は1件あたり最大200万円。応募期間は6月1日から10月中旬を予定している。 https://www.jpf.go.jp/j/program/ac.html#ac_2-1 ◎日本芸術文化振興会が復興基金を設立し寄付募る 独立行政法人日本芸術文化振興会は「文化芸術復興創造基金」を設立し、芸術団体への支援を目的とし寄付を募っている。1口1000円からの寄付が可能で、1000万円に達した時点で助成を開始。助成金額は1件あたり100万円単位。対象は2月1日以降新型コロナウイルス感染拡大により助成を希望する月の前月以前の月の収入が前年同月比で減少している団体。 https://www.ntj.jac.go.jp/topics/top/2020/345.html ◎国立京都近代美術館が国立ミュージアム初の再開 京都国立近代美術館は、臨時休館となった2月29日から約3ヶ月ぶりとなる5月26日に活動再開。新型コロナウイルス感染拡大後の国立博物館・美術館として全国初となる。政府などの感染拡大予防ガイドラインをもとに、手指アルコール消毒、マスク着用、人数制限など鑑賞者へ協力を呼びかけながらの営業となる。 https://www.momak.go.jp/ 海外の動き ◎パンデミック下で自然をアートで再考するプラットフォーム ロンドンのカムデン・アート・センター(Camden Art Centre)は4月中旬開催予定だったアートとエコロジーと植物に関する展示「ボタニカル・マインド: アート、神秘、そして宇宙の木(The Botanical Mind: Art, Mysticism and the Cosmic Tree)」をパンデミックにより延期。代替としてオンラインプラットフォーム「ボタニカル・マインド・オンライン(The Botanical Mind Online)」をスタート。展示のキーとなるアイデアや作品にアクセスが可能。パンデミック下で自然との関わりについての人々の再考を呼びかけている。 https://www.botanicalmind.online/ ◎アジア人への偏見と差別に立ち向かうコレクション 新型コロナウイルス感染拡大によりアジア人への偏見と差別に立ち向かうため発足した「StopDiscriminAsian(SDA)」に続き、アメリカ華人博物館(MOCA)はコレクション「the OneWorld COVID-19」を公開。パンデミック下のニューヨークで、中国系アメリカ人による医療従事者支援や寄付活動など地域貢献の活動をまとめ発信するコレクションとなっている。 https://www.mocanyc.org/visit/ ◎イギリスが文化芸術復興・再生担当コミッショナーを任命 イギリスのデジタル・文化・メディア・スポーツ省大臣は、5月21日にパンデミック後の文化芸術復興を推し進めるコミッショナーとしてニール・メンドーザを任命。メンドーザは起業家で、オックスフォード大学オリオル・カレッジの学長。2017年にはイギリスの博物館・美術館の評価を主導し、持続可能で効果的な博物館・美術館の繁栄と維持のための支援の必要性を政府に提言している。 https://www.theartnewspaper.com/news/uk-government-appoints-commissioner-to-help-culture-sector ◎パンデミック後の北京で初のアートイベント 新型コロナウイルス感染拡大による規制が緩和されてきた北京では、パンデミック下で初のアートイベント「Gallery Weekend Beijing 2020」が5月22日に開幕。3月中旬の開催を延期したため、参加ギャラリー数は31から22へと減少。地域社会と連携しながら作品展示、トークイベント、そのほか様々なプログラムを実施する。展示空間ではアルコール消毒や人数制限などを徹底。訪問できない人のためには、アプリを通して体験可能な展示やプログラムを配信、オンラインフォーラムも開催する。5月31日までの開催。 http://www.gallery-weekend-beijing.com/ ◎オンラインゲーム内のギャラリー ゲームデザイナーのパオロ・ペデルチーニは、新型コロナウイルス感染拡大が深刻なアメリカで、ペンシルベニア州にある自身のゲームスペース「LIKELIKE」の休業を余儀なくされ、オンラインゲーム「LIKELIKEOnline」をローンチ。そのなかで、ギャラリー「oMoMa」をスタートさせた。レトロゲームを彷彿とさせるドットを用いたグラフィックが特徴で、ゲーム内のアバターを使いギャラリーへのアクセスが可能。 https://likelike.glitch.me/?room=likelikeOutside ◎香港でアートフェア開催 新型コロナウイルス感染拡大により世界中のアートフェアの開催見通しが立たないなか、「香港アートギャラリー協会(the Hong Kong Art Gallery Association)」はアートフェア「Unscheduled」を開催。参加ギャラリーは香港拠点のキュレーターのイン・クォック(Ying Kwok)やアーティストのサラ・ウォン( Sara Wong)らによって選考。展示のなかにはソーシャル・ディスタンスの概念を反映させたものもある。チケットは80香港ドル(約1100円)で、期間は6月17日から6月27日まで。 https://hk.asiatatler.com/life/unscheduled-new-art-fair-hong-kong ▼5月21日 日本国内の動き ◎横浜市が独自の文化芸術支援 横浜市は新型コロナウイルス感染拡大により経済的困難に陥っているアーティストや文化芸術分野の事業者が活動継続のための支援金給付を決定。内容は活動再開にかかる経費、現在行なっている文化芸術活動の経費、活動再開時の感染症拡大防止策の経費の3つで、すべて活動経費に使用されることが目的。対象者は、市内在住または市内に活動拠点を置き、美術、音楽、映像、舞踊、伝統芸能などで過去1年以内に対価を得た活動実績がある者。企画、制作や運営を行う事業者や施設運営者なども応募できる。最大30万円の支援で、450件程度を採択予定。申請期間は5月28日から6月10日となっている。 https://covid19.yafjp.org/grants1/ ◎「チームラボ」が来館者システムをリリース 美術館、博物館、水族館、遊園地などの施設の新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、デジタルコンテンツ制作会社「チームラボ」は時間制来館者システム「チームラボチケッティングシステム」をリリース。時間指定チケットをオンラインで販売するなど施設やイベントでの時間あたりの人数を管理できる。QRコードチケットとなるため専用機器などは必要なく、導入は最短で1ヶ月可能。 https://www.team-lab.com/ticket/
チームラボチケッティングシステム
海外の動き ◎ユネスコと国際博物館会議は世界の約13%のミュージアムが再開不可能と報告 国連機関のユネスコと国際博物館会議(ICOM)は新型コロナウイルス感染拡大による博物館や美術館への影響を調査し公開。パンデミック以降、世界の美術館・博物館の約90%にあたる8万5000館が休館し、そのうち約13%が再開不可能と発表。またアフリカやカリブ海、太平洋の小国では、オンライン事業を展開する美術館・博物館はわずか約5%にとどまっていることも報告された。ユネスコとICOMは今回の調査に基づき、世界の美術館・博物館への近日中の支援を予定。 https://en.unesco.org/news/covid-19-unesco-and-icom-concerned-about-situation-faced-worlds-museums ◎アメリカ博物館協会が議会に約4300万円の予算割り当てを要請 アメリカ博物館協会(American Alliance of Museums)はアメリカ合衆国議会に対し、新型コロナウイルス感染拡大による深刻な経済的危機を受ける非営利の美術館・博物館全体に対して予算40億ドル(約4300万円)の割り当てを要請。全米の美術館・博物館閉鎖は1日に少なくとも3300万ドル(約36億円)の損失を発生させ、地方の小規模な美術館・博物館の約30%が、緊急の大規模財政支援なしには再開不可能であることを強調した。 https://hyperallergic.com/548549/4-billion-for-museums-congress/ ◎パンデミック下で対話を呼びかけるオンライン展示 美術批評家でキュレーターのバーバラ・ポロックとニューヨーク拠点キュレーターのアン・バーハーレンは3月14日に共同でオンライン展覧会「こんな時代にアートをどう捉えよう?(How Can We Think of Art at a Time Like This?)」をスタート。パンデミック下で人々が社会的距離を保つなか、展示が意見交換の場、アートで対話する場として機能することを目指している。現時点ではアルフレッド・ジャー、ローリー・シモンズ、日本からは束芋やChim↑Pomなど約30名の参加が発表されている。 https://artatatimelikethis.com/ ◎アメリカのアートディーラーの収益73%損失、世界のギャラリーの3分の1が倒産危機 5月19日、非営利組織「アメリカ・アートディーラー協会(ADDA)」は新型コロナウイルス感染拡大によりアートディーラーが受けた被害調査を発表。第2四半期会計期間における収益が73%損失することを見込んでいる。また世界の約3分の1のギャラリーがこの経済危機を乗り越えることができないと報告。ADDAは非営利団体「ニュー・アート・ディーラー・アライアンス(NADA)」と協力し、支援法案の可決へ議会に働きかけている。 https://artdealers.org/about/survey https://www.theartnewspaper.com/news/adaa-covid-19-report ◎誰でもバーチャル展示可能なツール イギリスの文化と教育の慈善団体「Art UK」は誰でもバーチャル展示ができる無料オンラインツール「Curations」をリリース。4万6000人のアーティストによる25万点から自ら作品を選びキュレーションが可能。自分のつくった展示にコメントやメモの追加する機能や、作品整理、公開設定、SNSで共有する機能も備えている。「Art UK」はパンデミックによる自粛期間でもこのツールを通してアートに触れてほしいと利用を呼びかけている。 https://www.artuk.org/discover/stories/art-uk-launches-curations-what-will-you-make-of-it

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