
雨に濡れる紫陽花を見かけることが多くなったこの季節。東京では、無料で楽しめる魅力的な展覧会が多数開催されている。今月は黒坂圭太、アントン・レヴァ、竹沢うるまの写真展など、無料で気軽に訪れることができる展覧会を9件セレクトした。
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本展は、キュレーター・飯田高誉による企画展。気候変動やテクノロジーの特異点を経た「50年後の未来(2076年)」という視座から現代を遡り審問(Retrospective Inquiry)する試みだ。物理的な光の分布としてのスペクトラムのみならず、ジャック・デリダが提唱した「憑存在(ハントロジー)」における亡霊(Specter)の多義性にも目を向ける。各作家が提示する視覚体験を通じて、鑑賞者は自らを「未来から現在へと送り込まれた亡霊(スペクター)」であるかのような感覚に導かれ、現在を未来の視点から問い直すことになるだろう。
会場:GYRE GALLERY
会期:5月22日〜7月12日
Anton Reva(アントン・レヴァ)による日本初の個展。アントンは写真、映像、コラージュ、プリント、インスタレーションを横断しながら、現代における不安、孤独、アイデンティティの揺らぎを探求してきたアーティストだ。本展は、全99点の「NERVOUS」と全32点の「WATGT(What Are They Going Through)」というふたつのシリーズを軸に、知覚の脆さや内なる声、アイデンティティ、つながりへの問いを描き出す。インタビューはこちら。
会場:DIESEL ART GALLERY
会期:4月25日〜7月12日
エキソニモは千房けん輔と赤岩やえにより1996年に結成されたアーティスト・デュオ。ニューヨークを拠点に、デジタルとアナログ、物理空間と情報空間を横断し、ネットワーク社会がもたらす変容を批評性とユーモアを交えて表現する。本展では「ランダム性」をテーマに、新作インスタレーションを含む作品群が展示される。個人の代替不可能性が可視化されることで、「ランダムであること」「自分であること」「知らない人であること」という不確実性が絡み合う展示空間が生まれる。
会場:WAITINGROOM
会期:6月6日〜7月5日
本展は、無秩序や暴力といったステレオタイプ的なアナキズムから距離を置きつつ、現代アートを抵抗と共有の実践が展開される実験の場としてとらえる。参加アーティストたちは権力構造に対抗し、日本におけるアナキズムの美学を再考する。資本主義社会、生産、移民、街に暮らす人々の記憶と歴史、原子爆弾など多岐にわたるテーマの作品が集結する。
会場:東京日仏学院
会期:5月16日〜6月21日
本展は、写真家・竹沢うるまの初期作品集『Walkabout』から最新作『Boundary』シリーズまでを網羅した約50点で構成される写真展。南米、アフリカ、アジア、太平洋諸国を舞台に、鬱蒼としたジャングルの奥地や砂嵐の先の集落で生きる人々をとらえた作品群は、「自然と人間」という境界を超えた世界観を提示する。
会場:art cruise gallery by Baycrew's
会期:4月23日〜6月21日
アイルランド出身の作家ジョナサン・スウィフトによって1726年にロンドンで出版された『ガリヴァー旅行記』。300年にわたって読み継がれてきた本書には、ユーモラスかつシニカルなガリヴァーの変幻自在な視点と好奇心が刻み込まれている。本展では、慶應義塾が有する日本の貴重な古典籍から本書に秘められた作者のメッセージと、ガリヴァーが日本を訪れた東西交流の実相を探る。
会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
会期:6月1日〜7月30日
アーティスト・Lottaによる新作個展。Lottaが描くキャラクター・ソックスを投影したセルフポートレートを軸に、豊かな物語性を秘めた作品群が公開される。Lottaの独自の視点と色彩で表現された「ユートピア」は、訪れる者を優しく包み込むだろう。
会場:Gallery & Bakery Tokyo 8分
会期:5月16日〜6月16日
黒坂圭太はアナログ描画を中心に多様な技法を取り入れながら独自のアニメーション表現を探求し続け、その緻密な作品は国内外で高く評価されている。本展では、作品上映および原画・絵コンテをはじめとする多様な資料展示を通じて、黒坂の創作の軌跡をたどる。現在制作中の最新作の一部も公開される。
会場:武蔵野美術大学 美術館・図書館
会期:6月15日〜7月18日
宮﨑勇次郎の、多種多様なイメージを等価に組み合わせる手法は、インターネットを通じて世界中の情報を日常的に消費する現代の私たちを写し出す。公開作品のタイトル「パークライフ」は、互いの社会的属性やプライバシーに深入りせず気軽に交流できる場としての公園をコンセプトに、多様なイメージが凝集しながらも特定の物語に回収されない宮﨑の世界観を体現している。宮﨑による摩訶不思議なイメージの連鎖を、ぜひ体験してほしい。
会場:府中市美術館
会期:5月23日〜9月6日