公開日:2024年12月19日

2025年のおすすめ展覧会36選[東京編]

ひとりで、デートで、家族で。東京都内の美術館で開催される、2025年注目の行くべき展覧会をピックアップ!
  1. 【1〜3月】「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館)
  2. 【1〜3月】「今津景 タナ・アイル」(東京オペラシティ アートギャラリー)
  3. 【1〜3月】「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギャラリー)
  4. 【1〜4月】「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(森アーツセンターギャラリー)
  5. 【2月】「CURATION⇄FAIR Tokyo」(kudan house)
  6. 【2月〜6月】「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」(森美術館)
  7. 【2月〜5月】「異端の奇才――ビアズリー」(三菱一号館美術館)
  8. 【3月〜5月】「手塚治虫『火の鳥』展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-」(六本木ヒルズ・東京シティビュー)
  9. 【3月〜5月】「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」(東京都庭園美術館)
  10. 【3月〜5月】「松山智一展 FIRST LAST」(麻布台ヒルズ ギャラリー)
  11. 【3月〜6月】ヒルマ・アフ・クリント展(東京国立近代美術館)
  12. 【3月〜6月】「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(国立西洋美術館)
  13. 【3月〜6月】「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」(国立新美術館)
  14. 【3月〜6月】「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」(アーティゾン美術館)
  15. 【3月〜7月】「ミロ展」(東京都美術館)
  16. 【4月〜6月】「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て(仮称)」(東京ステーションギャラリー)
  17. 【4月〜6月】「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(東京国立博物館)
  18. 【4月〜7月】岡﨑乾二郎(東京都現代美術館)
  19. 【5月〜9月】「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」(三菱一号館美術館)
  20. 【5月〜11月】「ゴッホ・インパクト(仮)」(ポーラ美術館)
  21. 【6月〜9月】「オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート」(アーティゾン美術館)
  22. 【7月〜8月】「藤田嗣治 絵画と写真」(東京ステーションギャラリー)
  23. 【7月〜9月】「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館)
  24. 【7月〜9月】「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの-民藝から現代まで」(パナソニック汐留美術館)
  25. 【7月〜9月】「江戸☆大奥」(東京国立博物館)
  26. 【7月〜11月】藤本壮介展(森美術館)
  27. 【9月〜12月】「日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)」(国立新美術館)
  28. 【9月〜11月】「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」(東京国立博物館)
  29. 【9月〜11月】「円山応挙―革新者から巨匠へ」(三井記念美術館)
  30. 【9月〜12月】「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京都美術館)
  31. 【10月〜11月】「重要文化財「黒き猫」修理完成記念 永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―(仮)」(永青文庫)
  32. 【10月〜12月】「ウィーン・スタイル―ビーダーマイヤーと世紀末 ライフスタイルとしてのデザイン」(パナソニック汐留美術館)
  33. 【10月〜12月】修理後大公開! 静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝(静嘉堂文庫美術館)
  34. 【10月〜2026年1月】「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」(アーティゾン美術館)
  35. 【10月〜2026年2月】「オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語」(国立西洋美術館)
  36. 【12月〜2026年4月】「六本木クロッシング2025展」(森美術館)

【1〜3月】「ル・コルビュジエ 諸芸術の綜合 1930-1965」(パナソニック汐留美術館)

近代建築の巨匠として世界的に知られ、視覚芸術の他分野においても革新をもたらしたル・コルビュジエ。本展は1930年代以降にコルビュジエが手がけた絵画、彫刻、素描、タペストリーを紹介し、さらに彼が求め続けた新しい技術の芸術的利用にもスポットを当てる。そして後期の建築作品も併せて紹介することで、はるかに伝統的な枠組みを超えたル・コルビュジエの円熟期の芸術観を明らかにする。

会場:パナソニック汐留美術館
会期:1月11日〜3月23日

【1〜3月】「今津景 タナ・アイル」(東京オペラシティ アートギャラリー)

インターネットやデジタルアーカイヴといったメディアから採取した画像を、コンピュータ・アプリケーションで加工を施しながら構成、その下図をもとにキャンバスに油彩で描く手法で作品を制作する今津景。今津は2017年にインドネシアのバンドンに制作・生活の拠点を移し、近年の作品は、インドネシアの都市開発や環境汚染といった事象に対するリサーチをベースにしたものへと移行している。タイトルにある「タナ・アイル」とは、インドネシア語で「タナ(Tanah)」が「土」、「アイル(Air)」が「水」を指し、二つの言葉を合わせると故郷を意味する言葉になる。作家初の大規模個展。

会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:1月11日〜3月23日

【1〜3月】「生誕120年 宮脇綾子の芸術 見た、切った、貼った」(東京ステーションギャラリー)

身近なものを対象に、布と紙で美しく親しみやすい作品を生み出した宮脇綾子(1905〜95)。アップリケ、コラージュ、手芸などに分類されてきた彼女の作品は、しかしいずれの枠にも収まりきらない豊かな世界を作り上げている。本展では、宮脇をひとりの優れた造形作家としてとらえ、約150点の作品と資料を造形的な特徴に基づいて8章に分類・構成。分析を通してその芸術に新たな光を当てる。

会場:東京ステーションギャラリー
会期:1月25日〜3月16日

【1〜4月】「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」(森アーツセンターギャラリー)

ブルックリン博物館が誇る古代エジプトコレクションから、彫刻、棺、宝飾品、陶器、パピルス、そして人間やネコのミイラなど約150点の遺物を通じて、高度な文化を創出した人々の営みをひもとく。これまでのエジプト展で見過ごされてきた「知っているようで知らない事実」から最新技術を使ったピラミッドの研究成果まで、映像や音声も交えて紹介。新進気鋭のエジプト考古学者、河江肖剰が大型展初監修する。

会場:森アーツセンターギャラリー
会期:1月25日〜4月6日

【2月】「CURATION⇄FAIR Tokyo」(kudan house)

「CURATION⇄FAIR Tokyo」は、古美術・近代美術・現代美術・工芸を「見て」「買える」イベント。展覧会とアートフェアで構成され、展覧会を通じて美術作品への理解を深めるとともに、アートフェアでお気に入りの作品を購入できる機会を創出する。2025年は、展覧会が2月1日~16日、アートフェアが2月22日~24日に行われ、キュレーター・音響構成・会場構成として、遠藤水城、兼平彦太郎、岩田智哉、蓮沼執太、五月女哲平が顔を揃える。kudan houseで開催される展覧会は、遠藤、兼平、岩田がキュレーションを担当。

会場:kudan house(九段ハウス)
会期:2月1日〜2月24日

【2月〜6月】「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」(森美術館)

ゲームエンジン、AI、VR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented Reality:拡張現実)などのテクノロジー、さらにはアルゴリズムや生成AIなど人間の創造性を拡張するテクノロジーを採用した新しい「マシン」時代の現代アートを紹介する展覧会。出展作家は、キム・アヨン、ルー・ヤン(陸揚)、佐藤瞭太郎、ヤコブ・クスク・ステンセン、アドリアン・ビシャル・ロハスら。

会場:森美術館
会期:2月13日〜6月8日

【2月〜5月】「異端の奇才――ビアズリー」(三菱一号館美術館)

25歳で世を去った画家オーブリー・ビアズリー(1872〜98)は、ろうそくの光をたよりに、精緻な線描や大胆な白と黒の色面からなる、きわめて洗練された作品を描き続けた。本展は、19世紀末の欧米を騒然とさせたビアズリーの歩みをたどる、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)との共同企画。初期から晩年までの挿絵や希少な直筆の素描に加え、彩色されたポスターや同時代の装飾など、約200点を通じてビアズリーの芸術を見る。

会場:三菱一号館美術館
会期:2月15日〜5月11日

【3月〜5月】「手塚治虫『火の鳥』展 -火の鳥は、エントロピー増大と抗う動的平衡=宇宙生命の象徴-」(六本木ヒルズ・東京シティビュー)

数々の名作を生みだした手塚治虫が、自らのライフワークと宣言したマンガ『火の鳥』は、その血を飲んだものは永遠の命を得るという伝説の鳥“火の鳥”を追い求める人々の葛藤を描く一大傑作長編。過去と未来を交互に描きながら、「生と死」「輪廻転生」といった哲学的なテーマを縦横無尽に表現した本作の壮大な世界観は、いまもなお人々の心をとらえる。本展では、生物学者・福岡伸一が企画に携わり、30年以上の長きにわたって執筆された壮大な叙事詩を読み解く。

会場:六本木ヒルズ・東京シティビュー
会期:3月7日~5月25日

【3月〜5月】「戦後西ドイツのグラフィックデザイン モダニズム再発見」(東京都庭園美術館)

デュッセルドルフ在住のグラフィックデザイナーであるイェンス・ミュラーとカタリーナ・ズセックによって収集された「A5コレクション デュッセルドルフ」が所有する戦後西ドイツのグラフィックデザイン資料のなかから、幾何学的抽象、イラストレーション、写真、タイポグラフィの観点から選ばれたポスターを中心に、冊子や雑誌など多彩な作品を展示。バウハウスやウルム造形大学が提唱したデザイン教育を基盤としたモダニズムを継承しながらも、戦後の新しい時代の表現を追求した西ドイツにおけるグラフィックデザインの世界を紹介する。

会場:東京都美術館
会期:3月8日〜5月18日

【3月〜5月】「松山智一展 FIRST LAST」(麻布台ヒルズ ギャラリー)

ニューヨークを拠点にグローバルな活躍を見せるアーティスト松山智一の東京で初となる大規模個展。松山の日本初公開となる大規模作品、15点を含む約40点が展示される。さらにこの機会に、展覧会タイトルでもある新シリーズ「FIRST LAST」を発表。松山のアイデンティティを通してとらえたグローバルな現代社会のリアリティを、迫力ある色彩と壮大なスケールの絵画で体感できる。

会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
会期:3月8日〜5月11日

【3月〜6月】ヒルマ・アフ・クリント展(東京国立近代美術館)

スウェーデン出身の画家ヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)は、ワシリー・カンディンスキーやピート・モンドリアンら同時代のアーティストに先駆け、抽象絵画を創案した画家として近年再評価が高まっている。2018年にグッゲンハイム美術館(アメリカ)で開催された回顧展では、同館史上最多となる60万人もの動員を記録した。本展では、高さ3mを超える10点組の絵画をはじめ、すべて初来日となる作品約140点が出品。代表的作品群を中心に、5章立ての構成により画業の全貌を見る。

会場:東京国立近代美術館
会期:3月4日~6月15日

【3月〜6月】「西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館」(国立西洋美術館)

サンディエゴ美術館は、米国西海岸において最初期に収集された充実した西洋絵画のコレクションを有し、国立西洋美術館は東アジアにおいて唯一の体系的な西洋絵画のコレクションを誇る。本展では、両館の所蔵品から約90点を掛け合わせて、ルネサンスから19世紀印象派までの600年にわたる西洋美術の歴史をたどりながら、「作品をどのように見るとより楽しめるか」を提案。関連する作品をペアや小グループごとに展示、比較することで、様々な角度から絵画が持つストーリーを深掘りできる。

会場:国立西洋美術館
会期:3月11日〜6月8日

【3月〜6月】「リビング・モダニティ 住まいの実験 1920s-1970s」(国立新美術館)

20世紀に始まった住宅をめぐる革新的な試みを、衛生、素材、窓、キッチン、調度、メディア、 ランドスケープという、モダン・ハウスを特徴づける7つの観点から再考する。本展で取り上げる住宅の多くは、建築家たちの自邸。国内はもとより、アメリカやヨーロッパ、ブラジルなどから、貴重な作品が集結。図面、模型、外観や内観の写真に加え、建築家自らが描いたドローイング、建築家が住まいとともにデザインした家具や生活道具、映像など、バラエティに富んだ内容を紹介する。

会場:国立新美術館
会期:3月19日〜6月30日

【3月〜6月】「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」(アーティゾン美術館)

テキスタイル・デザイナーとしてキャリアを開始し、緻密な幾何学的形態による構成を、絵画や室内空間へと領域を横断しつつ追求したゾフィー・トイバー=アルプ(1889〜1943)と、詩人としての顔を持ちながら、偶然的に生まれる形態に基づき、コラージュやレリーフ、彫刻を制作したその夫、ジャン・アルプ(1886〜1966)。その協働制作の試みと、協働創作の可能性を再考する。ドイツとフランスのアルプ財団をはじめとする国外のコレクションより、ゾフィー・トイバー=アルプの作品約50点、ジャン・アルプの作品約40点、両者のコラボレーション作品約15点、計100点余りを出品予定だ。

会場:アーティゾン美術館
会期:3月1日〜6月1日

【3月〜7月】「ミロ展」(東京都美術館)

1893年にスペインのカタルーニャ州に生まれたジュアン・ミロ(1893~1983)。同郷のピカソと並び20世紀を代表する巨匠に数えられ、太陽や星、月など自然のなかにある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特な画風は日本でも高い人気を誇る。本展は、「星座」シリーズをはじめ、初期から晩年までの各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、90歳まで新しい表現へ挑戦し続けたミロの芸術を包括的に紹介。世界中から集った選りすぐりの傑作の数々により、ミロの芸術の真髄を体感できる空前の大回顧展となる。

会場:東京都美術館
会期:3月1日〜7月6日

【4月〜6月】「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て(仮称)」(東京ステーションギャラリー)

フィンランドのモダンデザイン界で存在感を放ったタピオ・ヴィルカラ(1915〜1985)の日本初となる大規模個展。1940年代後半から1950年代にかけて、イッタラ社のデザインコンペ優勝、ミラノトリエンナーレへの3度の入賞などによって脚光を浴びたヴィルカラは、自然の生命力や躍動にインスピレーションを受け、「世界の果て」を意味する《ウルティマ・ツーレ》をはじめとするガラスの名品や、陶磁器、カトラリー、家具、木のオブジェ、ランドスケープアートなど幅広い創作活動を展開した。エスポー近代美術館の協力で行われる本展では、プロダクト、ガラスや木による彫刻、写真など約300点を展示。

会場:東京ステーションギャラリー
会期:4月5日~6月15日

【4月〜6月】「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」(東京国立博物館)

江戸時代の傑出した出版業者である蔦重こと蔦屋重三郎(1750〜97)は、喜多川歌麿、東洲斎写楽といった現代では世界的芸術家とみなされる浮世絵師を世に出したことで知られる。江戸の遊郭や歌舞伎を背景に、様々な分野を結びつけながら出版業界に多くの新機軸を打ち出した蔦重。本展ではその蔦重の活動をつぶさに見つめながら、江戸の多彩な文化を紹介する。2025年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)とも連携し、江戸の街の様相とともに、蔦重の出版活動を多角的に見ることができる。

会場:東京国立博物館
会期:4月22日〜6月15日

【4月〜7月】岡﨑乾二郎(東京都現代美術館)

日本を代表する造形作家であるとともに、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域を手がけ、さらには文化全般にわたる批評家としても活躍してきた岡﨑乾二郎(1955〜)の核心に迫る東京における初の大規模な展覧会。2021年以降の新作を中心に、過去の代表作も網羅する。

会場:東京都現代美術館
会期:4月29日〜7月21日

【5月〜9月】「ルノワール×セザンヌ ―モダンを拓いた2人の巨匠」(三菱一号館美術館)

パリのオランジュリー美術館が、ピエール=オーギュスト・ルノワールとポール・セザンヌという二人の印象派・ポスト印象派の画家に、初めて同時にフォーカスし、企画・監修をした世界巡回展。三菱一号館美術館が日本唯一の会場となる。ルノワールの代表作《ピアノを弾く少女たち》やセザンヌの代表作《画家の息子の肖像》をはじめとし、二人の巨匠による肖像画、静物画、風景画、そして、二人から影響を受けたピカソを加え約50点の作品から、モダン・アートの原点を探る。

会場:三菱一号館美術館
会期:5月29日~9月7日

【5月〜11月】「ゴッホ・インパクト(仮)」(ポーラ美術館)

南仏アルルで制作された《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》(1888)、最晩年にフランスのオーヴェール=シュル=オワーズで制作された《アザミの花》(1890)をはじめ、3点のフィンセント・ファン・ゴッホ作品を収蔵しているポーラ美術館。開館以来初のゴッホをテーマにした展覧会となる本展では、ゴッホの作品や存在が様々な時代や地域に与えたインパクトを検証するとともに、現代における新たな価値を考察する。

会場:ポーラ美術館
会期:5月31日〜11月30日

【6月〜9月】「オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート」(アーティゾン美術館)

2006年にオーストラリア現代美術の展覧会を開催して以降、継続的に作品を収集してきた石橋財団が、初めて女性のアボリジナル作家に焦点を当てる展覧会を開催する。地域独自の文脈で生まれた作品の再考が進む近年の国際的な現代美術の動向とも呼応し、あらためて注目を集めているオーストラリア先住民によるアボリジナル・アート。展覧会では、所蔵作家4名を含む7名と1組の作家の作品を通して、現代の多様な表現を紹介するとともに、オーストラリア先住民美術への深い理解と認知を目指す。

会場:アーティゾン美術館
会期:6月24日〜9月21日

【7月〜8月】「藤田嗣治 絵画と写真」(東京ステーションギャラリー)

藤田嗣治(1886〜1968)の絵画制作を、「写真」を通じて再考する展覧会。世界中を旅した藤田は、生涯にわたって数千点におよぶ写真を残した。本展では、藤田の絵画に現れる写真の断片を探り当て、写真活用のプロセスを検証するとともに、日本とフランス・エソンヌ県に現存する彼の写真を多数紹介し、藤田の知られざる魅力に迫る。また、写真と絵画によって重層的かつ巧妙に演出された藤田自身のイメージにも注目。「描くこと」と「撮ること」を行き来した「眼の軌跡」を追いかけ、これまでにない語り方で藤田を紹介する。

会場:東京ステーションギャラリー
会期:7月5日~8月31日

【7月〜9月】「スウェーデン国立美術館 素描コレクション展―ルネサンスからバロックまで」(国立西洋美術館)

スウェーデン国立美術館のコレクションにフォーカスする本展では、ルネサンスからバロックまでの名品約80点を選りすぐって紹介。素描とは、木炭やチョーク、ペンなどを用いて対象の輪郭、質感、明暗などを表現した線描中心の平面作品を指すが、環境の変化や光、振動などの影響を受けやすいため、通常、海外で収蔵されている素描作品を日本で公開することは難しい。スウェーデン国立美術館の素描コレクションがこれほどまとまった数で来日するのは初めての機会となる。

会場:国立西洋美術館
会期:7月1日〜9月28日

【7月〜9月】「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの-民藝から現代まで」(パナソニック汐留美術館)

絵画的な表現を持った陶芸作品や絵画から影響を受けた陶芸などを「ピクチャレスク陶芸」ととらえ、20〜21世紀の日本の陶芸を横断的に紹介する。民藝からうつわ、伝統工芸、前衛陶芸、コンテンポラリーまでを含む約80点が集結。アートの視点から日本近現代陶芸史の一面を俯瞰する。

会場:パナソニック汐留美術館
会期:7月12日〜9月15日

【7月〜9月】「江戸☆大奥」(東京国立博物館)

華やかで美麗なイメージのある「大奥」の歴史と文化を、その虚実を通して見る展覧会。

会場:東京国立博物館
会期:7月19日~9月21日

【7月〜11月】藤本壮介展(森美術館)

東京とパリ、深圳に設計事務所を構え、個人住宅から大学、商業施設、ホテル、複合施設まで、世界各地でプロジェクトを展開している建築家の藤本壮介。《武蔵野美術大学美術館・図書館》(2010、東京)を手がけた後、近年では集合住宅《ラルブル・ブラン(白い樹)》(2019、フランス、モンペリエ)や音楽複合施設《ハンガリー音楽の家》(2021、ブダペスト)など高い評価を得たプロジェクトを次々と完成させ、現在「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーを担当。本展は、藤本にとって初の大規模な回顧展であり、活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで主要作品を多数紹介し、四半世紀にわたる建築家としての歩みや建築的特徴、思想を概観する。模型や設計図面、記録写真に加えて原寸大模型やインスタレーションなども展示に含まれる。

会場:森美術館
会期:7月2日~11月9日

【9月〜12月】「日本の現代美術と世界 1989‒2010(仮称)」(国立新美術館)

香港の現代美術館 M+(エムプラス)との初の共同企画となる本展では、日本の現代アートが歴史的遺産やアイデンティティの多様性といった主題にいかに取り組み、新しいコミュニティの可能性を模索してきたか、そして日本の美術と視覚文化がどのように世界に影響を与えてきたかを考察。「アイデンティティ」「記憶と反記憶」「関係のネットワーク」(仮)の3部構成で、国内外で活躍してきた日本のアーティストと海外のアーティストの作品がともに紹介される。

会場:国立新美術館
会期:9月3日〜12月8日

【9月〜11月】「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」(東京国立博物館)

鎌倉時代を代表する仏師・運慶の仏像が安置される空間をそのまま伝える奈良・興福寺の北円堂。本尊の弥勒如来坐像と、両脇に控える無著・世親菩薩立像は、運慶晩年の傑作として広く知られている。北円堂は通常非公開だが、弥勒如来坐像の修理完成を記念し、約60年ぶりの寺外公開が決定。本展では、弥勒如来坐像、無著・世親菩薩立像と、かつて北円堂に安置されていたとされる四天王立像の合計7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる。

会場:東京国立博物館
会期:9月9日~11月30日

【9月〜11月】「円山応挙―革新者から巨匠へ」(三井記念美術館)

当時の鑑賞者にとって、ヴァーチャル・リアリティーのような迫力で眼前に迫ってきた円山応挙の作品。その画風は瞬く間に京都画壇を席巻、多くの弟子が応挙を慕い、巨匠として円山四条派を形成した。本展では、応挙を18世紀京都画壇最大の革新者として、そこから「巨匠」になっていく様を、重要な作品を通して検証する。

会場:三井記念美術館
会期:9月26日~11月24日

【9月〜12月】「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京都美術館)

アムステルダムのファン・ゴッホ美術館には、画家フィンセント・ファン・ゴッホの約200点の油彩や500点にのぼる素描をはじめ、手紙や関連作品、浮世絵版画などが所蔵されている。そのほとんどは1973年の開館時に、フィンセント・ファン・ゴッホ財団が永久貸与したものだ。本展では、ファン・ゴッホ美術館の作品を中心に、ファン・ゴッホの作品30点以上に加え、日本初公開となるファン・ゴッホの手紙4通なども展示し、家族が守り受け継いできたコレクションを紹介する。なお本展は巡回展であり、大阪市立美術館で2025年7月5日〜8月31日、東京都美術館で2025年9月12日〜12月21日、愛知県美術館で2026年1月3日〜3月23日に開催(予定)。

会場:東京都美術館
会期:9月12日〜12月21日

【10月〜11月】「重要文化財「黒き猫」修理完成記念 永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―(仮)」(永青文庫)

重要文化財《黒き猫》は、36歳で夭折した画家・菱田春草が晩年に残した代表作のひとつ。同館でも不動の人気を誇る本作は、クラウドファンディングでの支援と、国・東京都・文京区からの補助により、初めて本格的修理が行われた。本展はその修理完成を記念するもので、《黒き猫》や《落葉》(重要文化財)など同館が所蔵する春草作品全4点を期間限定公開。

会場:永青文庫
会期:10月4日~11月30日

【10月〜12月】「ウィーン・スタイル―ビーダーマイヤーと世紀末 ライフスタイルとしてのデザイン」(パナソニック汐留美術館)

19世紀末から20世紀初頭のウィーンにおける優れたデザインや装飾がみられる家具や工芸作品などのモダンな作品群、またそれらの近代的なスタイルのルーツのひとつであるビーダーマイヤー時代の工芸作品を紹介。銀器、陶磁器、ガラス、ジュエリー、衣装、インテリアなど、このふたつの時代に制作された工芸とデザインを通して、ウィーンにおける「総合芸術」の精神を明らかにする。また、これまで日本ではあまり知られてこなかった女性の先駆的なデザイナー・クリエイターにも焦点を当てる。

会場:パナソニック汐留美術館
会期:10月4日〜12月17日

【10月〜12月】修理後大公開! 静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝(静嘉堂文庫美術館)

大阪・関西万博2025にちなみ、20世紀初頭の博覧会に出品した岩﨑家所蔵の光琳派や肉筆浮世絵、近代絵画などを皮切りに、国宝1件、重要文化財13件、博覧会出品作10件余りを一挙公開。菊池容斎の破格の巨大絵画も展示される。なお、前後期(前期:10月4日~11月9日、後期:11月11日~12月21日)で展示がほぼ総入替となる。

会場:静嘉堂文庫美術館
会期:10月4日~12月21日

【10月〜2026年1月】「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着」(アーティゾン美術館)

2020年から毎年行われている石橋財団コレクションとアーティストとの共演「ジャム・セッション」の第6回となる本展では、山城知佳子と志賀理江子を迎える。近・現代日本が生み出した矛盾と抑圧、沖縄戦や集中する米軍基地など、生まれ育った土地にある複雑で歪な状況を、ときにユーモアを交えて描き出す山城と、2008年から宮城県を拠点とし、東日本大震災と復興、あるいはそれ以前から作用していた中心と周縁の不均衡な力学のなかに立ち現れる生のあり方に光を当てる志賀。ふたりの新作を通じて、過去から続く複雑で困難な現実に向き合う作家たちの態度と、創造力と芸術という手法のあり方をコレクション作品のうちにも見出し、紹介する。

会場:アーティゾン美術館
会期:10月11日〜2026年1月12日

【10月〜2026年2月】「オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語」(国立西洋美術館)

「印象派の殿堂」として知られるパリ・オルセー美術館から10年ぶりにコレクションが大規模来日。傑作68点を中心に、国内の重要作品も加えた約100点により、室内をめぐる印象派の画家たちの関心のありかや表現上の挑戦をたどる。エドガー・ドカの代表作《家族の肖像(ベレッリ家)》は日本で初めて展示される。

会場:国立西洋美術館
会期:10月25日〜2026年2月15日

【12月〜2026年4月】「六本木クロッシング2025展」(森美術館)

森美術館で2004年から3年に一度開催する、日本のアートシーンを総覧する定点観測的なシリーズ展「六本木クロッシング」の第8回目。アジアを拠点にグローバルなアートシーンで活躍するレオナルド・バルトロメウス(山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター)、キム・ヘジュ(シンガポール美術館シニア・キュレーター)と協働し、国際的な視点から日本のアートをとらえる本展では、日本のアートのいまと、それが大きな文脈の中でどのような意義を持つのかを、あらためて検証する。

会場:森美術館
会期:12月3日~2026年4月5日

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