公開日:2022年12月29日

2023年に訪れたい芸術祭まとめ。地域の魅力を感じるものから、アートフェアを行う都市型のものまで

2023年に開催される全国の注目芸術祭をピックアップ(最終更新:2024年1月1日)

スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」 撮影:木奥惠三

Study:大阪関西国際芸術祭 2023(大阪)

「Study:大阪関西国際芸術祭 2023」は、来る2025年に開催を目指す「大阪関西国際芸術祭(仮)」のプレイベント。「アートとヒト」「アートと社会」の関係性や、アートの可能性を検証し学ぶ(=study)ことを目指す。第2回となる今年は、「ドクメンタ15」参加作家のトゥアン・マミなど、国内外のアーティスト、キュレーター42組を紹介。アートフェアでは現代美術の他、北欧のヴィンテージ家具やNFTアートなども出展される。落合陽一、加須屋明子、沓名美和、四方幸子、パヴェウ・パフチャレク、プロダクション・ゾミアといったアーティスト、キュレーター、リサーチャーが参加する。

会場:グランフロント大阪、大阪府立中之島図書館 ほか
会期:1月28日~2月13日(アートフェア:2月10日〜12日)
https://www.osaka-kansai.art/

昨年の「Study:大阪関西国際芸術祭」展示風景より、釜ヶ崎芸術大学の作品 Photo by Kohei Matsumura

マツモト建築芸術祭2023(長野)

昨年スタートした「マツモト建築芸術祭」は、長野県松本市内の名建築を会場とした芸術祭。今年は19の建物を舞台に、井田幸昌、井村一登、村松英俊、MISSISSIPPI、後藤宙、飯沢耕太郎、福井江太郎、青木悠太朗、河合政之、ドローグ・デザイン、中島崇、ヨーガン・アクセルバル、Amachi、白鳥真太郎、ステファニー・クエル、鬼頭健吾、RYO OKAMOTOという17組の作家作品が並ぶ。会期中には作家によるトークセッションや、ダンスや音楽のライブパフォーマンスも予定されている。 フォトレポートはこちら

会場:松本市旧司祭館 ほか、長野県松本市内19ヶ所
会期:2月4日~2月26日
https://maaf.jp/

かわかみ建築設計室 Photo by Kazumi Kiuchi

極寒芸術祭(北海道)

日本一寒い温泉地として知られる北海道弟子屈町川湯温泉にて開催される「極寒芸術祭」は、今年で13回目。マイナス15度を超える極寒の森に展開される「雪杜野外美術館」をメイン会場に、アーレンド・クロス、トマ・キメルラン、リー・クーチェ、ルア・リヴェラといった海外作家や、関口恒男、本間純、などの現代アート作品40点以上が展示されるほか、昨年にオープンした昭和遊郭美術館では、井原宏蕗、柴田まお、小林大悟の作品が公開される。極寒芸術祭はアーティスト・イン・レジデンスも行っており、現在、作品募集中。詳細は公式サイトをチェックしてほしい。

会場:ARtINn 極寒藝術伝染装置(北海道川上郡弟子屈町川湯温泉)
会期:2月2日〜3月3日
http://acaf.teshikaga.asia/

ルア・リヴェラ ONIBI 2020

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭(京都)

京都を舞台に、国内外の写真家作品を紹介してきた「KYOTOGRAPHIE」。今年は「BORDER」というテーマのもと、境界線が何を隔て、あるいは人類の進歩とどう関係するのか模索する。参加作家はマベル・ポブレット、高木由利子、ボリス・ミハイロフ、セザール・デズフリ、ジョアナ・シュマリ、山内悠、山田学、松村和彦、ココ・カピタン、ロジャー・エーベルハルト、デニス・モリス、パオロ・ウッズ&アルノー・ロベール、石内都、頭山ゆう紀など。京都文化博物館や両足院から商店街やギャラリーまで、街に歴史が残る京都ならではの会場で豪華な写真作品を楽しみたい。

会場:京都文化博物館、出町柳商店街 ほか
会期:4月15日〜5月14日
https://www.kyotographie.jp/

昨年の「KYOTOGRAPHIE」より、京都文化博物館別館「The Absurd and The Sublime ギイ ブルダン展」 © The Guy Bourdin Estate 2022/Courtesy of Louise Alexander Gallery

清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE 2023(岐阜)

「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE」は3年に1度、幅4.8m×奥行4.8m×高さ3.6mのキューブ空間で自由に表現してもらう企画公募展。今年は「リアル」のゆくえというテーマのもと、600点近い応募の中から14点が選定、岐阜県美術館に展示される。審査員は入江経一、岩崎秀雄、北村明子、四方幸子、寺内曜子、森村泰昌、山極壽一。会期中には、入選作家によるワークショップや、審査員による講演会などの関連プログラムも開催予定だ。

会場:岐阜県美術館
会期:4月22日~6月18日
https://art-award-gifu.jp/

「Art Award IN THE CUBE 2020」展示風景

中之条ビエンナーレ(群馬)

「中之条ビエンナーレ」は、群馬県中之条町で隔年開催されてきた国際現代芸術祭。本芸術祭をきっかけに群馬県内に移住した作家も多い。今年のテーマは16世紀に出版された百科的な地誌のタイトルである「コスモグラフィア」。アーティストが見知らぬ土地を訪れて制作することを「見えない土地を辿る」行為とし、想像上の世界地図を版画として残した「コスモグラフィア」になぞらえた。参加作家は紅月劇団、五十川祐、サブリナ・ホーラク、しばたみづき、セキ・イコネンなど111組。

会場:旧廣盛酒造 ほか
会期:9月9日〜10月9日
https://nakanojo-biennale.com/

山本 純子 Distant Intimacy 撮影:宮本 和之

ムーンアートナイト下北沢 2023(東京)

昨年スタートした「ムーンアートナイト下北沢」は今年も開催。下北線路街とその周辺の施設・店舗では、特別イベントの実施や限定メニューの提供など、およそ50の企画が行われる。街を彩るのは、ルーク・ジェラムとアマンダ・パーラーによるフェスティバルのシンボル作品「月」と「ウサギ」の屋外展示や、鬼頭健吾、メタアニ、天野雛子らの作品だ。詳細はニュースをチェック

会場:下北線路街 空き地 ほか
会期:9月16日~10月1日

2022年の様子。ルーク・ジェラム Museum of the Moon (下北線路街 空き地)。Image Masataka Tanaka

東京ビエンナーレ2023(東京)

「東京ビエンナーレ」は都内の地域住民との共創を目指し、東京都心北東エリアで2年に1度開催される芸術祭。今年のテーマは「リンケージ つながりをつくる」。昨年秋には、東叡山寛永寺や東京ドームシティーにて本祭に先立つプレイベント「東京ビエンナーレ2023 はじまり展」が開催されていた。総合ディレクターは中村政人と西原珉。ジュエリーの再発見/再創造を目指すものや、関東大震災から100年間に着られた洋服を集めたものなど、5つのプロジェクトを中心に多様な「東京」が編み直される。関連展覧会は「#東京ビエンナーレ2023」をチェック

会場:東京都千代田区、中央区、文京区、台東区内の各施設
会期:7〜9月(夏会期)、9月23日〜11月5日(成果展示)
https://tokyobiennale.jp/

鈴⽊理策 1868 撮影:池ノ谷侑花

六甲ミーツ・アート芸術散歩2023「beyond」 (兵庫)

「六甲ミーツ・アート芸術散歩」は、神戸・六甲山上で毎年開催される現代アートの芸術祭。総合ディレクター/キュレーターは高見澤清隆。14回目の開催にあたる今年は、タイトルに「beyond」が冠され、招待アーティストの拡充や拠点エリアの整備、トレイルエリアの新設などアップデート。会期中には、夜間鑑賞作品と紅葉などのライトアップが満喫できる「ひかりの森〜夜の芸術散歩〜」も。フォトレポートはこちら

会場:六甲ガーデンテラス ほか
会期:8月26日〜11月23日
https://rokkomeetsart.jp/

「六甲ミーツ・アート芸術散歩2021」より、穂波梅太郎《僕の話》(2021)

MIND TRAIL 奥大和 心のなかの美術館 2023(奈良)

2020年、コロナ禍における観光復興の一環としてスタートしたMIND TRAIL。4回目となる今回のテーマは「Comptency(能力)」。さらに吉野町、下市町、下北山村という3つの開催エリアに、それぞれテーマとディレクターが配された。プロデューサーは齋藤精一。エリアディレクターは矢津吉隆、SKWAT、浅見和彦+ゴッドスコーピオン+吉田山。参加アーティストには、大小島真木、contact Gonzo、副産物楽団ゾンビーズ、MAGASINN(CORNER MIX、井上みなみ、武田真彦+糸魚健一)、松岡湧紀、やんツー+齋藤帆奈+吉田山、yuge (hoge)などが名を連ねる。

会場:奈良県 吉野町、下市町、下北山村
会期:9月16日~11月12日
https://mindtrail.okuyamato.jp/

前田エマ 窓(曽爾)

奥能登国際芸術祭(石川)

能登半島の突端に位置する珠洲市では「奥能登国際芸術祭」が3回目の開催を迎える。今回の見どころは、劇場型の歴史民俗博物館スズ・シアター・ミュージアム横に新たに建設される、坂茂設計のカフェ・レストランスペース。前回の休憩・飲食スペースは仮設テントのみだったが、今回は全面ガラス張りの開放的な空間のもと、より快適に「さいはて」の絶景を楽しむことができるだろう。参加作家はアナ・ラウラ・アラエズ、シリン・アベディニラッド、アレクサンドル・ポノマリョフ、N.S.ハーシャ、SIDE CORE、塩田千春、奥村浩之、さわひらき、シュー・ジェン、坂茂、ひびのこづえなど。

会場:旧珠洲駅(道の駅すずなり)ほか
会期:9月23日~11月12日
https://oku-noto.jp/

スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」 撮影:木奥惠三

百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス(千葉)

内房総5市(市原市、⽊更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)を舞台に、今年初開催を迎える「千葉県誕⽣150 周年記念事業 百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス」(「百年後芸術祭ー内房総アートフェスー」)は、広域連携、官⺠協同による初の試み。クリエイター集団「Butterfly Studio」によるライブアートパフォーマンスや、千葉の食文化にふれる「ENNICHIBA(エンニチバ)」、現代アート作品の展⽰、「⽣きる⼒を養う学校」などが企画された。総合プロデューサーは小林武史、アートディレクターは北川フラムが務める。詳細はニュースをチェックしてほしい

会場:内房総5市(市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)の各地
会期:9⽉30⽇〜2024年5⽉5⽇(イベント・パフォーマンス期間)、2024年3⽉23⽇〜5⽉26⽇(アート作品展⽰期間)
https://www.pref.chiba.lg.jp/bunshin/chiba150th/100year-artfes.html

©︎ https://alicjakwade.com Photograph by Lance Gerber

さいたま国際芸術祭2023(埼玉)

「さいたま国際芸術祭」は秋からスタート。2016年に「さいたまトリエンナーレ」として始動した本芸術祭は、今回で3回目。プロデューサーは芹沢高志、ディレクターは現代アートチームの目 [mé] が務める。今回のテーマは「わたしたち」。漠然としていながらも主体性を要請する「わたし たち」という言葉を出発点に、世界をあらたな目線でもう一度「みる」ことで、そのなかにある多様な魅力を持つ「わたし」の発見を試みる。参加作家には、小田香、グザヴィエ・ドラン、テリー・ライリー、濱口竜介、倉田翠、伊藤比呂美などが名を連ねる。フォトレポートはこちら

会場:旧市民会館おおみや ほか
会期:10月7日〜12月10日
https://artsaitama.jp/

さいたま市内の風景 撮影:目 [mé]

※「ヨコハマトリエンナーレ2023」は2023年12月に開催予定だったが、会場となる横浜美術館の改修延期により、24年3月開幕に会期が変更された。

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。