公開日:2023年4月30日

5月に見たい全国おすすめ展覧会10選:恐竜展から蜷川実花の個展、横尾忠則の小説の世界まで

2023年5月にスタートする全国10のおすすめ展覧会を紹介

小田隆 篠山層群産動植物の生体・環境復元画 2014 アクリル・カンヴァス 115×160cm 丹波市立丹波竜化石工房 ©小田隆/丹波市

5月に開幕する全国の主要な展覧会をピックアップ。今月は関東地方の美術館での展示が少ないため、地方展が中心です。気になる展覧会はTokyo Art Beatのアプリで見逃し防止のブックマークがおすすめ。開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。

恐竜図鑑—失われた世界の想像/創造(上野の森美術館、東京都)

恐竜展と聞くと化石や原寸大の模型を思い浮かべがちだが、本展は資料をもとに古代生物を描いた「パレオアート」に注目。20世紀に活躍した恐竜画の2大巨匠チャールズ・R・ナイトとズデニェク・ブリアンによる記念碑的作品、漫画・おもちゃなどのサブカルチャーからファインアート、さらには近年の研究に基づく現代恐竜画まで公開される。詳細はニュースをチェック。

会場:上野の森美術館
会期:5月31日~7月22日

蜷川実花 「Eternity in a Moment」(キヤノンギャラリーS、東京都)

本展は、写真家・映画監督として知られる蜷川実花の写真展。 キヤノンギャラリーの開設50周年を記念し、品川のキヤノンギャラリーS、銀座、大阪の3拠点で開催される(銀座と大阪の会期は5月23日〜6月3日)。品川では「花」、銀座では金魚や花といった「生物」、大阪では都市やそこで暮らす人々を念頭に置いた「いのちの息づかい」と、拠点ごとに異なるテーマが設定されている。昨年、東京都庭園美術館での個展に際して行われたインタビューもぜひチェックしてほしい。

会場:キヤノンギャラリーS
会期:5月9日~6月19日

神谷徹 「息/瞼の裏/なぞる」(SCAI THE BATHHOUSE、東京都)

神谷徹はアクリル絵具による繊細な色のグラデーションが印象的な画家。モチーフを描かず、色面構成を追求した制作を展開してきた。本展の中心となるのは、30cm四方の絵画モジュール60点からなる大作《joy》。SCAI THE BATHHOUSEの開放感ある天井高を生かし、約15点の新作絵画が展示される。個々の作品もさることながら、配置が織りなす空間全体の体験としても楽しめそうだ。

会場:SCAI THE BATHHOUSE
会期:5月9日~7月8日

「さすが!北斎、やるな!!国芳」-浮世絵のマテリアリティ(慶應義塾ミュージアム・コモンズ、東京都)

幕末の江戸で人気を博した浮世絵師、葛飾北斎と歌川国芳。好敵手としてみなされがちなふたりは、他方で親密な関係だったとも伝えられている。慶應義塾のコレクションから構成される作品や資料を通じて、北斎と国芳の魅力の再発見を試みる。初紹介となる新出の絵師たちによる、生き生きとした筆さばきの下絵群にも注目したい。

会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
会期:5月15日~7月15日

糸で描く物語  刺繍と、絵と、ファッションと。(新潟県立万代島美術館)

新潟市内に所在する新潟県立万代島美術館では、刺繍に注目する展覧会がスタート。中・東欧の民俗衣装からイヌイットの壁掛け、現代の絵本原画やフランスのオートクチュール刺繍など、多彩な作品約230点を公開し、時代や地域を超える刺繍の魅力に迫る。

会場:新潟県立万代島美術館
会期:5月20日~7月17日

冨田溪仙展 ~越前の紙漉きを描く~(福井県立美術館)

冨田溪仙(とみた・けいせん)は1879年に福岡で生まれ、京都で活動した日本画家。福井県の名産品、越前和紙の特性に早くから着目し、東西の日本画壇に和紙の魅力を広めることを試みたという。本展では、溪仙が越前をモチーフにした《紙漉き》を中心に、画家と紙漉き職人との交流の軌跡をたどり、近代日本画の視点から越前の和紙文化に迫る。

会場:福井県立美術館
会期:5月12日〜6月12日

碧南市藤井達吉現代美術館リニューアル記念展 碧い海の宝箱ー達吉からはばたく未来ー(碧南市藤井達吉現代美術館、愛知県)

5月2日にリニューアルオープンを迎える碧南市藤井達吉現代美術館は、記念展を開催。新収蔵品を含むコレクションのなかから、日本近代工芸の先駆者のひとりとして知られる藤井達吉や彼と同時代の作家による作品など、112点が紹介される。今年開館・リニューアルを迎える美術館・博物館はこちらをチェック。

会場:碧南市藤井達吉現代美術館
会期:5月2日~6月25日

和田誠展(美術館「えき」KYOTO、京都府)

イラストレーター、グラフィックデザイナーとして広く知られる和田誠の全貌に迫る展覧会が京都へ巡回。和田は装丁家や映画監督、エッセイスト、作曲家、アニメーション作家、アートディレクターなど多岐にわたって活動した。誰もが聞いたことはありながらも、なかには意外な仕事もあるはず。知っているようで知らなかった和田誠にぜひ注目したい。東京での展示の様子はこちら

会場:美術館「えき」KYOTO
会期:5月20日~6月18日

横尾忠則 原郷の森(横尾忠則現代美術館、兵庫県)

神戸市の横尾忠則現代美術館は、昨年横尾が発表した『原郷の森』(文藝春秋)を展覧会化。小説の内容は、主人公Yが美術、小説、映画など様々な分野で名を残した著名人たちと時空を超えて語り合うというもの。500ページにおよぶ言葉の世界をもとに、横尾芸術を肌で感じられるような展覧会の構築を試みる。9月からは東京国立博物館 表慶館での個展を控えている横尾。「アーティストを辞めてアスリートになる」と語った報道発表会の様子はレポートをチェック。

会場:横尾忠則現代美術館
会期:5月27日~8月27日

愛媛県美術館開館25周年記念 大竹伸朗展(愛媛県美術館)

大竹伸朗の大回顧展が愛媛県美術館へ巡回。ドクメンタ(2012)やヴェネチア・ビエンナーレ(2013)の参加など、近年は国外でも広く活動してきた大竹。絵画や版画、彫刻、映像、絵本、エッセイまでおよそ500点が、7つのテーマ構成のもと公開される。大竹が制作の拠点とする宇和島市、道後温泉本館(松山市)と連携して実施される特別展示にも注目したい。東京国立近代美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。小池一子との対談も合わせて読んでほしい。

会場:愛媛県美術館
会期:5月3日~7月2日

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。