2023年、Tokyo Art Beatではアート、カルチャーに関するたくさんの記事を公開してきました。その数、去年より100本ほど多い600本超え。月間PVも400万を突破しました。記事読んでくださった皆さん、どうもありがとうございます。
ここでは今年アクセスが多かった12本を紹介し、この1年を振り返ります。残りの2023年、そして来年も、Tokyo Art Beatをよろしくお願いします!
数ある展覧会のなかで、今年のTABでは夭折の画家、中園孔二の個展のレポートが大きな注目を集めました。評伝『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』(村岡俊也、新潮社)の刊行やテレビ番組での取り上げもあってか、地方美術館の展覧会記事としては異例のアクセスがありました。これを機に中園孔二の評価や研究もさらに進みそうです。
第76回カンヌ国際映画祭で、脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した映画『怪物』。本作における性的マイノリティ表象と、それをとりまく映画界の構造的問題とはどのようなものなのか。日本映画史とクィア映画史を専門とする久保豊さんの寄稿です。
東京・下北沢の街を舞台に、「月」をテーマにしたアートフェスティバル「ムーンアートナイト下北沢 2023」。昨年もSNSでバズるなど、約32万人が来場した本イベントがさらにパワーアップ。注目の高さもあり、速報レポートがよく読まれました。
平成生まれのアーティストとして初めて東京都現代美術館で開催した個展「ユージーン・スタジオ 新しい海」(2022)が話題を呼び、続くギャラリーでの本個展も人気を博したユージーン・スタジオ。菅原伸也さんによるレビューを公開しました。
じつは「2022年トップ記事」でももっとも読まれた記事が大阪中之島美術館のオープン展のレポートでしたが、大阪中之島美術館は今年も人気。塩田千春 、木下佳通代、吉川静子など女性のアーティストの展覧会が多く控える2024年のラインアップは個人的にも楽しみです。
TABでは注目の映画もたびたび取り上げていますが、北野武6年ぶり19作目の監督作『首』のレビューは多くの方に読まれました。構想に30年をかけたという本作を、東京工業大学准教授で映画研究者/批評家の北村匡平さんが論じます。
東京都現代美術館「デイヴィッド・ホックニー展」が、今年を代表する大型企画展だったことは間違いないでしょう。TABでは、日本で27年ぶりの個展となった本展を数本の記事で迎え撃ちました。この内覧会レポートのほか、担当学芸員の楠本愛さんインタビュー前後編、アーティストの佐々木健さんによるレビュー、美術家の梅津庸一さんによるレビューを公開し、いずれも大きな反響を得ました。
初の全国巡回展「WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-」開催を機に、香取慎吾さんにインタビュー。アーティストとしても精力的に活動する香取さんに創作への思いを聞きました。
2014年の結婚以来、写真家・桑島智輝さんは被写体として安達祐実さんを毎日撮影し続けています。そんな写真プロジェクト「我我」を、新しい「私写真」のあり方として、トモ・コスガさんが論じます。トモ・コスガさんは同じく自身の妻を撮影し続けた作品群で知られる写真家・深瀬昌久のアーカイブス共同創設者兼ディレクターでもあります。今年、東京都写真美術館で開催された「深瀬昌久 1961–1991 レトロスペクティブ」展も、忘れ難い展覧会でした。
展覧会のオリジナルグッズは、もはや作品と並ぶもうひとつのお楽しみと言えそうです。そんなことを改めて実感したのが本記事。TAB読者の皆さんにも、「ほしい!」思ったグッズに投票できるアンケートを実施しました。魅力的でクリエイティブなグッズの数々に唸りますが、私はエドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ《愛と巡礼者》羽ポーチに1票。
借用作品の紛失と作家に対する契約不履行が起きた群馬県前橋市の市立美術館「アーツ前橋」。当時の館長が教授を務める東京藝術大学に、再発防止や学芸員倫理の再確認などを求める動きが出ていることを報じました。また本事案に関わる続報として、12月には「アーツ前橋前館長らのハラスメントを市が認定」という記事も公開しています。
2023年は久しぶりに海外を訪れた人も多かったのではないでしょうか? TABでは韓国と日本で活躍する批評家・紺野優希さんの協力のもと、ソウルでのアートめぐり徹底ガイドを全3回で公開しました。主要な美術館だけでなく、活況を呈する韓国の現代アートシーンを肌で体感できる多数の新興スペースまで、周り方も含めてお伝えする内容です。また岩切澪さん+栖来ひかりさんによる「台北、最新アートガイド」全2回も大好評でした。24年の旅行計画にもぜひお役立てください。
このほか、4年ぶりに実施となった夜の美術館を楽しめる「サマーナイトミュージアム」、羽生結弦さんの展覧会、「ゴッホ・アライブ」、長野県立美術館で中谷芙二子《霧の彫刻》の無許諾撮影が判明、ゴッホ美術館×ポケモンのコラボレーション企画、ビヨンセが空山基を盗用か? 、といったニュースにも多くのアクセスがありました。
2024年も様々な角度からアートのいまを伝える記事を制作していきます。ご期待ください。
福島夏子(編集部)
福島夏子(編集部)