公開日:2023年12月22日

【2023年記事トップ12】Tokyo Art Beatの人気記事で1年をプレイバック!

Tokyo Art Beatで2023年に公開した600本以上の記事のなかから、アクセスが多かった12本を紹介。記事を通してこの1年を振り返ります。

2023年、Tokyo Art Beatではアート、カルチャーに関するたくさんの記事を公開してきました。その数、去年より100本ほど多い600本超え。月間PVも400万を突破しました。記事読んでくださった皆さん、どうもありがとうございます。
ここでは今年アクセスが多かった12本を紹介し、この1年を振り返ります。残りの2023年、そして来年も、Tokyo Art Beatをよろしくお願いします!

  1. 夭逝の画家、中園孔二の過去最大規模の個展。「中園孔二 ソウルメイト」展(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)レポート
  2. 映画『怪物』はなぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか。映画製作の構造的な問題を考える(文:久保豊)
  3. 下北沢に巨大な月が出現!「ムーンアートナイト下北沢2023」レポート。街全体でアート、食、カルチャーを楽しもう
  4. 「ユージーン・スタジオ / 寒川裕人 想像の力 Part 1/3」展レビュー。現代的な、あまりに現代的な(評:菅原伸也)
  5. 大阪中之島美術館、2024年度の展覧会スケジュールが決定!
  6. 映画『首』レビュー。「アウトレイジ」を乗り越えて、北野武が到達したのはキッチュでクィアな武士映画(評:北村匡平)
  7. 「デイヴィッド・ホックニー展」(東京都現代美術館)レポート。世界的人気を誇る巨匠が、コロナ禍以降の世界に示す明るい光
  8. 香取慎吾インタビュー。絵画で表現する自分のなかの「闇」と「光」
  9. 桑島智輝+安達祐実の夫婦写真プロジェクト「我我」レビュー。愛と写真のパラドックスが維持させる、写真家と女優の格別な関係(評:トモ・コスガ)
  10. あなたはどの「テート美術館展」がほしい? 編集部が気になるグッズ10選
  11. アーツ前橋の問題が東京藝大に波及。アーティスツ・ユニオンが意見書提出、学生が説明を求める動きも
  12. 現代アートが熱い! 韓国・ソウル最新アートガイド(1)シチョンエリアを中心に必見美術館から雑居ビル内の新スペースまで(全3回)

夭逝の画家、中園孔二の過去最大規模の個展。「中園孔二 ソウルメイト」展(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)レポート

「中園孔二 ソウルメイト」展 会場風景

数ある展覧会のなかで、今年のTABでは夭折の画家、中園孔二の個展のレポートが大きな注目を集めました。評伝『穏やかなゴースト 画家・中園孔二を追って』(村岡俊也、新潮社)の刊行やテレビ番組での取り上げもあってか、地方美術館の展覧会記事としては異例のアクセスがありました。これを機に中園孔二の評価や研究もさらに進みそうです。

映画『怪物』はなぜ性的マイノリティを描きながら不可視化したのか。映画製作の構造的な問題を考える(文:久保豊)

『怪物』より、登場人物の麦野湊(右)と星川依里(左) 6月2日 全国ロードショー © 2023「怪物」製作委員会 配給:東宝 ギャガ

第76回カンヌ国際映画祭で、脚本賞とクィア・パルム賞を受賞した映画『怪物』。本作における性的マイノリティ表象と、それをとりまく映画界の構造的問題とはどのようなものなのか。日本映画史とクィア映画史を専門とする久保豊さんの寄稿です。

下北沢に巨大な月が出現!「ムーンアートナイト下北沢2023」レポート。街全体でアート、食、カルチャーを楽しもう

「ムーンアートナイト下北沢2023」 ルーク・ジェラム《Museum of the Moon》の屋外展示の様子

東京・下北沢の街を舞台に、「月」をテーマにしたアートフェスティバル「ムーンアートナイト下北沢 2023」。昨年もSNSでバズるなど、約32万人が来場した本イベントがさらにパワーアップ。注目の高さもあり、速報レポートがよく読まれました。

「ユージーン・スタジオ / 寒川裕人 想像の力 Part 1/3」展レビュー。現代的な、あまりに現代的な(評:菅原伸也)

会場風景より。写真中央は《Light and shadow inside me(untitled) #30》(2023) 撮影:編集部

平成生まれのアーティストとして初めて東京都現代美術館で開催した個展「ユージーン・スタジオ 新しい海」(2022)が話題を呼び、続くギャラリーでの本個展も人気を博したユージーン・スタジオ。菅原伸也さんによるレビューを公開しました。

大阪中之島美術館、2024年度の展覧会スケジュールが決定!

塩田千春 The Eye of the Storm 2022 画像提供:バンコクアートビエンナーレ ©︎ JASPAR, Tokyo, 2023 and Chiharu Shiota

じつは「2022年トップ記事」でももっとも読まれた記事が大阪中之島美術館のオープン展のレポートでしたが、大阪中之島美術館は今年も人気。塩田千春 、木下佳通代、吉川静子など女性のアーティストの展覧会が多く控える2024年のラインアップは個人的にも楽しみです。

映画『首』レビュー。「アウトレイジ」を乗り越えて、北野武が到達したのはキッチュでクィアな武士映画(評:北村匡平)

『首』 11月23日(木・祝)全国公開 配給:東宝 KADOKAWA 製作:KADOKAWA ©︎ 2023 KADOKAWA ©︎ T.N GON Co.,Ltd.

TABでは注目の映画もたびたび取り上げていますが、北野武6年ぶり19作目の監督作『首』のレビューは多くの方に読まれました。構想に30年をかけたという本作を、東京工業大学准教授で映画研究者/批評家の北村匡平さんが論じます。

「デイヴィッド・ホックニー展」(東京都現代美術館)レポート。世界的人気を誇る巨匠が、コロナ禍以降の世界に示す明るい光

春の到来、イースト・ヨークシャー、ウォルドゲート 2011年 2011 デイヴィッド・ホックニー財団(右4点) ©︎ David Hockney

東京都現代美術館「デイヴィッド・ホックニー展」が、今年を代表する大型企画展だったことは間違いないでしょう。TABでは、日本で27年ぶりの個展となった本展を数本の記事で迎え撃ちました。この内覧会レポートのほか、担当学芸員の楠本愛さんインタビュー前後編、アーティストの佐々木健さんによるレビュー美術家の梅津庸一さんによるレビューを公開し、いずれも大きな反響を得ました。

香取慎吾インタビュー。絵画で表現する自分のなかの「闇」と「光」

香取慎吾。個展「WHO AM I」(渋谷ヒカリエ)の会場にて 撮影:編集部

初の全国巡回展「WHO AM I-SHINGO KATORI ART JAPAN TOUR-」開催を機に、香取慎吾さんにインタビュー。アーティストとしても精力的に活動する香取さんに創作への思いを聞きました。

桑島智輝+安達祐実の夫婦写真プロジェクト「我我」レビュー。愛と写真のパラドックスが維持させる、写真家と女優の格別な関係(評:トモ・コスガ)

桑島智輝、安達祐実『我我』より

2014年の結婚以来、写真家・桑島智輝さんは被写体として安達祐実さんを毎日撮影し続けています。そんな写真プロジェクト「我我」を、新しい「私写真」のあり方として、トモ・コスガさんが論じます。トモ・コスガさんは同じく自身の妻を撮影し続けた作品群で知られる写真家・深瀬昌久のアーカイブス共同創設者兼ディレクターでもあります。今年、東京都写真美術館で開催された「深瀬昌久 1961–1991 レトロスペクティブ」展も、忘れ難い展覧会でした。

あなたはどの「テート美術館展」がほしい? 編集部が気になるグッズ10選

テート美術館展のグッズ

展覧会のオリジナルグッズは、もはや作品と並ぶもうひとつのお楽しみと言えそうです。そんなことを改めて実感したのが本記事。TAB読者の皆さんにも、「ほしい!」思ったグッズに投票できるアンケートを実施しました。魅力的でクリエイティブなグッズの数々に唸りますが、私はエドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ《愛と巡礼者》羽ポーチに1票。

アーツ前橋の問題が東京藝大に波及。アーティスツ・ユニオンが意見書提出、学生が説明を求める動きも

アーツ前橋で2019年に開催された「山本高之とアーツ前橋のビヨンド20XX 未来を考えるための教室」展の会場風景

借用作品の紛失と作家に対する契約不履行が起きた群馬県前橋市の市立美術館「アーツ前橋」。当時の館長が教授を務める東京藝術大学に、再発防止や学芸員倫理の再確認などを求める動きが出ていることを報じました。また本事案に関わる続報として、12月には「アーツ前橋前館長らのハラスメントを市が認定」という記事も公開しています。

現代アートが熱い! 韓国・ソウル最新アートガイド(1)シチョンエリアを中心に必見美術館から雑居ビル内の新スペースまで(全3回)

ソウル市立美術館西小門本館 ⓒ Kim YongKwan

2023年は久しぶりに海外を訪れた人も多かったのではないでしょうか? TABでは韓国と日本で活躍する批評家・紺野優希さんの協力のもと、ソウルでのアートめぐり徹底ガイドを全3回で公開しました。主要な美術館だけでなく、活況を呈する韓国の現代アートシーンを肌で体感できる多数の新興スペースまで、周り方も含めてお伝えする内容です。また岩切澪さん+栖来ひかりさんによる「台北、最新アートガイド」全2回も大好評でした。24年の旅行計画にもぜひお役立てください。

このほか、4年ぶりに実施となった夜の美術館を楽しめる「サマーナイトミュージアム」羽生結弦さんの展覧会「ゴッホ・アライブ」長野県立美術館で中谷芙二子《霧の彫刻》の無許諾撮影が判明ゴッホ美術館×ポケモンのコラボレーション企画ビヨンセが空山基を盗用か? 、といったニュースにも多くのアクセスがありました。

2024年も様々な角度からアートのいまを伝える記事を制作していきます。ご期待ください。

福島夏子(編集部)

福島夏子(編集部)

「Tokyo Art Beat」編集長。『ROCKIN'ON JAPAN』や『美術手帖』編集部を経て、2021年10月より「Tokyo Art Beat」編集部で勤務。2024年5月より現職。