公開日:2024年1月25日

2月スタートの全国おすすめ展覧会13選:マティス、モネ、村上隆、中平卓馬、芥川龍之介、ヴィム・ヴェンダースなど

2024年2月に開幕する展覧会のなかから、13のおすすめを紹介

左から、「ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし」(N&A アートサイト © Wim Wenders/Kazutomo)、「中平卓馬 火―氾濫」(東京国立近代美術館 © Gen Nakahira)、「アブソリュート・チェアーズ」(埼玉県立近代美術館 撮影:木奥恵三 ©️ MIYANAGA Aiko Courtesy of Mizuma Art Gallery)、「マティス 自由なフォルム」(国立新美術館 © Succession H. Matisse Photo by François Fernandez)

2月開幕のおすすめ展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会はウェブ版でのログインTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。

マティス 自由なフォルム(国立新美術館、東京)

昨年、東京都美術館で開催された「マティス展」に続き、国立新美術館でもマティス展がスタート。注目は、晩年にフランス・ニースで制作された切り紙絵の作品群。マティス美術館の全面強力のもと、絵画、彫刻、素描、版画、テキスタイルなど約150点が公開される。詳細はニュースをチェック

会場:国立新美術館
会期:2月14日〜5月27日

村上隆 もののけ 京都(京都市京セラ美術館)

マンガやアニメといったポピュラーカルチャーなどの引用やコラボレーションを通じて、現代美術に多大な影響を与えてきた村上隆。京セラ美術館で開催されるその大規模個展は、国内ではおよそ8年ぶり、東京以外では初の開催だ。新作を中心に、代表的なシリーズ、国内初公開となる作品など約170点が出展される。ニュースはこちら11月に京都で開催された記者会見の様子もチェックしておきたい。

会場:京都市京セラ美術館
会期:2月3日〜9月1日

恵比寿映像祭2024

「映像とは何か」という問いを投げかけながら、毎回テーマをかかげて国内外の映像表現を紹介してきた恵比寿映像祭。第16回を迎える2024年は、「月へ行く30の方法」というテーマを写真や映像を主としたさまざまな表現によってひもとき、アーティストだけでなく、そこに参加する観客とともに考えていく。周辺地域で行われるサテライト展示も多数。参加作家はキャシー・アッカー、青木陵子+伊藤存、荒川ナッシュ医、荒木悠、コリー・アーケンジェル、ダラ・バーンバウムら。詳細はニュースをチェック

会場:東京都写真美術館ほか
会期:2月2日〜18日

中平卓馬 火―氾濫(東京国立近代美術館)

東京国立近代美術館では、戦後の日本写真に多大な影響をもたらした中平卓馬の大規模個展が開催される。本展では初期から晩年まで、約400点の作品・資料を公開。「アレ・ブレ・ボケ」とも称されるスタイルの写真を掲載した雑誌『PROVOKE』(1968)や評論集『なぜ、植物図鑑か』(1973)などはもちろん、1977年の昏倒・記憶喪失やそこからの再起など、これまであまり注目されてこなかった仕事にも焦点が当てられる。詳細はニュースをチェック

会場:東京国立近代美術館
会期:2月6日〜4月7日

生誕120年 安井仲治―僕の大切な写真(東京ステーションギャラリー)

愛知県美術館、兵庫県立美術館で開催されていた安井仲治の個展が、東京ステーションギャラリーへ。安井は戦前に関西で活動したアマチュア写真家。ピクトリアリスムから、ストレート・フォトグラフィ、フォトモンタージュ、街角でのスナップまで、多彩に写真表現を追求した。本展では戦災を免れたヴィンテージプリントとネガの調査をもとに、約200点の作品を公開。安井の活動をより実証的なかたちで提示する。愛知県美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック。企画担当者にその魅力を尋ねたインタビューも合わせて読んでおきたい。

会場:東京ステーションギャラリー
会期:2月23日~4月14日

ヴィム・ヴェンダースの透明なまなざし(N&A アートサイト、東京)

『パリ、テキサス』(1984)など、ロードムービーを代表する映像監督として知られているヴィム・ヴェンダース。最新作『PERFECT DAYS』(2023)は、主演の役所広司が第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したことでも話題を集めている。本展では『夢の涯てまでも』(1991)の制作過程で出来上がった電子絵画「Electronic Paintings」や、『パリ、テキサス』ロケ時に撮影されたアメリカ中西部の風景写真「Written in the west」(1983)シリーズなどが公開される。ニュースはこちら

会場:N&A アートサイト
会期:2月1日〜3月2日

モネ 連作の情景(大阪中之島美術館)

上野の森美術館で開催されていたクロード・モネの大規模個展が、大阪中之島美術館へ巡回。本展は、同じ場所やテーマを異なる角度、異なる時間、異なる季節を通して描いた「連作」に注目。国内外40館を超えるコレクションから厳選したモネの代表作60点以上が一堂に集結する。上野の森美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック

会場:大阪中之島美術館
会期:2月10日〜5月6日

開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z(東京都庭園美術館)

東京都庭園美術館は開館40周年を記念し、その建築の歴史に迫る展覧会を開催。同館は、1933年に皇族・朝香宮家の邸宅として竣工され、現在は重要文化財に指定されている。本展は、建築技法、建設に携わった人々、室内意匠や素材などにまつわるエピソードなどを、アルファベットごとのキーワードで解説。建物の保存と活用を続ける同館のこれまでとこれからの歩みに注目したい。

会場:東京都庭園美術館
会期:2月17日〜5月12日
事前予約制

芥川龍之介と美の世界 二人の先達—夏目漱石、菅 虎雄(神奈川県立美術館 葉山)

神奈川県立近代美術館 葉山館では、芥川龍之介を中心に、夏目漱石、菅虎雄という3人の交流に注目する展覧会がスタート。漱石は芥川が師と仰いだ人物であるいっぽう、菅は芥川の一高時代のドイツ語教師であるとともに、漱石を禅に導いた人物だ。作品内でたびたび美術について言及していた芥川の、美的世界に迫る。

会場:神奈川県立近代美術館 葉山
会期:2月10日〜4月7日

小金沢健人×佐野繁次郎 ドローイング/シネマ(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)

いっぽう鎌倉別館では、現代美術家と同館の所蔵作家を特集する二人展が開幕する。本展で取り上げられるのは、絵画から映像、立体まで多様な表現で知られる小金沢健人(1974〜)と、洋画家でありながら装幀・挿画の仕事でも人気の佐野繁次郎(1900〜87)。線でイメージを作り出すドローイングと、映画的なカットやイラストレーションの境界を探求する。

会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
会期:2月23日〜5月6日
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/exhibition/2023-koganezawa-and-sano

アブソリュート・チェアーズ(埼玉県立近代美術館)

埼玉県立近代美術館は、美術史における「椅子」の在り方に注目する展覧会を開催。美術における椅子というモチーフは、権威の象徴として、記憶の依り代として、あるいは拡張された身体として、さまざまな機能や象徴性を見出すことができる。デザインの文脈から離れ、哲学や思想における「究極・絶対」なるものとしての椅子に迫る。

会場:埼玉県立近代美術館
会期:2月17日~5月12日

英国キュー王立植物園おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり(茨城県立近代美術館)

ボタニカル・アートとは、薬草学や植物学などの科学的研究を目的として花や植物を描いた植物画のこと。本展は、 世界最大級の植物園である英国キュー王立植物園の協力のもと、野菜や果物、ハーブ、スパイスなどの植物画や、18~19世紀の食卓を飾った家具や食器、レシピなど、約190点が展示される。

会場:茨城県近代美術館
会期:2月23日~4月14日

倉俣史朗のデザイン ――記憶のなかの小宇宙(富山県美術館)

工業素材も用いた家具やインテリアで知られ、1960年代以降、デザイン界で高い評価を受けてきたインテリアデザイナー・倉俣史朗。およそ20年ぶりとなる回顧展が世田谷美術館から巡回する。出展作品には、初期から晩年までの作品に加えて、その制作の過程を示す夢日記やスケッチも。世田谷美術館での展示の様子はレポートをチェック

会場:富山県美術館
会期:2月17日~4月7日

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。