公開日:2023年9月1日

【2023年】シルバーウィークに見たい東日本の展覧会16選。北海道から中部まで

9月16日〜24日に見ることができる東日本の展覧会をピックアップ

左から、「挑発関係=中平卓馬×森山大道」(神奈川県立近代美術館 葉山館)、「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」(DIC川村記念美術館)、「Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄 」(金沢21世紀美術館)

今年のシルバーウィークは、9月18日「敬老の日」と9月23日「秋分の日」が祝日。ゴールデンウィークのように連休ではありませんが、休みを利用して夏休みに見逃した展覧会や9月スタートの展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか? この記事では、9月16日〜24日に開催されている東京都内の注目展覧会を紹介します。

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ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室(DIC川村記念美術館、千葉)

バウハウスやブラックマウンテン・カレッジの教員として戦後アメリカにおいて重要なアーティストを数多く育て上げ、作家としては色面を用いた抽象画で知られるジョセフ・アルバース。本展は、国内初公開作品を含む約100点を公開。アルバースの絵画作品はもちろん、実験的な授業をとらえた写真や映像、当時の学生の作品まで展示し、アルバースの制作者/教師という両側面にアプローチする。フォトレポートはこちら

会場:DIC川村記念美術館
会期:7月29日〜11月5日
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湖の秘密-川は湖になった(市原湖畔美術館、千葉)

市原湖畔美術館では、市原市を流れる養老川と、同館のそばのダムのために建てられた高滝湖をめぐる展覧会が開催中。出展作家は岩崎貴宏、大岩オスカール、尾崎悟、加藤清市、菊地良太、南条嘉毅、松隈健太朗、椋本真理子。異なるメディア8名の作家による、サイト・スペシフィックな作品が公開される。

会場:市原湖畔美術館
会期:7月15日〜9月24日
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シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 横山大観、杉山寧から現代の作家まで(ポーラ美術館、神奈川)

「日本画」という言葉は、明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサが国内の絵画を「Japanese Painting」と呼び、これを和訳したのが始まり。日本固有の伝統と舶来した西洋の文化が混ざり合うなかで、絶えず発展してきた。本展は、そんな日本画の潮流を追いかけるもの。明治時代から第二次大戦後まで、近代の「日本画」を牽引した画家たちや、現在の「日本画」とこれからの日本の絵画を追究する多様な作家たちの実践が紹介される。

会場:ポーラ美術館
会期:7月15日~12月3日

挑発関係=中平卓馬×森山大道(神奈川県立近代美術館 葉山館)

神奈川県立近代美術館 葉山館では、中平卓馬と森山大道の関係に焦点を当てた展覧会が開催。ふたりはともに26歳のとき出会い、伝説的な写真誌『PROVOKE』の同人になるなど、交流を深めお互いを刺激し合った。神奈川県内で撮影された、1960〜80年代の貴重な雑誌や写真集、ヴィンテージ・プリントに加えて、本展のために新たに制作されたプリント、映像なども展示される。詳細はニュースをチェック

会場:神奈川県立近代美術館 葉山館
会期:7月15日〜9月24日
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横尾龍彦 瞑想の彼方(埼玉県立近代美術館)

神奈川県立近代美術館 葉山で開催されていた横尾龍彦の個展は、埼玉県立近代美術館へ巡回。1928年福岡県で生まれ美術教師を務めていた横尾は、65年にスイスへ。聖書などを題材とした幻想的な絵画によって、澁澤龍彦や種村季弘といった文学者に注目される。ドイツに拠点を設けた80年代以降は、東洋の書道を思わせる、力強い筆線と激しい飛沫が特徴の抽象画を数多く制作し、日独の美術の架け橋となった。本展では、国内のアトリエに残された作品を中心に約90点が公開される。神奈川県立近代美術館 葉山での開催時に公開した小川敦生による本展レビューはぜひ読んでほしい。

会場:埼玉県立近代美術館
会期:7月15日~ 9月24日

アートセンターをひらく 2023-地域をあそぶ(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城)

茨城県の水戸芸術館 現代美術ギャラリーでは、「地域」と「あそぶ」をテーマにした展覧会「アートセンターをひらく」の第2弾が開催。コレクションの展示や、子供からお年寄りまで楽しめる創作と交流のスペースが設けられる。同館のアートセンターとしての特性をふまえ、たんに作品の展示と鑑賞だけではなく、「アートが生まれる場」ととらえる試みだ。

会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:7月22日~10月9日

鈴木ヒラク 「今日の発掘」(群馬県立近代美術館)

言葉と絵、こちら側とあちら側、自己と他者をつなぐメディアとして、「線」に注目し、ドローイングの可能性を拡張してきた鈴木ヒラク。その個展が群馬県立近代美術館でスタートする。磯崎新設計による現代美術棟にて、フランスの思想家ロジェ・カイヨワの著書を参照した最新シリーズ「隕石が書く」40点の大規模インスタレーションや現地制作される壁画などが展示される。同日からは「創作において自由なる競創―19、20世紀の芸術家とポスター」展も開幕する。

会場:群馬県立近代美術館
会期:9月16日〜12月19日

中之条ビエンナーレ 2023(群馬)

「中之条ビエンナーレ」は、群馬県中之条町で隔年開催されてきた国際現代芸術祭。本芸術祭をきっかけに群馬県内に移住した作家も多い。今年のテーマは16世紀に出版された百科的な地誌のタイトルである「コスモグラフィア」。アーティストが見知らぬ土地を訪れて制作することを「見えない土地を辿る」行為とし、想像上の世界地図を版画として残した「コスモグラフィア」になぞらえた。参加作家は紅月劇団、五十川祐、サブリナ・ホーラク、しばたみづき、セキ・イコネンなど111組。

会場:旧廣盛酒造ほか
会期:9月9日〜10月9日

リサ・ラーソン展(北海道立帯広美術館)

リサ・ラーソンはスウェーデンを代表する陶芸家。ミュージアムショップや雑貨店で、彼女の動物グッズを目にしたことがある人も多いだろう。本展では初期から近年までの代表作が集結。ユニークピース(一点物の作品)、初公開となるガラス作品やブロンズ作品、スケッチ画などが公開される。東京・松屋銀座での展示の様子はフォトレポートをチェック

会場:北海道立帯広美術館
会期:9月9日〜11月19日

大巻伸嗣ー地平線のゆくえ(弘前れんが倉庫美術館、青森)

青森県の弘前れんが倉庫美術館では、大巻伸嗣の個展が開催中。大巻は、空間全体をダイナミックに変容させ、観る人を異世界に誘うような幻想的なインスタレーションやパブリックアートを手がけてきた。本展では、近年の代表作のひとつ「Liminal Air Space-Time」シリーズを筆頭に、新作インスタレーションが紹介される。レポートはこちら

会場:弘前れんが倉庫美術館
会期:4月15日〜10月9日

劉建華(リュウ・ジェンホァ) 「中空を注ぐ」(十和田市現代美術館、青森)

劉建華(リュウ・ジェンホァ)は中国における経済や社会の変化をテーマに、土や石、ガラス、陶磁器などを使って立体作品やインスタレーションを制作してきた。本展では、ペットボトルや靴などの日用品を磁器で制作した《Discard》や瓶や壺の口と首の部分だけを切り取った最新作《Porcelain Tower》など、初期から近年までの多様な作品が並ぶ。

会場:十和田市現代美術館
会期:6月24日~11月19日
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「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容(新潟市美術館)

本展では、4人の作家を手がかりに、昭和期日本の写真表現が紹介される。写真におけるシュルレアリスムを説いた瀧口修造、瀧口とともに「前衛写真協会」を設立した阿部展也、ふたりに魅了され「なんでもない写真」というシリーズを手がけた大辻清司、大辻の愛弟子である牛腸茂雄。昭和という時代のなかで、4人の作家が作り上げた「前衛」に迫る。千葉市美術館での展示の様子はフォトレポートをチェック

会場:新潟市美術館
会期:7月29日〜9月24日

Alex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄(金沢21世紀美術館、石川)

2019年のヴェネチア ・ビエンナーレによって世界的に名が知られるようになった注目の米国出身アーティスト、アレックス・ダ・コルテ。アジアの美術館では初となる大規模個展が開催中。ディズニー・キャラクターを始めとする誰もが知っているポップ・アイコンからデュシャンなどの著名アーティストまで、様々なイメージから着想を得て作られた映像インスタレーションは圧巻だ。詳細はレポートをチェック。清水知子によるレビューも合わせて読んでほしい。

会場:金沢21世紀美術館
会期:4月29日〜9月18日

奥能登国際芸術祭(石川)

能登半島の突端に位置する珠洲市では「奥能登国際芸術祭」が3回目の開催を迎える。今回の見どころは、劇場型の歴史民俗博物館スズ・シアター・ミュージアム横に新たに建設された、坂茂設計のカフェ・レストランスペース。前回の休憩・飲食スペースは仮設テントのみだったが、今回は全面ガラス張りの開放的な空間のもと、より快適に日本海の絶景を望むことができるだろう。参加作家はアナ・ラウラ・アラエズ、シリン・アベディニラッド、アレクサンドル・ポノマリョフ、N.S.ハーシャ、SIDE CORE、塩田千春、奥村浩之、さわひらき、シュー・ジェン、坂茂、ひびのこづえなど。

会場:石川県珠洲市全域
会期:9月23日~11月12日

スズ・シアター・ミュージアム「光の方舟」 撮影:木奥惠三

アニメ背景美術に描かれた都市(谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館、石川)

本展は、1980年代末から2000年代初頭にかけて制作された日本を代表するSFアニメーション作品の背景美術に焦点を当てる企画。緻密な手書きの背景美術はもちろん、それらを描くために参照された書籍やロケハン写真、クリエイターへのインタビューなどが公開される。紹介されるアニメーションなど、詳細はニュースをぜひチェックしてほしい

会場:谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館
会期:6月17日〜11月19日

吹けば風(豊田市美術館、愛知)

本展タイトルの由来は、明治生まれの詩人・高橋元吉が詠んだ詩の「咲いたら花だった 吹いたら風だった」という一節。普段は見過ごされ、忘れられてしまうような細やかな発見や驚きを見つめ直すというコンセプトのもと、川角岳大、澤田華、関川航平、船川翔司の作品が公開される。4名とも、80年代後半から90年代前半生まれの作家であることにも注目だ。慶野結香によるレビューはこちら

会場:豊田市美術館
会期:6月27日~9月24日
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浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。