公開日:2022年7月26日

【全国編】2022年夏休みに見たい!展覧会まとめ

北は北海道から南は沖縄まで、夏休みに訪れたい全国の注目展覧会を紹介

「池田亮司展」会場風景より、《data-verse 3》(2020) 撮影:工藤健

全国の夏休み期間に開催される注目展覧会をピックアップ。北海道から沖縄まで、関東以外の展覧会の詳細と合わせて見どころを紹介する。気になる展覧会はTABアプリでブックマークも忘れずに!
*会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください

CHIRI MASHIHO 知里真志保ーアイヌ語研究にかけた熱意ー(国立アイヌ民族博物館/北海道)

室蘭と苫小牧のあいだ、北海道白老郡にある国立アイヌ民族博物館では、8月21日まで「CHIRI MASHIHO 知里真志保ーアイヌ語研究にかけた熱意ー」が開催されている。知里真志保はアイヌの首長の家系に生まれた言語学者、民族学者。『分類アイヌ語辞典』や『地名アイヌ語小辞典』など、現代のアイヌ文化研究の基礎を築き上げた人物だ。本展では知里に関わりのあった人物を取り上げつつ、その研究の軌跡が紹介される。

会場:国立アイヌ民族博物館
会期:6月25日~8月21日
休館日:月曜日(祝日の場合、翌平日)
開館時間:9:00〜20:00(7月16日~8月28日のみ)
事前予約制(日時指定券はこちら
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池田亮司展(弘前れんが倉庫美術館/青森県)

弘前れんが倉庫美術館では8月28日まで「池田亮司展」が開催中。国内13年ぶりの個展となる池田の、近年の活動が概観できる展覧会だ。高さ15mの吹き抜けの大空間にプロジェクションを行うほか、各展示空間の映像や音響が敷居を超えて結びつくことで、建築空間と作品とが共振・共鳴するインスタレーションなど、煉瓦倉庫を改修した同館ならではの企画もある。詳細はフォトレポートをチェック。

会場:弘前れんが倉庫美術館
会期:4月16日~8月28日
休館日:火曜日(祝日の場合、翌平日)
開館時間:9:00〜17:00
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「池田亮司展」会場風景より、《point of no return》(2018) 撮影:浅野豪

名和晃平 生成する表皮(十和田市現代美術館/青森県)

セル(細胞・粒)で世界を認識するという概念を軸に、ビーズやプリズム、シリコーンオイル、グルーなど様々な素材や技法を横断しながら先鋭的な彫刻や空間表現を展開している名和晃平。十和田市現代美術館で開催中の「名和晃平 生成する表皮」は、その作風の変遷を知ることができる展覧会だ。本展では、初期のドローイングシリーズ「Esquisse」や代表作である「PixCell」、新作の「White Code」などが公開されている。名和のコメントとともに展示の様子を伝えたフォトレポートをぜひ読んでほしい。

会場:十和田市現代美術館
会期:6月18日~11月20日
休館日:月曜日(祝日の場合、翌平日)
開館時間:9:00〜17:00
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TABアプリで100円引き

「名和晃平 生成する表皮」展会場風景より《PixCell-Deer#52》(2018) 撮影:吉田千枝子(字と図)

三沢厚彦 ANIMALS IN NAGAOKA(新潟県立近代美術館)

新潟県立近代美術館では彫刻家・三沢厚彦の個展「三沢厚彦 ANIMALS IN NAGAOKA」が開催中。イヌやネコなど身近な動物から、麒麟やキメラといった空想上の生き物まで、幅広い生物をモチーフとしたシリーズ「ANIMALS」を中心に、最新作を含む彫刻と絵画およそ100点が紹介される。本展と同時開催中のコレクション展「親と子のワクワク美術館 いきいき!生き物 ―近代美術館の動物たち」でも、動物が描かれた作品が多数公開されているので合わせて見ておきたい。

会場:新潟県立近代美術館
会期:7月16日~9月25日
休館日:月曜日(祝日の場合、翌平日)
開館時間:9:00〜17:00
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ミロ展ー日本を夢みて(富山県美術館)

スペインのバルセロナで生まれた20世紀を代表する芸術家のひとりであるジュアン・ミロ。彼は若い頃から日本に憧れ、その文化に造詣が深かったいっぽう、日本国内でもミロの作品は単行本が世界に先駆けて刊行されるなど、早い時期から広く紹介され、人々に親しまれてきた。富山県美術館で開催されている「ミロ展ー日本を夢みて」では、ミロと日本の関係に注目。国内外から集めたミロ作品に加えて、ミロのアトリエに残された日本の民芸品や関連資料を通じて、ミロ芸術と日本文化のつながりがひもとかれる。

会場:富山県美術館
会期:7月16日~9月4日
休館日:水曜日(祝日の場合、翌平日)
開館時間:9:30〜18:00
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ジュアン・ミロ ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子 1945 キャンバスに油彩 福岡市美術館 © Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021 E4304

ムン・キョンウォン & チョン・ジュンホ:どこにもない場所のこと(金沢21世紀美術館/石川県)

金沢21世紀美術館では現代韓国を代表するアーティストデュオの国内初となる大規模個展「ムン・キョンウォン & チョン・ジュンホ:どこにもない場所のこと」が開催中だ。本展では2021年に韓国国立現代美術館で発表された《News from Nowhere : Freedom Village》やアポカリプス前後の異なる時間軸とその接続を精緻に描き出した代表作《世界の終わり》、金沢市内での滞在制作での成果作品などが公開。現代社会が直面する課題を見つめ、詩的かつ象徴的なメッセージを投げかける映像作品を発表してきた彼らの、多面的な思考や活動を知ることができる。その様子はフォトレポートをチェック。

会場:金沢21世紀美術館
会期:5月3日~9月4日
休館日:月曜日(ただし8月15日は開館)、8月16日
開館時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
日時指定券はこちら
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「ムン・キョンウォン & チョン・ジュンホ:どこにもない場所のこと」展会場風景より、《News from Nowhere: Eclipse》(2022)

機能と装飾のポリフォニー(豊田市美術館/愛知県)

西欧を中心に日本を含む世界各地で様々な「モダン」のかたちが現われた1910〜30年代。豊田市美術館で開催中の「機能と装飾のポリフォニー」展ではウィーン工房、ソニア・ドローネー、バウハウスなどをキーワードに、急速に変化する社会のなかで作家たちがときに交わり、共鳴しながら探求することで紡がれたいくつもの「モダン」のあり方が紹介される。

会場:豊田市美術館
会期:6月7日~9月4日
休館日:月曜日(ただし8月15日は開館)
開館時間:10:00〜17:30
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国際芸術祭「あいち2022」(愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区)

国内最大規模の国際芸術祭「あいち2022」は7月30日から開幕。森美術館館長の片岡真実が芸術監督を務める今年のテーマは「STILL ALIVE(いまだ生きている)」。「現代美術」「パフォーミングアーツ」「ラーニング」「連携事業」「オンライン展開」をプログラムの主軸に、最先端の芸術を見ることができる。「現代美術」にはホダー・アフシャール、リリアナ・アングロ・コルテス、ヤコバス・カポーン、ケイト・クーバー、メアリー・ダパラニー、遠藤薫、潘逸舟(ハン・イシュ)、河原温、バイロン・キム、アンドレ・コマツ、小杉大介、ミシェック・マサンヴ、三輪美津子、モハンマド・サーミ、百瀬文、奥村雄樹、カズ・オオシロ、プリンツ・ゴラーム、眞田岳彦、笹本晃、塩田千春、横野明日香ら80組が参加。会場ごとの企画詳細はニュースからチェックしておこう。

会場:愛知芸術文化センター、一宮市、常滑市、有松地区
会期:7月30日~10月10日
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河原温 ソル・ルウィットに宛てた電報、1970年2⽉5⽇ 《I am Still Alive》(1970‒2000)より LeWitt Collection, Chester, Connecticut, USA One Million Years Foundation

BRIAN ENO AMBIENT KYOTO(京都中央信用金庫 旧厚生センター)

アンビエント・ミュージックの創始者として知られ、ヴィジュアル・アート、アクティヴィズムの分野でも活躍するブライアン・イーノ。彼にとってコロナ禍以降初となる大規模個展「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO(ブライアン・イーノ ・アンビエント・キョウト)」京都中央信用金庫 旧厚生センターで開催中。会期は8月21日まで。音と光のインスタレーションが展開される本展の様子はフォトレポートをチェックしてほしい。

会場:京都中央信用金庫 旧厚生センター
会期:6月3日~8月21日
会期中無休
開館時間:11:00〜21:00
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京都中央信用金庫 旧厚生センター外観 Photo by ICHIKAWA Yasushi

展覧会 岡本太郎(大阪中之島美術館)

《太陽の塔》で知られ、今日でも幅広い世代の人々を魅了する芸術家・岡本太郎。その芸術家としての人生を振り返る大回顧展「展覧会 岡本太郎」大阪中之島美術館にて開催されている。表現活動が多岐にわたることから「何が本職なのか?」と問われることも多かったという太郎。その答えは「人間―全存在として猛烈に生きる人間」。代表作はもちろん、これまであまり注目されてこなかった晩年の作品なども紹介される本展で、《太陽の塔》だけではない、岡本太郎という「人間」の全貌を楽しみたい。

会場:大阪中之島美術館
会期:7月23日~10月2日
休館日:月曜日(ただし9月19日は開館)
開館時間:10:00〜17:00
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会場風景より 撮影:新原なりか

関西の80年代(兵庫県立美術館)

兵庫県立美術館では8月21日まで「関西の80年代」展が開催中。兵庫県立美術館の開館20周年を記念する本展は、当館の前身である兵庫県立近代美術館が関西アート・シーンのいまを伝えるために企画していた「アート・ナウ」というシリーズ展で公開された作品や、当時の活動を振り返る資料で構成されている。詳細はフォトレポートをチェック。

会場:兵庫県立美術館
会期:6月18日~8月21日
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜18:00
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「関西の80年代」展会場風景より、杉山知子《the drift fish》(1984) 撮影:原久子

平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常(島根県立石見美術館)

島根県立石見美術館ではともに島根県出身の作家による二人展「平川紀道・野村康生 既知の宇宙|未知なる日常」が8月29日まで開催されている。平川紀道はコンピューター・プログラミングを駆使した映像・音響インスタレーションを、野村康生は高次元や宇宙についての考察をテーマに絵画や体験型のインスタレーションをこれまでに発表してきた。「眼で見ているもの、耳で聞いているものは世界そのものではない」とする平川と、「あなたが今見ている世界は、どこまでが本当に実在する世界でしょうか」と問いかける野村。私たちの身体や感覚を揺さぶるような作品の数々が展示されている。美術評論家の沢山遼によるレビューはこちら

会場:島根県立石見美術館
会期:7月2日~8月29日
休館日:火曜日
開館時間:9:30〜18:00
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会場風景より、野村康生《InsideOut》(2022) Photo by Shotoku Koh

みる誕生 鴻池朋子展(高松市美術館/香川県)

絵画、彫刻、手芸、歌、映像など様々なメディアを用い、古来からの習俗や神秘的存在に着想を得た作品で知られる鴻池朋子。その個展「みる誕生 鴻池朋子展」高松市美術館で開催されている。「生まれたての体で世界と出会う驚き」こそが「みる誕生」だと語る鴻池。鑑賞者が眼だけではなく、手で看(み)る、鼻で診(み)る、耳で視(み)る、引力や呼吸で観(み)ることを促す。館内では新作が公開されるほか、美術館のある高松市と海を隔てた地点に位置する大島とを結ぶ「インタータイダル・ゾーン(潮間帯)」を設置し、作品を展示するなど、美術館の外に展覧会を開くことが試みられている。

会場:高松市美術館
会期:7月16日~9月4日
休館日:月曜日(ただし8月15日は開館)
開館時間:9:30〜17:00(金・土曜日は19:00まで)
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鴻池朋子 Dream Hunting Grounds カービング壁画 秋田県立近代美術館 展示風景 2018 新田安紀芳氏蔵(アーツ前橋寄託) © Tomoko Konoike

今井俊介 スカートと風景(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/香川県)

コンセプトに基づいた鮮やかなストライプが印象的な今井俊介は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて「スカートと風景」を開催。美術館では初の個展となる。本展で公開される絵画シリーズの原点は、ある時ふと何気なく目にした知人の揺れるスカートの模様や、量販店に積み上げられたファストファッションの色彩に強く心を打たれた体験だという。具象と抽象、平面と立体、アートとデザインという境界を軽やかに行き来する今井の、これまでの作品が一堂に会する。

会場:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
会期:7月16日~11月6日
休館日:月曜日(ただし9月19日、10月10日は開館)、9月20日、10月11日
開館時間:10:00〜18:00
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今井俊介 Untitled 2022

熊本市現代美術館開館20周年記念 不思議の森に棲む服 ひびのこづえ×KUMAMOTO 展(熊本市現代美術館)

熊本市現代美術では、「熊本市現代美術館開館20周年記念 不思議の森に棲む服 ひびのこづえ×KUMAMOTO 展」が開催中。ひびのこずえはカエルやカブトムシ、マンモスなど、地球上の生き物やその痕跡をヒントに制作するコスチューム・アーティスト。本展では、深い森の中で多様な生き物たちがざわめく不思議な世界を表現するような、唯一無二のクローゼットを同館に出現させる。

会場:熊本市現代美術館
会期:7月2日~9月19日
休館日:火曜日
開館時間:10:00〜20:00
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植松奎二展「ナンセンスな旅への招待ーみることの夢」(霧島アートの森/鹿児島県)

鉄や石、ガラスなどを用いた彫刻などを通して、自然や地球、宇宙といった世界の構造と私たちの存在、相互の関係性についての表現を追求している美術家・植松奎二。鹿児島県姶良郡にある霧島アートの森では、植松奎二展「ナンセンスな旅への招待ーみることの夢」が開催中。天体の軌跡を描いたドローイングや、隕石や桜島の溶岩などを使った大規模インスタレーションを楽しむことができる。

会場:霧島アートの森
会期:7月15日~9月11日
休館日:月曜日(8月15日は開館)
開館時間:9:00〜17:00(7月20日〜8月31日の土・日曜日・祝日は19:00まで)
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FUKKI QUALIA(フッキ クオリア) ― 「復帰」の感覚(沖縄県立博物館・美術館)

沖縄県立博物館・美術館のコレクション展「FUKKI QUALIA(フッキ クオリア) ― 『復帰』の感覚」では、日本への「復帰」に関連した沖縄の作品が紹介される。美術家たちの「琉米親善」の動きから、復帰前後の状況を鋭く批評した作品、さらに復帰後の社会を見つめた作品や、本土化する中で沖縄なるものを探し求めた動きなど、現在にいたるまでの「復帰」について考えるための展覧会だ。

会場:沖縄県立博物館・美術館
会期:7月20日~2023年1月15日
休館日:月曜日(祝日の場合、翌平日)、10月18日~21日
開館時間:9:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
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浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。