9月開幕の主要な展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会はウェブ版でのログインやTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
本展は、イヴ・サンローラン美術館パリの全面協力のもと、日本で初めて開催されるイヴ・サンローランの回顧展。ディオールでのデビューから、ブランドとして初のコレクション、そして独自のスタイルを確立するまでの変遷が、イヴ・サンローランによるルック110体のほかアクセサリー、ドローイング、写真によって紹介される。
会場:国立新美術館
会期:9月20日~12月11日
東京都現代美術館での個展も記憶に新しい横尾忠則。本展で公開されるのは、過去作ではなくすべて新作。ふたりの中国の詩僧の名前に由来し、伝統的な画題である「寒山拾得」を再構築したシリーズ100点が一挙に公開される。「アーティストを辞めてアスリートになる」と意気込みを語った報道発表会の様子はこちらをチェック。
会場:東京国立博物館
会期:9月12日~12月3日
東京都美術館では、遡ること2000年以上、古代ローマの豊かな文化と壮大な歴史を紹介する展覧会がスタート。ローマ市庁舎の近くに建つカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、建国から古代の栄光、教皇たちの時代から近代まで、約70点の彫刻、絵画、版画などが展示される。詳細はニュースをチェック。
会場:東京都美術館
会期:9月16日~12月10日
ジャム・セッションはアーティストと学芸員による協働のもと、アーティゾン美術館のコレクション内の作品と参加作家の作品のコラボレーションによって、新しい視点を生み出す企画。昨年は柴田敏雄と鈴木理策で、今年は日本画家の山口晃。日本近代美術を独自に解釈した作風の山口が、「近代」「日本的コード」「日本の本来性」とは何かを問い直す。同会期で「創造の現場 ー映画と写真による芸術家の記録」も開催されるため、合わせて鑑賞したい。詳細はニュースをチェック。
会場:アーティゾン美術館
会期:9月9日~11月19日
昨年スタートした「ムーンアートナイト下北沢」は今年も開催。下北線路街とその周辺の施設・店舗では、特別イベントの実施や限定メニューの提供など、およそ50の企画が行われる。街を彩るのは、ルーク・ジェラムとアマンダ・パーラーによるフェスティバルのシンボル作品「月」と「ウサギ」の屋外展示や、鬼頭健吾、メタアニ、天野雛子らの作品だ。詳細はニュースをチェック。
会場:下北線路街 空き地 ほか
会期:9月16日~10月1日
内房総5市(市原市、⽊更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)を舞台に、今年初開催を迎える「千葉県誕⽣150 周年記念事業 百年後芸術祭 〜環境と欲望〜 内房総アートフェス」(「百年後芸術祭ー内房総アートフェスー」)は、広域連携、官⺠協同による初の試み。クリエイター集団「Butterfly Studio」によるライブアートパフォーマンスや、千葉の食文化にふれる「ENNICHIBA(エンニチバ)」、現代アート作品の展⽰、「⽣きる⼒を養う学校」などが企画された。総合プロデューサーは小林武史、アートディレクターは北川フラムが務める。詳細はニュースをチェックしてほしい。
会場:内房総5市(市原市、木更津市、君津市、袖ケ浦市、富津市)の各地
会期:9⽉30⽇〜2024年5⽉5⽇(イベント・パフォーマンス期間)、2024年3⽉23⽇〜5⽉26⽇(アート作品展⽰期間)
https://www.pref.chiba.lg.jp/bunshin/chiba150th/100year-artfes.html
能登半島の突端に位置する珠洲市では「奥能登国際芸術祭」が3回目の開催を迎える。今回の見どころは、劇場型の歴史民俗博物館スズ・シアター・ミュージアム横に新たに建設された、坂茂設計のカフェ・レストランスペース。前回の休憩・飲食スペースは仮設テントのみだったが、今回は全面ガラス張りの開放的な空間のもと、より快適に日本海の絶景を望むことができるだろう。参加作家はアナ・ラウラ・アラエズ、シリン・アベディニラッド、アレクサンドル・ポノマリョフ、N.S.ハーシャ、SIDE CORE、塩田千春、奥村浩之、さわひらき、シュー・ジェン、坂茂、ひびのこづえなど。
会場:旧珠洲駅(道の駅すずなり)ほか
会期:9月23日~11月12日
「中之条ビエンナーレ」は、群馬県中之条町で隔年開催されてきた国際現代芸術祭。本芸術祭をきっかけに群馬県内に移住した作家も多い。今年のテーマは16世紀に出版された百科的な地誌のタイトルである「コスモグラフィア」。アーティストが見知らぬ土地を訪れて制作することを「見えない土地を辿る」行為とし、想像上の世界地図を版画として残した「コスモグラフィア」になぞらえた。参加作家は紅月劇団、五十川祐、サブリナ・ホーラク、しばたみづき、セキ・イコネンなど111組。
会場:旧廣盛酒造 ほか
会期:9月9日〜10月9日
2020年、コロナ禍における観光復興の一環としてスタートしたMIND TRAIL。4回目となる今回のテーマは「Comptency(能力)」。さらに吉野町、下市町、下北山村という3つの開催エリアに、それぞれテーマとディレクターが配された。プロデューサーは齋藤精一。エリアディレクターは矢津吉隆、SKWAT、浅見和彦+ゴッドスコーピオン+吉田山。参加アーティストには、大小島真木、contact Gonzo、副産物楽団ゾンビーズ、MAGASINN(CORNER MIX、井上みなみ、武田真彦+糸魚健一)、松岡湧紀、やんツー+齋藤帆奈+吉田山、yuge (hoge)などが名を連ねる。
会場:奈良県 吉野町、下市町、下北山村
会期:9月16日~11月12日
https://mindtrail.okuyamato.jp/
現代社会が抱える問題の絵画化や、東西の美術、日本の伝統、文化を意表を突くような手法で表現してきた現代美術家・福田美蘭。昨年は担当学芸員の小野寛子が、第18回西洋美術振興財団賞を受賞した展覧会、「日本の中のマネ ―出会い、120年のイメージ―」(練馬区立美術館)に森村泰昌と出展していた。1980年代の初期から近年の作品、本展のための新作まで約50点が公開。名古屋市美術館での出展は、1992年の森村との二人展以来だ。昨年行った福田へのインタビューもぜひチェックしてほしい。
会場:名古屋市美術館
会期:9月23日~11月19日
兵庫県立美術館では、3人組ユニットPerfume(パフューム)の大規模衣装展が開幕する。本展では、『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)で公開されたものを中心に、楽曲、ライブなどで実際に使われた衣装約170着を展示。さらに、型紙やデザインの発想源を示す初公開の制作資料にも注目したい。ニュースはこちら。
会場:兵庫県立美術館
会期:9月9日~11月26日
福岡市美術館で開催される本展は、日本のアニメーションにおける巨大ロボットのデザインとその映像表現の歴史を振り返るもの。特に、設定上の「メカニズム」と「大きさ」という観点から、空想の産物であるロボットがどのようにして映像上で「リアリティ」を獲得してきたのか、その変遷に焦点が当てられる。展示物には、スケッチ、設定資料、絵コンテ、原画、セル画、アニメーション動画、模型などに加えて、人気ロボットの大きさを体感できるインスタレーションも。詳細はニュースをチェック。なお本展は翌年2月から、横須賀美術館へ巡回予定だ。
会場:福岡市美術館
会期:9月9日~11月12日
泉屋博古館東京は、中国の知識階級や日本の文人の隠遁生活をマインドフルネスという観点から注目する展覧会を企画。穏やかで理想的な生活をイメージした山水・風景画や、中国の隠者達の姿を描いた絵画作品、そうした暮らしのなかで愛玩されただろう文房具などが展示される。詳しくはニュースをチェック。
会場:泉屋博古館東京
会期:9月2日~10月15日
有名な古歌の一部を作品に取り入れる「本歌取り」をテーマとした杉本博司の個展が、渋谷区立松濤美術館で開幕。昨年、姫路市立美術館にて開催された同名の展覧会が新たな展開を迎える。印画紙の上に現像液に浸した筆で描かれた「Brush Impression」シリーズから、葛飾北斎の作品を本歌とする初公開作《富士山図屏風》まで、写真、書、伝統芸能など多様なモチーフの作品が公開される。
会場:渋谷区立松濤美術館
会期:9月16日~11月12日
渋谷PARCOを拠点に、ライブストリーミングを継続しているDOMMUNE。DOMMUNEとそれを主催する宇川直宏による展覧会が練馬区立美術館で開催される。13年間の番組アーカイブが紹介されることに加えて、それらの映像を絵画や立体作品などに変換。美術館を舞台としたライブストリーミングや、NFT作品の制作にも注目したい。
会場:練馬区立美術館
会期:9月10日~11月5日
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春陽会は1923年に第1回展が開催された美術団体。当時民間最大の美術団体だった日本美術院の洋画部を脱退した画家たちによって結成され、現在も活動は続いている。本展は設立100年を記念し、黎明期から1950年代までの展開を振り返るもの。同じ芸術主義を持ち連帯するのではなく、それぞれの画家たちの個性を尊重する「各人主義」を掲げた春陽会のメンバー。彼らの作品が100点公開される。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:9月16日~11月12日
リサ・ラーソンはスウェーデンを代表する陶芸家。ミュージアムショップや雑貨店で、彼女の動物グッズを目にしたことがある人も多いだろう。本展では初期から近年までの代表作が集結。ユニークピース(一点物の作品)、初公開となるガラス作品やブロンズ作品、スケッチ画などが公開される。東京・松屋銀座での展示の様子はフォトレポートをチェック。
会場:北海道立帯広美術館
会期:9月9日〜11月19日
1960年代からおよそ半世紀にわたって日本のアニメーションを牽引し続けた高畑勲。『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968)で初の長編演出監督を務めて以降、『アルプスの少女ハイジ』(1974)、『火垂るの墓』(1988)、『かぐや姫の物語』(2013)など数多くのテレビアニメ、映画を手がけてきた。本展では、絵を描かない高畑がいかに「演出」していたのか、多数の未公開資料をもとにその作品世界に迫る。
会場:岩手県立美術館
会期:9月30日~12月17日
石黒光二は1952年生まれ、山形県酒田市出身の彫刻家。1993年には日彫展西望賞、2016年には日展内閣総理大臣賞を受賞しており、これまで人物と幾何的な形態を組み合わせ、それらの調和やかたちに宿る美しさを表現してきた。本展では、初期作品から近年発表された新たな作品約50点が一堂に集結。人間と図形が生み出す空間に注目したい。
会場:酒田市美術館
会期:9月2日〜10月22日
言葉と絵、こちら側とあちら側、自己と他者をつなぐメディアとして、「線」に注目し、ドローイングの可能性を拡張してきた鈴木ヒラク。その個展が群馬県立近代美術館でスタートする。磯崎新設計による現代美術棟にて、フランスの思想家ロジェ・カイヨワの著書を参照した最新シリーズ「隕石が書く」40点の大規模インスタレーションや現地制作される壁画などが展示される。同日からは「創作において自由なる競創―19、20世紀の芸術家とポスター」展も開幕する。
会場:群馬県立近代美術館
会期:9月16日〜12月19日
銀座線渋谷駅や、富山県美術館、島根県芸術文化センター「グラントワ」などの設計で知られる建築家・内藤廣。その個展が島根県立石見美術館で開催される。展示されるのは、図面や模型、内藤の思考や当時の社会情勢がうかがえる手帖、本展のためのインスタレーションなど。「Built(ビルト=建設された建物)とUnbuilt(アンビルト=実現しなかった建物)」をテーマに、建築として実現しなかったアイデアにも光が当てられる。
会場:島根県立石見美術館
会期:9月16日〜12月4日