年末年始の冬休み期間に都内で開催されている注目展覧会をピックアップ。気になる展覧会はウェブまたはアプリからログインしてフォローしておくのがおすすめ。開幕と閉幕間近はメールでお知らせします。
*会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
2020年から毎年行われている石橋財団コレクションとアーティストとの共演「ジャム・セッション」の第6回となる本展では、山城知佳子と志賀理江子を迎える。近・現代日本が生み出した矛盾と抑圧、沖縄戦や集中する米軍基地など、生まれ育った土地にある複雑で歪な状況を、ときにユーモアを交えて描き出す山城と、2008年から宮城県を拠点とし、東日本大震災と復興、あるいはそれ以前から作用していた中心と周縁の不均衡な力学のなかに立ち現れる生のあり方に光を当てる志賀。ふたりの新作を通じて、過去から続く複雑で困難な現実に向き合う作家たちの態度と、創造力と芸術という手法のあり方をコレクション作品のうちにも見出し、紹介する。レポートはこちら。
会場:アーティゾン美術館
会期:10月11日〜2026年1月12日
「六本木クロッシング」は2004年から3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展。国籍を問わず日本で活動するアーティスト、ならびに日本にルーツのあるアーティストが多く含まれるアーティストのラインアップには、グローバルな視点から"日本"という場所を改めて問い直すとともに、"いま"という時間に宿る様々な生のあり方に向き合う意図が込められている。本展は、多様な「時間」のあり方に関わる作品群を、4つの視点からひも解くことで、その深層的なつながりを示すような機会となった。レポートはこちら。
会場:森美術館
会期:12月3日~2026年3月29日
ミューぽんで200円OFF!
書籍『Savoir & Faire 金属』の販売を記念して行われる、金属の属性を考えるグループ展。メタル音楽を記号論的に解釈するエロディ・ルスール、日本古来の朱と水銀を媒介に内的宇宙と外的象徴を創造する映画監督の遠藤麻衣子、そして鉄球としての地球に人間活動を重ね合わせ、廃材を用いた作品を作る榎忠。金属が文化の中でどのような属性を作り出してきたのかにさまざまな角度からアプローチする、多彩な魅力あふれる機会となりそうだ。
会期:銀座メゾンエルメス
会場:10月30日〜2026年1月31日
メディア・テクノロジーを駆使し、鑑賞者が自分自身の知覚とインタラクションのメカニズムに向き合わされる体験を複数の作品によって提示した三上晴子。1990年代以降に国内外で発表したインタラクティブ・インスタレーションは、人間が世界と接続し関係を結ぶ端緒となる知覚行為そのものをテーマとしてきた。2015年の急逝後、東京都現代美術館への作品収蔵など再評価の動きが広がっている。本展では1990年代後半以降のインタラクティブ・インスタレーションを複数展示するほか、山口情報芸術センター[YCAM]らによる修復・アーカイヴの取り組みも紹介する。
会場:NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]
会期:12月13日~2026年3月8日
ミューぽんで100円OFF!
1950年から60年代の日本の女性の美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから再評価する展覧会。本展では、中嶋泉による『アンチ・アクション』(2019)のジェンダー研究の観点を足がかりに、草間彌生、田中敦子、福島秀子をはじめとする14名の作家による約100点の作品を紹介する。男性中心的な美術史の語りに異議を唱え、女性の美術家たちの多様な表現を通して、戦後日本美術の新たな側面を浮き彫りにする。兵庫県立美術館(2026年2月28日~5月6日)にも巡回予定。企画を担当したキュレーターへのインタビューはこちら。
会場:東京国立近代美術館
会期:12月16日〜2026年2月8日
「ポートレイト」をテーマに据え、アンディ・ウォーホルの名作から知られざる作品までを厳選して紹介する。なお本展は、フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵コレクションを東京、ミュンヘン、ヴェネチア、北京、ソウル、大阪のエスパス ルイ・ヴィトンにて公開する「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環として行われる。国際的なプロジェクトを通じて、世界各地のより多くの人々に作品を届けるというフォンダシオンの理念に基づいたものとなる。レポートはこちら。
会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:10月2日~2026年2月15日
20世紀後半を代表する米国のアーティスト、ソル・ルウィットは、作品そのものよりもアイデアや制作プロセスを重視する試みによって、1960年代後半の芸術のあり方を大きく転換した。本展は日本の公立美術館における初の個展となり、ウォール・ドローイング、立体・平面作品、アーティスト・ブックなど広範な仕事を通じて、既存の枠組みに再考を促してきたルウィットの思考の軌跡をたどる。同時開催の「開館30周年記念 MOTコレクション マルチプル_セルフ・ポートレイト 中西夏之 池内晶子 —弓形とカテナリー」展にも注目してほしい。ニュースはこちら。
会場:東京都現代美術館
会期:12月25日~2026年4月2日
ミューぽんで10%OFF!
東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が2018年より実施している中堅アーティスト対象の現代美術賞「Tokyo Contemporary Art Award」。受賞者は海外活動をはじめとする複数年にわたる支援を経て、東京都現代美術館で受賞記念展を開催する。本展は第5回受賞者の梅田哲也と呉夏枝による展覧会となる。近年ともに「海路」や「水路」など水にまつわる考察を作品に取り入れてきた両者。仮想の島々をめぐるように個人の歴史や物語をつなぐ呉のプロジェクトと、パフォーマンスやツアーによって物事の構造を可視化する梅田の新たな導線が、表裏の関係のように緩やかに重なり合う。
会場:東京都現代美術館
会期:12月25日〜2026年3月29日
1998年サンフランシスコ近代美術館で巨大な壁画を発表し、同館のコレクションに選定され、さらに2001年のヴェネチア・ビエンナーレで世界最大の壁画のインスタレーションを制作したバリー・マッギーと、昨年から約1年間にわたりワシントンのハーシュホーン美術館で大規模個展を開催したオスジェメオスによる、世界初のコラボレーション展。街のエネルギーから生まれた彼らの作品が、自由でエネルギー溢れる新しい力を見せる。レポートはこちら。
会場:ワタリウム美術館
会期:10月17日〜2026年2月8日
ミューぽんで300円OFF!
2025年に総合開館30周年を迎えた東京都写真美術館。本展では、石内都、志賀理江子、金村修、藤岡亜弥、川田喜久治という、国内外で活躍が目覚ましい作家の現在の活動を、同館に収蔵された作品等と合わせて紹介する。進行形の作家活動に触れる機会を通し、作品理解を深めるとともに、これからの表現の可能性を探る。
会場:東京都写真美術館
会期:10月15日〜2026年1月25日
1920年代に世界を席巻した装飾様式「アール・デコ」は、服飾の世界にも広がりを見せた。パリで開催された「アール・デコ博覧会」から100周年の節目にあたり、本展では京都服飾文化研究財団(KCI)が所蔵する服飾作品約60点を中心に展示する。さらに、国内外の美術館所蔵の絵画、版画、工芸品なども加え、現代にも影響を与え続ける100年前の「モード」の魅力と革新性を多角的にひもとく。レポートはこちら。
会場:三菱一号館美術館
会期:10月11日〜2026年1月25日
ミューぽんで100円OFF!
情報が飛び交い価値観が大きく揺れ動く現代社会。いまだからこそ振り返りたいのが、デザインを通して多様な視座を示してくれた巨匠たちの軌跡だ。本展では、ブルーノ・ムナーリ、マックス・ビル、アキッレ・カスティリオーニ、オトル・アイヒャー、エンツォ・マーリ、ディーター・ラムスの6名を「デザインの先生」として特集。また、日本におけるデザイン学の礎を築いた向井周太郎の視点も紹介する。レポートはこちら。
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:11月21日〜2026年3月8日
2025年に創設30周年を迎えたファッション・テキスタイルブランド、ミナ ペルホネン。展覧会タイトルの“つぐ”という言葉は、水面に起こる波紋のようなイメージだという。創設者でデザイナーの皆川明が落としたミナ ペルホネンの活動という一雫は、共鳴する人々をつなぎ、手技を生み、新たなクリエイションへとその波紋を広げてきた。本展ではそんなミナ ペルホネンのものづくりに通じる様々な"つぐ"のかたちを紹介する。レポートはこちら。
会場:世田谷美術館
会期:11月22日〜2026年2月1日
「印象派の殿堂」として知られるパリ・オルセー美術館から10年ぶりにコレクションが大規模来日。傑作68点を中心に、国内の重要作品も加えた約100点により、室内をめぐる印象派の画家たちの関心のありかや表現上の挑戦をたどる。エドガー・ドカの代表作《家族の肖像(ベレッリ家)》は日本で初めて展示される。レポートはこちら。
会場:国立西洋美術館
会期:10月25日〜2026年2月15日
日本近代洋画の改革期に活動した画家・小林徳三郎。若者たちが結成した前衛洋画家集団フュウザン会で活躍し、画業半ば頃からは春陽会を中心に作品の発表を続けた。鰯や鯵といった魚を数多く描いて評価を獲得し、やがて自分の子供たちをモデルにするようになり、風景、海などの題材を親しみやすく洒脱な作品に描き上げた。本展では、小林が描いた日常的な光景を紹介するほか、彼をとりまく美術動向にもフォーカスする。
会場:東京ステーションギャラリー
会期:11月22日〜2026年1月18日
ミューぽんで100円OFF!
東洋と西洋の文化的風土の違いを強く意識しながら、日本人としていかに油絵を描くべきかを追究した小出楢重。大阪中心部の商家に生まれ、洋行後は衣食住を洋風に改め、大正から昭和初期のモダンな都市文化を体現した。日本女性の体型や肌質をとらえた裸婦、野菜を妖しく描く静物など、西洋美術由来のテーマを日本の感覚で生まれ変わらせた作品で知られる。本展は代表作が一堂に会する25年ぶりの回顧展となる。
会場:府中市美術館
会期:12月20日〜2026年3月1日
ミューぽんで20%OFF!
中世に大寺院として栄華を極めた根來寺(和歌山県)で生まれた「根来塗」。堅牢な下地に黒漆と朱漆を重ねた朱漆器は、その力強く、しなやかな姿で現代の国内外コレクターをも魅了し続けている。本展では、根來寺が繁栄を極めた中世の漆工品を中心に、年紀を有する品や伝来の確かな名品・名宝が一堂に会する。寺院や神社の信仰の場から民衆の生活まで、幅広く愛された根来塗の歴史を辿る貴重な機会となる。
会場:サントリー美術館
会期:11月22日〜2026年1月12日
スウェーデンを代表する陶芸家リサ・ラーソン。動物をモチーフにした愛らしい陶器や、スケッチから生まれた絵本のキャラクター「マイキー」で、日本でも幅広い世代に親しまれてきた。本展では2024年に92歳で逝去したラーソンの創作の世界を、「見る・知る・作る」の体験型展示で紹介する。スケッチや作品、スウェーデンで使用していた道具類を展示し、制作に関わる職人たちの仕事を映像で紹介。子供から大人まで創作の楽しさに触れられる機会となる。ニュースはこちら。
会場:PLAY! MUSEUM
会期:12月27日〜2026年2月23日
東京都江戸東京博物館、東京都写真美術館、東京都現代美術館の所蔵品から、「刺繍」や「刺子」と呼ばれるような糸・針・布による造形物とそれに関連する資料を、時代ごとに4つの章に分けて紹介。今回特別に展示される明治末~昭和初期の学生たちが制作した「刺繍画」も見どころのひとつだ。レポートはこちら。
会場:東京都美術館
会期:11月18日〜2026年1月8日
テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』が1995年に放送開始してから、30年の節目となる本年。企画・脚本・総監督を庵野秀明が務めた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』も2021年に完結したこのタイミングで、ファン待望の展覧会がスタートする。本展では、これまでまとまって展示されることのなかったテレビアニメのセル画や、緻密に描かれた原画・設定など、作品の根幹にかかわる制作資料を多数展示。今回が初公開となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の資料も見ることができる。ニュースはこちら。
会場:六本木ヒルズ 東京シティビュー
会期:11月14日〜2026年1月12日
大阪に本社を置き、2023年に40周年を迎えた大手ゲームソフトメーカー「カプコン」。1983年の創業以来、『ストリートファイター』『バイオハザード』『モンスターハンター』シリーズなど、世界的人気タイトルを生み出してきた。本展は、ゲーム開発の裏側やゲームクリエイターの情熱に焦点を当て、大阪から世界に向けてその魅力を発信する。開発者たちの「手」による企画書や原画、ポスターやパッケージを含むグラフィックワーク、体験型コンテンツを幅広く展示。ニュースはこちら。
会場:CREATIVE MUSEUM TOKYO
会期:12月20日~2026年2月22日
本展は2021年からアメリカ・ボカラトン美術館での開催を皮切りに、世界各地で高い評価を得ている巡回展。今回はアジア初開催として日本に上陸する。マチュピチュ関連の展覧会が日本で行われるのは、2012年「インカ帝国展 - マチュピチュ『発見』100年」(国立科学博物館)以来、国内では13年ぶり。ペルーの首都・リマにあり、世界的にも有名な考古学博物館「ラルコ博物館」より貸与された、国外初公開を含む貴重な文化財約130点を展示。王族の墓から出土した黄金の装飾品や、神殿儀式で用いられた祭具など、古代アンデス文明の造形美を間近に感じることができる。レポートはこちら。
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:11月22日〜2026年3月1日
日本文学者・ドナルド・キーンは、10代でアーサー・ウエーリ訳『源氏物語』と角田柳作との出会いから日本文化への深い関心を抱き、長きにわたる研究生活を始めた。2011年、東日本大震災後に日本への帰化を表明したキーンの生涯は、まさに日本文化・日本文学とともにあった。開館30周年を迎える同館において、ドナルド・キーンの偉業とともに、あらためて日本文学の魅力を伝える。
会場:世田谷文学館
会期:11月15日〜2026年3月8日