公開日:2023年4月8日

【2023年版】ゴールデンウィークに見たい展覧会22選(東京・関東編)

東京を中心に、千葉、神奈川、埼玉の展覧会を紹介。GW中の休館日も記載。お出かけ前に公式ウェブサイトのチェックも忘れずに

WOLFGANG TILLMANS「MOMENTS OF LIFE」 エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2023年)

今年のゴールデンウィークは4月29日(土)から5月7日(日)まで(うち、1日(月)と2日(火)のみ平日)。環境の変化にも慣れ、少し生活に余裕が出てくる頃合いのはず。展覧会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

本記事では、GW期間中、関東で開催される注目の展覧会を紹介。なお、会期・内容は予告なく変更になる場合もあるため、お出かけ前には公式ウェブサイトのチェックを忘れずに!

*全国編はこちら

  1. マティス展(東京都美術館)
  2. ルーヴル美術館展 愛を描く(国立新美術館、東京都)
  3. 東福寺(東京国立博物館)
  4. ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会(森美術館、東京都)
  5. へザウィック・スタジオ展:共感する建築(六本木ヒルズ 東京シティビュー)
  6. さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展(東京都現代美術館)
  7. ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)
  8. ダムタイプ|2022: remap(アーティゾン美術館、東京都)
  9. 深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ(東京都写真美術館)
  10. 憧憬の地 ブルターニュ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷(国立西洋美術館、東京都)
  11. The Original(21_21 DESIGN SIGHT、東京都)
  12. 今井俊介「スカートと風景」(東京オペラシティアートギャラリー)
  13. 谷川俊太郎 絵本★百貨展(PLAY!、東京都)
  14. ハンセン病文学の新生面『いのちの芽』の詩人たち(国立ハンセン病資料館、東京都)
  15. ウェス・アンダーソンすぎる風景展  あなたのまわりは旅のヒントにあふれている(寺田倉庫G1ビル、東京都)
  16. 芸術家たちの南仏(DIC川村記念美術館、千葉県)
  17. 「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄(千葉市美術館)
  18. 末盛千枝子と舟越家の人々 ―絵本が生まれるとき―(市原湖畔美術館、千葉県)
  19. 生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良(神奈川県立近代美術館 葉山)
  20. 吉村弘「風景の音 音の風景」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)
  21. 戸谷成雄 彫刻(埼玉県立近代美術館)
  22. ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術 ―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?―(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城県)

マティス展(東京都美術館)

20世紀の美術史を代表するフランスの画家、アンリ・マティス。本展は、国内では約20年ぶりとなる大規模回顧展。世界最大のマティス・コレクションを有するポンピドゥー・センターの協力を得て開催される。絵画に加えて、彫刻、素描、版画、切り紙が展示されるほか、晩年の傑作と言われる南仏・ヴァンスにあるロザリオ礼拝堂の内部を収めた4K映像の上映も発表された。展覧会の詳細はフォトレポートをチェック。

会場:東京都美術館
会期:4月27日〜8月20日
GW中の休館日:なし

ルーヴル美術館展 愛を描く(国立新美術館、東京都)

ルーヴルの名品が東京へ。本展で公開されるのは、膨大なルーヴル・コレクションからセレクトされた、「愛」をモチーフとする作品たち。18世紀フランス絵画の至宝ともいうべきジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》、フランス新古典主義の傑作であるフランソワ・ジェラール《アモルとプシュケ》をはじめ、74点の名画が揃う。展示の様子はフォトレポートをチェック。なお本展は、6月に京都市京セラ美術館へ巡回予定だ。

会場:国立新美術館
会期:3月1日〜6月12日
GW中の休館日:なし

東福寺(東京国立博物館)

京都を代表する禅寺のひとつである東福寺。本展は、その寺宝をまとめて紹介する初の機会だ。「画聖」とも呼ばれる絵仏師・明兆による記念碑的大作「五百羅漢図」全幅が修理を経て初公開されるほか、応仁の乱による戦火を免がれた貴重な文化財の数々、特大サイズの仏像や書画類など、優品が勢揃いする。10月には京都国立博物館へ巡回予定だ。展示の様子はフォトレポートをぜひチェックしてほしい。

会場:東京国立博物館
会期:3月7日〜5月7日
GW中の休館日:なし

ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会(森美術館、東京都)

本展は、世界にある「わからない」を探求し、人々の固定観念をクリエイティブに越えていこうとする現代アーティストたちの活動を紹介。現代アートを学校の「美術」「図画工作」といった科目から解放し、「世界」について学ぶあらゆる科目に通底する領域として定義を試みる。出展作家には、アイ・ウェイウェイ、青山悟、ヨーゼフ・ボイス、藤井光、畠山直哉、スーザン・ヒラー、奈良美智、ヤン・ヘギュなど。詳細はフォトレポートをチェックしてほしい。

会場:東京都美術館
会期:4月19日〜9月24日
GW中の休館日:なし

へザウィック・スタジオ展:共感する建築(六本木ヒルズ 東京シティビュー)

ヘザウィック・スタジオは1994年にロンドンで設立されたデザイン集団。本展は、その28件の主要プロジェクトが紹介される国内初の展覧会だ。「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻的空間を体感する」「都市空間で自然を感じる」「記憶を未来へつなげる」「遊ぶ、使う」の6つの視点を通じて、人間の心を動かす優しさ、美しさ、知的な興奮、そして共感をもたらす建築とは何かを探る。詳細はニュースをチェック。

会場:六本木ヒルズ 東京シティービュー
会期:3月17日〜6月4日
GW中の休館日:なし

さばかれえぬ私へ Tokyo Contemporary Art Award 2021-2023 受賞記念展(東京都現代美術館)

「Tokyo Contemporary Art Award(TCAA)」は東京都とトーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による、中堅アーティストを対象とした現代美術賞。第3回の受賞者は、ともに東北地方を拠点に活動する志賀理江子と竹内公太。志賀は東日本大震災後の復興計画に圧倒された経験を、人間が「歩く」営みとしてとらえ直した作品を、竹内は第二次世界大戦時の兵器「風船爆弾」のリサーチをもとに、過去の出来事ーアーティストー鑑賞者の「憑依の連鎖」による新作を発表する。作家のコメントとともに見どころを紹介するフォトレポートは要チェック。昨年10月に公開した志賀へのインタビューも合わせて読んでほしい。

会場:東京都現代美術館
会期:3月18日〜6月18日
GW中の休館日:5月1日(月)

ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of life」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)

現代の写真表現を牽引するヴォルフガング・ティルマンスの展覧会が、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されている。本展は世界各地のエスパス ルイ・ヴィトンで所蔵作品を展示するプログラム「Hors-les-mur(壁を越えて)」の一環。フォンダシオン ルイ・ヴィトンが持つ約30点のコレクションが公開されている。本展に訪れる前に、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で先日まで開催されていた「To look without fear」展のレビューもチェックしておきたい。

会場:エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:2月2日~6月11日
GW中の休館日:なし

ダムタイプ|2022: remap(アーティゾン美術館、東京都)

アーティゾン美術館では、「ダムタイプ」の新作が公開中。本展は、昨年開催された第59回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館で発表した《2022》の日本バージョン。ニューアルバムのリリースでも話題を呼んだ坂本龍一を新たなメンバーに迎えて作られた新作《2022》の国内初公開の機会となる。フォトレポートはこちらメンバーの古舘健、濱哲史、アオイヤマダによる座談会もぜひチェックしてほしい。

会場:アーティゾン美術館
会期:2月25日〜5月14日
GW中の休館日:5月1日(月)

深瀬昌久 1961-1991 レトロスペクティブ(東京都写真美術館)

日本写真の黄金時代である1960〜70年代に、荒木経惟や森山大道らとともに頭角を表した深瀬昌久は、写真を通じて「私性」と「遊戯」を追求してきた。本展は、彼の代表的な写真集『鴉』(1986)に収められた作品など、同館のコレクションを中心に、その人物像や表現の特異性に迫る回顧展だ。フォトレポートはこちら

会場:東京都写真美術館
会期:3月3日〜6月4日
GW中の休館日:なし

憧憬の地 ブルターニュ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷(国立西洋美術館、東京都)

フランス北西端のブルターニュは、19世紀後半から20世紀にかけて各国の画家たちが訪れ、多くの作品が制作された地域。本展は国立西洋美術館の「松方コレクション」を中心に、国内美術館や個人コレクションおよそ30か所からブルターニュを表した作品約160点が選定・公開される。欧米の画家たちがこの地に何を求め、見出したのかを探ると同時に、ブルターニュを訪れた日本の画家たちにも注目する。

会場:国立西洋美術館
会期:3月18日〜 6月11日
GW中の休館日:なし

The Original(21_21 DESIGN SIGHT、東京都)

本展は「The Original」という言葉を、世の中に深く影響を与えるデザインと定義。たんなる「起源」としてではなく、多くのデザイナーを触発するような、根源的な魅力と影響力を備え、そのエッセンスが後世にまでつながるプロダクトが紹介される。本展ディレクターの土田貴宏、企画原案の深澤直人、企画協力の田代かおるによって選ばれた、家具や食器、テキスタイル、玩具など、100点以上が展示中だ。会場の様子はフォトレポートをチェックしてほしい。

会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:3月3日〜6月25日
GW中の休館日:5月2日(火)

今井俊介「スカートと風景」(東京オペラシティアートギャラリー)

昨年、香川県の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催された今井俊介の個展が、東京オペラシティアートギャラリーへ巡回。今井は鮮やかなストライプが印象的な絵画シリーズで知られる。具象と抽象、平面と立体、アートとデザインという境界を軽やかに行き来してきた今井の全貌に迫る。丸亀市猪熊弦一郎現代美術館でのフォトレポートはこちら

会場:東京オペラシティアートギャラリー
会期:4月15日〜6月18日
GW中の休館日:なし

谷川俊太郎 絵本★百貨展(PLAY!、東京都)

東京都立川市のPLAY!では、詩人・谷川俊太郎の絵本に注目する展覧会がスタート。谷川は1960年代から現在まで、様々な絵描きや写真家と協働して、バラエティ豊かな絵本を制作してきた。本展では、約20冊の絵本が取り上げられ、原画をはじめ、絵や言葉が動き出す映像、朗読や音、巨大な絵巻や書き下ろしのインスタレーション作品などが展示される。

会場:PLAY!
会期:4月12日〜7月9日
GW中の休館日:なし

ハンセン病文学の新生面『いのちの芽』の詩人たち(国立ハンセン病資料館、東京都)

国立ハンセン病資料館では、戦後療養所で生まれた詩に注目する展覧会が開催される。展覧会タイトルにある『いのちの芽』とは、ハンセン病療養者らによって1953年に刊行された合同詩集のこと。第二次大戦後すぐ、日本国憲法に基本的人権が明記されたこと、ハンセン病初となる治療薬プロミンが登場したことによって、療養者のなかには自らの境遇を「宿命」とするのではなく、変革可能な未来ととらえる人が台頭し始める。療養所における文学もまた、新たなスタイルが生まれていた。本展では、『いのちの芽』参加者による自筆資料など、初公開となる資料が多数展示される。

会場:国立ハンセン病資料館
会期:2月4日〜5月7日
GW中の休館日:5月1日(月)

ウェス・アンダーソンすぎる風景展  あなたのまわりは旅のヒントにあふれている(寺田倉庫G1ビル、東京都)

本展は、『ファンタスティック Mr.FOX』、『グランド・ブダペスト・ホテル』などで知られる映画監督、ウェス・アンダーソンの写真展、ではない。紹介されるのは、彼の映画で登場しそうな風景を集めたムーヴメント「AWA(Accidentally Wes Anderson)」の写真作品だ。世界各地を巡る旅を疑似体験できるように構成され、300点余りの写真が、旅に関する10のキーワードのもと展示される。詳細はニュースをチェック。

会場:寺田倉庫G1ビル
会期:4月5日~5月26日
GW中の休館日:なし

芸術家たちの南仏(DIC川村記念美術館、千葉県)

南仏は、かつて芸術家が景勝地や巨匠たちの作品を求めて、パリからイタリアへ留学や旅行する際などの中継地とみなされていたものの、19世紀末以降、ヴァンスやニース、マルセイユなど、多くの作家が制作の場所として選ばれるようになった。本展は、そうした20世紀の芸術が展開した場としての南仏に注目する企画展。セザンヌやシャガール、マティス、など、国内の美術館の所蔵品を中心に、およそ30作家による150点ほどの作品が展示される。

会場:DIC川村記念美術館
会期:3月11日〜6月18日
GW中の休館日:5月1日(月)

「前衛」写真の精神:なんでもないものの変容 瀧口修造、阿部展也、大辻清司、牛腸茂雄(千葉市美術館)

千葉市美術館では、4人の作家を手がかりに、昭和の日本の、写真表現の動向を紹介する展覧会。写真におけるシュルレアリスムを説いた瀧口修造、瀧口とともに「前衛写真協会」を設立した阿部展也、ふたりに魅了され「なんでもない写真」というシリーズを手がけた大辻清司、大辻の愛弟子である牛腸茂雄。4人の作家は、互いに影響を与え合いながら、どのような「前衛」を作り上げてきたのか。そのあり方に迫る。フォトレポートはこちら

会場:千葉市美術館
会期:4月8日〜5月21日
GW中の休館日:5月1日(月)

末盛千枝子と舟越家の人々 ―絵本が生まれるとき―(市原湖畔美術館、千葉県)

同じく千葉県に所在する市原湖畔美術館では、末盛千枝子と彼女の家族に焦点を当てた展覧会がスタート。日本を代表する彫刻家・舟越保武の長女として生まれた末盛は、絵本作家としての活動のほか、上皇后美智子の講演録の編集者としても知られている。本展では、末盛が手がけた絵本の原画や資料とともに、舟越家の人々の作品なども展示される。

会場:市原湖畔美術館
会期:4月15日~6月25日
GW中の休館日:5月1日(月)

生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良(神奈川県立近代美術館 葉山)

戦後日本の彫刻史に大きな足跡を残した彫刻家・佐藤忠良。その回顧展が、神奈川県立近代美術館 葉山に巡回する。本展では、具象彫刻《群馬の人》と《帽子・夏》、挿絵を手がけた『大きなかぶ』という代表作に注目。各年代の作品や、佐藤が蒐集した西洋美術コレクションが公開される。

会場:神奈川県立近代美術館 葉山
会期:4月22日~7月2日
GW中の休館日:5月1日(月)

吉村弘「風景の音 音の風景」(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館)

鎌倉別館では、音楽家・吉村弘の回顧展がスタート。環境音楽の国内での普及や公共空間の音響デザイン、美術館でのワークショップなど、吉村は多岐にわたって活動を展開した。本展では、初期のコンクリートポエトリー、楽譜、写真、映像作品、サウンドオブジェ、モビールなど、作品や資料からその活動の全貌に迫る。

会場:神奈川県立近代美術館 鎌倉別館
会期:4月29日~9月3日
GW中の休館日:5月1日(月)

戸谷成雄 彫刻(埼玉県立近代美術館)

日本を代表する現代彫刻家として知られる戸谷成雄。地元の長野県立美術館での個展が、埼玉県立近代美術館へ巡回する。戦後美術において制度として解体されつつあった彫刻と向き合い、「表面」「構造」といった独自の彫刻概念をもとに、本質から再構築を試みてきた戸谷。本展では、初期から近年の作品まで代表作を含め約30点を、制作年に縛られることなく、コンセプトに沿って展示される。展覧会と合わせて、戸谷へのインタビューもぜひチェックしてほしい。フォトレポートはこちら

会場:埼玉県立近代美術館
会期:2月25日〜5月14日
GW中の休館日:なし

ケアリング/マザーフッド:「母」から「他者」のケアを考える現代美術 ―いつ・どこで・だれに・だれが・なぜ・どのように?―(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、茨城県)

私たちが社会のなかで生きていくうえで、必要不可欠な「ケア」。本展は、近年のアートシーンでも重要なトピックである「ケア」と社会のつながりを問い直す企画展。1960〜70年代の第2波フェミニズムを背景に生まれた表現から、私的な育児日記の読解まで、多様な作品が紹介される。出展作家は、青木陵子、AHA![Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ]、石内都、出光真子、碓井ゆい、ラグナル・キャルタンソン、二藤建人、マリア・ファーラ、リーゼル・ブリッシュ、ホン・ヨンイン、本間メイ、ヨアンナ・ライコフスカ、マーサ・ロスラー、ミエレル・レーダーマン・ユケレス、ユン・ソクナム。見どころなど、詳細はフォトレポートをチェックしてほしい。

会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー
会期:2月18日~5月7日
GW中の休館日:5月1日(月)

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。